当日会場からツイートしただけで、なかなかまとまったご報告ができないでいましたが、2019年1月11日、東京大学伊藤国際学術研究センターで開催された公開シンポジウム最終報告会「バイオニックヒューマノイドが拓く新産業革命」に行ってきました。内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)から資金を受けて、昨年度までのプロジェクトとして立ち上がっていたプロジェクトの最終報告会であり、実際に開発された機器等の展示会も同時開催されていました。
これが面白かったんです!!
公式サイトに「まずは医療から挑戦し、ヒトや実験動物の代わりとなるセンサー付精巧人体モデル『バイオニックヒューマノイド』を開発します」とあり、もしかして動物の代替になるツールがある!?と思い、参加してきたのですが、予想を良い意味で大きく裏切る体験となりました。
まず、シンポジウムでは、いきなり「非倫理的な動物実験」などという文字がスライドに! はっきりと「人や動物が被検体にならない社会の実現へ」とも書いてあります。
そして、プログラムマネージャーである原田香奈子東京大学大学院工学系研究科准教授自ら、動物の利用を「非倫理的で『動物でできました』というデモンストレーション的なものでしかない」と説明! とても驚きました。日本も、いよいよこのような理解のもとに大きなプロジェクトを動かす時代になったのか……と感銘を受けました。
そして、会場では実際に開発された人体モデルの実演などを見ながら、研究者の皆さんのお話を聞くこともできました。
例えば、こちらが手元で…
この画面を見ながら操作、とか。でもこの手術(鼻から通していますが脳の硬膜を切除縫合…だったと思います)の訓練は、もともと動物を使ったりはしていなかったようです。
一番収穫だったのは、カテーテル訓練用の人体模型の脳パーツのところ↓にいた名古屋大学の研究者の方に聞いたところ、あっさりと、ブタの利用は必要ないですとおっしゃっていたことです。以前は、カテーテルの訓練に生きたブタの利用が絶対に必要だなどとよく医師らに言われたものですが、もはやそういう時代ではなくなっていました。
これ↓が人体全体の模型で、青いチューブが見えるところがカテーテルが通っている血管部分です。実際の血管に感触が似ているそうで、カテーテルの先からの画像が見れる画面も右のほうにあります。カテーテルが血管の壁に当たったときに圧力がかかったことを教えてくれる優れものでした。
胸のあたり。シンポジウムで講演した東大の教授も、専門医認定制度とリンクしていきたいと述べていましたが、胴体部分については、既に専門医を目指す際の各機関での訓練で採用されているところもあるそうです。
これ↓が脳内のモデルで、くねった針金のように見える部分がカテーテルの先です。実演を見ましたが、確かにこれは訓練がいりそう!でした。動きが、ちょっとかわいい。
眼は、もともとあまり動物は使われていないと言っていましたが参考まで。
硬膜モデル、これも動物はもともと関係なさそうでした。
これは血管です。リアルな感触の再現と、実際の患者さんの血管の形状に合わせて作り、事前のシミュレーションに使うなどもできるそうです。
鼻はブタさんはかなり違いますよね?と聞けばよかった!?
ぶれて撮れていますが、見ている人は3D映像を見ています。
社会科見学のようで面白い1日でした。
プロジェクトの公式サイトはこちらです。