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動物実験の機関管理は名ばかり! 理研からの再回答

いよいよNatureが論文を取り下げたSTAP細胞問題ですが、動物実験計画の承認手続きがなされていない期間があった件について、理研から再質問への回答がありました。

理研からの再回答

回答の全文は上記PDFの通りですが、ポイントを説明すると、以下の通りです。

 
●2011年、小保方氏が理研の若山研究室で研究を始めた当初に、STAP研究に該当する動物実験計画書が提出されていないことについて

⇒理研からの1回目の回答には、若山氏の他の研究の2012年の実験計画書がそれにあたると書かれていましたが、時系列がおかしいことを再質問で指摘したところ、「実は前年に同じ計画書が出されており、そこに小保方氏を実験従事者として追加されているので、それで問題ないという判断」というのが2回目の回答の内容です。

これが確認できる書類の添付もありませんでしたが、計画書については、当初の情報開示が誤りであったという形で、追加で開示がされるそうで、現在送付待ちです。ただ、既に開示されている2012年の計画書と同じ課題だそうなので、「体細胞にストレスを与えて初期化する」というSTAP研究とは違う目的の計画書であることは間違いありません。

従事者届については、追加での開示請求を行っており、書類の到着を待たなければ本当かどうか確認できません。1回目の回答で「登録」と書かれていたのは、理研で講習を受けて動物実験ができるようになったという意味の登録と受け止めましたが、2回目の回答では実験計画への追加の意味に変わっており、そこも疑問に思っているところです。

 
●2013年、若山氏が理研を去った後、小保方氏が笹井研究室に身を寄せていた時期に、STAP研究に該当する動物実験計画書が提出されていないことについて

⇒1回目の回答で、笹井氏が小保方氏の実験従事者としての追加を失念していたことが書かれていましたが、2回目の回答によって、それが発覚したのは、論文の公開後、不正の疑義が浮上したのちであることがはっきりしました。

完全に過ぎ去った過去について、「遡って届を提出して事を済ませよう、しかもSTAPとは関係ない実験計画でもいいよね」という笹井氏の発想自体が信じがたいものですが、理研もそれをこれから実験委員会の審査に回す判断をしていますから、それで事足れりで終わってしまう可能性があります。

私たちは、そのようなことが行われないよう、異議申し立てがなされていることを動物実験委員会の場で示すことを求め、再回答書では、質問や異議があったことについて委員会の審議で共有するとの回答を得ましたが、これまでのSTAP問題に対する理研の対応を見ている限りでは、どのような審査結果になるか、非常に心もとないものも感じます。

(STAP問題では、隠蔽ともとれるおかしな対応によって理研の信頼は失墜していますが、なぜそのようなことが行われているのか?といえば、論文の共著者を守りたいからではないか?という疑念が当初から持たれているかと思います)

仮に「遡って過去の分を手続きすればOK、違う目的の計画書でもOK」などといったことが認められ、何ら処分がされないのであれば、文科省の動物実験指針や理研の規定などはあってなきがごときものです。動物実験関係者が長らく唱えてきた動物実験の「自主管理」「機関管理」は、やはり名ばかりで実態はないものだと考えざるを得ません。

さらに、再回答後に理研に確認したところ、この審査は年5回ほど開催されている動物実験委員会の次の回で行われる予定で、開催日時等は未定だそうです。

つまり、もし仮に理研がこのような対処でOKとする場合でも、今現在、小保方氏は「過去に違反状態があって、それに対する対処が決まっていない研究者」であり、このような状況で小保方氏の検証実験参加が認められているというのは、やはり異常事態ではないか?と感じます。

文科省の動物実験指針違反は、確かに罰則などは何も定められていませんが、これまで動物実験関係者が主張してきたことを信じるのであれば、通常は何らかの処分等が決定すると同時に、その後も研究が続けられるかどうかが判断されるものだと思います。

 
●逆流性食道炎モデルなどの苦痛度がCであることについて

⇒「実はDに修正されているがCが計画書に残っているのは事務上のミス」という最初の回答の意味するところがわからず確認もできないので再質問をしましたが、Dに修正の指示が出されているのかどうかを確認できる書類については、これも再開示請求をおこなっている書類の中に含まれているはずなので、それを受け取ってから確認してほしいというのが再回答の真意であることが電話確認でわかりました。

回答書にある手続きの流れを見ると「承認通知書」なるものが登場しますが、計画書の開示請求では出てこないものなので、計画書の内容が添付されていたりするものではないと思います。(仮に添付されていても、計画書はCのままが最終版で間違いないようです) 本当に小保方氏に苦痛度Dであることが伝わっているのかどうか、現時点では確認のしようもありません。

長くなりましたが、私たちが今回の件で「動物実験の機関管理」に疑問を感じたのは、

1)承認された目的以外の動物実験を行ってもOKなのが実態
2)違反について、事後に書類を提出して事を済せるなどの対応をする機関があっても正すような仕組みはない
3)文部科学省は「指針違反があれば科研費停止というペナルティがある」とこれまで言ってきたが、笹井氏も小保方氏も科研費は受け取っておらず、そのような研究者に対しては何の意味も生じない
4)苦痛度の高いところでも事務上のミスがある

などの点についてです。「機関管理」とはよく言ったもので、これらのことについて外部から個別に何かできるような仕組みは全くありません。

こうなるともはや構造的な問題ではありますが、STAPについては、既に論文が科学的に根拠を失い撤回されているにも関わらず、不正の解明に優先して検証実験が行われ、動物が犠牲になっています。しかも、不正を行った(ことを認めていないが、そのことが強く疑われる)当の小保方氏の参加を認めているのですから、驚きです。

そもそも、小保方氏は本当に実験を行っていたのか? それすら、理研が本気で調べたのかどうか疑問です。実験がされていなかったのなら、それはそれで計画書については辻褄は合いますし、納得します。

理研は、まず不正の解明を優先して行うべきであり、論文が主張するのとは別物だと分かった細胞についての検証実験は、即刻中止すべきでしょう。特に、動物実験の手続きが失念されていたことについて審査が終わっていない小保方氏の参加に強く抗議したいと考えています。

【その後の動向】

その後、理研から出された一連のリリースは以下の通りです。

科学的根拠を持たない論文に対し検証実験が行われていることについて、多くの科学者や、サイエンスをバックグラウンドに持つ方々が異議を唱えています。日本分子生物学会は、理事長が声明を出しています。

【質問書に関するこれまでの経緯】

また、この件について感じるところを、NPO法人市民科学研究室の会報に当会代表が寄稿しました。動物実験を行う際には手続きが求められていることを広く知っていただければ幸いです。

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