ハーバード大学発のバイオ関連スタートアップ企業「医薬品開発の霊長類試験を減らすべきときが来た」

先ほど投稿した新日本科学のサルの実験施設の規模があまりに大きすぎて、絶望的に感じた方もいらっしゃったかもしれません。

それだけでなく、新型コロナウイルスのパンデミックが起きて以来、ワクチン開発などのための実験用サルが不足していると、しきりに喧伝されています。先日、「ニューヨーク・タイムズ」も、そういった主旨の長い記事を公開しました。

アメリカは2019年に33,818匹の霊長類を輸入し、その60%以上が中国から来ていた等、恐ろしい数字が出ています。中国から入ってこなくなったので、何とかしてサルを確保したいわけです。

これに対し、ハーバード大学発のバイオ関連スタートアップ企業であり、臓器チップを取り扱うエミュレート社は、真っ向から反論するコメントをサイトで公開しました。サルを繁殖することが解決なのではなく、動物モデルに代わる革新的な研究方法を奨励することが重要だと訴えています。


翻訳

今、医薬品開発における非ヒト霊長類試験を減らすべきときが来た

Emulate, Inc. 2021年2月26日

今週初め、「ニューヨークタイムズ」が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの試験で起きているアカゲザルの不足に対し、戦略的なサル保留地を建設する必要性を概説する記事を掲載した。パンデミックのあいだに中国からの動物の輸入が禁止されて以来、不足が生じており、サルの価格が急騰しているという。

しかし、この記事は本当の問題に目を向けていない。「もうたくさんだ」と言い、医薬品試験でのサルの使用を控えさせ始めるべきときが来たのだ。

我々の社会的目標は、使用されるサルの数を減らし、より革新的な研究方法を奨励し、医薬品試験のためにより多くの実験動物を繁殖するようなことはさせないようにすることだ。

明らかに倫理的懸念があること以上に、動物実験は、その有効性において、厳しい限界がある。特に今日の、これまでにないような生物学的製剤やワクチンに対してはそうだ。サルは、必ずしもヒトの病気のプロセスや薬物応答を再現できるわけではない。我々の臓器チップ技術を含め、高度に制御されたラボ環境でヒトの生物学を再現するような進歩的な生物学的製剤研究では、ヒトの薬物反応をより精密にエミュレート(模倣)することができる。

動物実験が役割を果たす医薬品試験もあるかもしれないが、戦略的なサル保留地は答えではない。代替案を模索することが、我々の責任である。よりよい健康という成果が到達点であるなら、我々は、より速く、より人道的に、そこに到達させる技術を使うよう推進する必要がある。

※訳注
このあと、アルシー・L・ヘイスティングス (民主党-フロリダ州) とバーン・ブキャナン (共和党-フロリダ州)の2名の下院議員が法案提出した「人道的研究・試験法」について述べられています。この法案は、昨日(3月10日)、議会に再提出されています。

エミュレート社は動物実験をなくすことを目指すバイオ企業

同社の「私たちについて」のページには、「動物実験に関する当社の立場」として、「動物の生物学がヒトの生物学を正確に再現するとは限らないことを私たちは知っています。私たちが提供するヒト関連技術により、医薬品やその他の製品の生産において、研究者が動物実験を超えることができるようになると信じています。」と書かれています。

また、「家族」として、犬たちの写真が載っていました! 「犬、そして全ての動物たちが、実験室にいるのよりもっといい場所にいるべきだと信じている」というメッセージも。動物愛あふれるバイオ企業というのは日本ではなかなか見ないかもしれません。

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