犬猫業者基準の解説について検討開始~動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会(第8回)傍聴メモ

環境省の「動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会」が再び始動しています。

今年6月1日、改正動物愛護法の2年目施行がありますが、それへ向け、犬と猫を取り扱う業については数値基準等が定められ、パブリックコメントを経て、新しい飼養管理基準に関する省令の内容が固まりました。しかし、この新省令に盛り込めなかった詳細な遵守の考え方や、精緻に書き込めなかった部分(温度・湿度や品種ごとの配慮など)は、全て「解説書(仮称)」に書くと環境省は言ってきました。

また、この「解説書」には、守らなければならない遵守事項に関する考え方だけでなく、理想とする飼養管理等についても盛り込むとのことで、守らなければならない遵守事項と、守らなくてもよい推奨事項が混在する予定です。

その「解説書」の内容を、この「動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会」で検討することになっており、その最初の回が3月9日にありました。

またしても、犬猫以外の動物が先送りになっている状態ですが、スタッフによる傍聴メモでご報告します。この日は、オンライン傍聴でした。

資料は、こちらにアップされています。

動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会(第8回) 傍聴メモ

議事(1)基準の解説書(仮称)について

資料1 第3次答申(動物愛護管理法の飼養管理基準に関する省令)の概要について

○質問・意見

磯部:P1の1.基本的事項の基準省令の施行期日の部分で、「経過措置期間終了までに新たな基準に適合できないと判断される場合には、勧告、命令、取消しを視野に厳格な対応を行う必要がある」について確認したい。

環境省:経過措置を定めた基準との乖離が大きい事業者には、施行日以降には勧告・命令がありますよと、集中的に指導していく。施行日以前は、行政指導である。来年6月までは命令・勧告はできない。

資料2 基準の解説書(仮称)の全体構成について

○説明

・P1 解説は、事業者が必ず守らなければならない事項の解説である。ガイドラインではない。
・P2 よりよい理想的な飼養管理の考え方について、まだ情報収集しきれていないのでご意見ください。

○質問・意見

渋谷:一つの基準の解説の中に勧告・命令の対象になるものとならないものがあるので、業者が、この2つをはっきりわかるように書いたほうがよい。

武内:だらだら書かれるとどこが肝かわからない。事業者と自治体が見る目は違うと思うので、別冊にしてもよいかもと思った。内容はいいが、どう見せていくのがよいか工夫してはどうか。

水越:解説書は実際に使えるものにしなくてはいけない。事業者としてやるべきこと、自治体がやるべきことをしっかり書いたほうがよい。そうじゃないと使えなくなってしまうと思う。厚労省で今つくっている補助犬と使用者の飼養管理の手引きは、まず、やるべきことを書いて、後ろに推奨事項を書いている。

加隈:事業者はいっぱい書いてあっても、ちゃんと実務に落とし込めない。たとえば、実験動物は雛形を作って各大学が外部評価をやっている。見る側もいろいろあるとわかりにくくなってしまう。具体例があるとよいと思う。

佐藤:畜産のほうでは、事業者は数値基準しか見ない。行政は動物がどうなっているかを見ることになると思う。今回も同じようにできるかわからないけど、動物ベースの指標があまり書かれていないので必要だと思う。

磯部:この解説書はどう発出されるんでしたっけ。

環境省:技術的助言として自治体に示す。HPで業者も見られるようにする。

磯部:技術的助言というものとして役に立つように書くことが大事。理想的な部分は、業者向けのメッセージになるのかと思うので、書きぶりをそのようにするとよい。P4の行政指導・勧告のことを聞きたい。

環境省:一部の基準の経過措置期間中でも、たとえば新たに規定した体表が毛玉で覆われた状態等の犬猫の不適切な状態を禁止する基準については、今年の6月1日から直ちに改善させられる。一方、経過措置期間が設けられている員数などの基準については、大きく乖離しているものは改善計画を出してやってもらうなどして経過措置期間終了までに間に合うようにやってもらう。

指導方針の部分は、整理して書き直す。趣旨は経過措置を設けているものについて、現行では乖離している者がいる。その人たちは施行日までに努力してもらう。措置期間が終わったときまでに間に合わないと困る。間に合わないことが避けられない場合、またはじめから指導をやるのではなく、すぐに処分等に移れるようにしたいために書いた。

