企業アンケートの結果を国が公表~動物実験代替法への転換を!

※追記:当初、このアンケートの有効回答数が公開されていませんでしたが、後日、36社分であることが公開されました。以下は公開当初に掲載した内容のままです。

昨年の動物実験代替法学会の際、動物実験代替法の利用度に関して化粧品企業各社を対象にしたアンケートが行われていることが公開されましたが、昨日その結果が公開されました。JaCVAM(日本動物実験代替法評価センター)の以下のページをぜひごらんください。

現在、厚生労働省から代替法を活用するためのガイダンスが試験法ごとに順次出されていますが、このアンケートは、そういった活動の有効性を確かめ今後に生かすことを目的に行われたものです。(これまで出されたガイダンスについては、こちら

動物実験の代替について、国が業界の動向把握的なものを公開するのは、恐らく日本では初ではないかと思います。そういった意味で非常に評価のできる活動なのですが、残念ながら結果からいうと、現在の代替法の利用度は全く低いものでした。

代替法がどれくらい使われているか

また、アンケートの対象は、日本化粧品工業連合会技術委員会参加会員ですが、驚くべきことに、公開された結果にはサンプル数が書かれていません。回答したのが何社かすら明らかにされていないのは異常に思えますが、実はこのアンケート結果は、当初公開すると言われていたものが、集計後に「公開しない」との見解が出されていました。しかし先月あたりから急に状況が変わり、一転して公開されることになったものです。非公開となったのは結果が悪かったからではないか?と推測されていました。

そういったこれまでの事情を考えると、n数が何社かの公開は業界側にとっては知られたくない情報であり、意図的に伏せられているものと思われます。

■具体的に内容を見てみると……

さらに具体的に内容を見てみると、「ガイダンス検討会の活動を知っているか」には92%が「知っている」、「これまでに以下のガイダンスが発出されたことを知っていたか」には、光毒性試験代替法(3T3 NRUPT)および皮膚感作性試験代替法(LLNA)を89%が、皮膚感作性試験代替法(LLNA:DA, LLNA:BrdU-ELISA)を81%が選択しており、認知度自体は高いと言える状況がありました。

それにもかかわらず、実際に「今後新規医薬部外品の薬事申請に利用しようと考えている試験法はあるか」を聞いた質問では具体的な試験法を答えたところが非常に少なく、「試験法は決めていないが検討したい」が36%、「利用は考えていない」が42%もありました。

ただし、「利用は考えていない理由」としては、医薬部外品を扱っていない、新規申請の予定がない等、そもそも必要としていないとする回答も含まれているので注意が必要ですが、「試験法の技術習得が困難」「申請に通常より期間がかかりそうで心配」「他の試験も含め、動物を使用するので完全に代替できないため。又、できる試験機関が限られている。費用も高かった」「中小企業のため」といった回答もあり、代替法の利用促進のための環境整備が必要であることが示唆されています。

■動物実験代替法へ切り替えさせる政策を!

現在の厚生労働省や業界のスタンスは、「ガイダンスを出すことによって動物実験の代替を粛々と進めていく」というものです。しかし、このアンケート結果を見ると、やはり「代替法があるものについては代替法を利用しなければだめ」という強い政策を国が打ち出す必要があると改めて感じます。

現在の状況では「代替法もあります」が言い訳に使われて終わりになってしまっているのではないでしょうか。

ちなみに、ガイダンス検討会への自由意見を書かせる項目では、ガイダンスへの期待度は非常に高いように見受けられますが、「今後新規医薬部外品の薬事申請を予定しているかどうか」に対し、「予定している」と答えている社が16%であり、これらの企業が回答をしているものと考えられます。

医薬部外品の開発では、3年間の長期保存試験で有効成分の安定性を見なければなりませんから(動物実験ではなく、室温に3年間置く試験です)、これらの企業は3年先を見越した商品開発を常に行っており、すでに長期保存試験に入っている開発中の商品があると推測できます。

16%は少ないように見えるかもしれませんが、研究開発がされている商品数や、その後の安全性試験で犠牲になる動物の数を考えれば、決して少ない数字ではありません。(また、今後の代替法の利用に対し「試験法は決めていないが検討したい」の回答が36%ありますので、現在予定はないと答えている企業の中にも将来的に可能性がある企業が含まれているものと思われます)

アンケートでは、

「日本では部外品申請のために動物実験をせざるを得ないが、EUでは、日本で部外品申請した原料を使えない。グローバル対応が非常に難しい」
「代替法を用いて申請した際に通常よりも審査期間がかからないことを期待します」

といった意見もありました。

動物実験代替法に期待を寄せる企業の声にこたえる政策を打ち出すよう、また、動物の犠牲をなくすよう国に要望していきましょう!

化粧品の動物実験について、詳細はこちらをご覧ください。

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