資料3 基準の解説書の骨子案

1~3について

○説明

・解説の部分は、言葉の定義や基準の定義をメインに書いている。基準の解釈について書いている。
・P14の常勤以外の職員についての例として、二人で40時間なら員数は1になる。

○質問・意見

水越:細かくて本当に読むのかというところだが、ケージについてのところで、犬種の体長は理想で書かれているがブリーディングの雌犬は大きめの子が多い。お産が楽になるから。なので、この数字では実際にくらべると小さくなってしまう。書きぶりの問題だが実際の体長で計算する必要があることを分かるように書いた方がよい。品種ごとのケージ等の具体的数値が、犬の品種がとても多い。猫は少ない。猫のところには、新しくて品種として認められていないものが入っている。

戸田:かなり理解するのが大変なのではないか。直感的・視覚的に理解できるものにしないと使いにくいものになってしまう。図などの多用が必要だ。

加隈:品種ごとのケージ等の具体的数値が、細かく計算されていてわかりにくい。ある程度カテゴリーで示すことと、日本で多く飼われている品種を集めて示した方がよい。一部の品種は疾患が多いものもいて、外国では、ブリーディングをやめていこうとなっている犬もここに示されているので、そういうものは目立つように書かない方がよい。第2種の員数のことで、雇用されていないボランティアだけの団体がある。ボランティアは含めないのか。

環境省:ここで示していないので、次回示す。

4~7について

○説明

・P35 図表17の赤字で書いてあるものは、新しく加わったものである。

○質問・意見

水越:P25の健康診断について、具体的にやるべきこと、モデル的な健康診断の項目を示してほしい。どこまでやればいいのか獣医師が困ってしまう。最低限やってほしいものと推奨のものを示すとよい。帝王切開の診断書も、モデル的な診断書があると標準的な診断ができると思う。健康診断か繁殖の時かわからないが、ブルセラ症の検査も入れるとよい。人獣共通感染症のことはどうするのか。入れた方がよいと思う。

武内:血液検査も入れるのか。

環境省:個体の状況によって違うと思う。一律には難しい。ご意見ください。

水越:一次的な検査を考えればよいと思う。

武内:具体的にしないと獣医も困ると思う。血液検査をするかどうか困ると思う。

加隈:健診で異常があった時に、治療してない場合は虐待になるのか。

環境省:「速やかに」と義務規定になっているので違反になる。ネグレクトも虐待に問われる。

佐藤:アニマルベースド メジャーが必要だと思う。獣医師は、身体的なチェックに集中しがちだが、行動や心情的なものについてのチェックもつくってもらいたい。畜産では入れているので。

武内:動物の状態をどこに書くかというと、アニマルベースド メジャーに書いても病院に来たときはその状態が出ないと思うのだが、コンテンツとして入れてもよいと思う。

水越:爪とか毛とかで見ると、チェックできる。病院では行動は出ないから。健康診断のチェックのポイントに爪・毛などを入れればよいのではないか。

渋谷:P16の(4)員数の経過措置期間における対応の中ほどにある員数規定は、施行時点において即勧告・命令の対象になるのか。

環境省:即勧告・命令の対象になる。即ならないものはない。全体が、即勧告・命令の対象になる。勧告・命令は全体にかかる。

加隈:輸送の定義がないのであるとよい。「2日間おく」というところが、移動の展示業者は2日前にできないと思う。住宅展示場でやるみたいなのはどうなるのか。飼っている場で動物の状態がハッピーかどうか見ることができる指標を入れてもらいたい。

磯部:全体に関することで、勧告は基準違反でできるが、告発は簡単にできない。命令は即はできない。命令には、弁明の機会が与えられないとと思う。法の執行の部分は、分けて書いた方がよいのではないか。

環境省:命令と勧告はステータスが違うので、書き下していきたい。

武内:HPで示すなら、まずチェックリストを出して、分からなかったら次のコンテンツまた分からないところは次のコンテンツとかにしたらどうか。読むのが難しい。困っている人にアプローチできるような形にしないと、実際に使われない感じになったら困る。順番を考えた方がよい。関連ある項目を近くに書くとか。

水越:解説書が分厚くなりそうだから、行動チェックのポイントのリストがあるとやりやすいと思う。具体的なチェックポイントがはじめにあって、その後にばあっと解説があるとよいのではないか。

資料2のタイトル案について

武内:堅いと思った。

加隈:わかりにくかったのは、保管の解説書のイメージが強かったが、こちらは具体的な守らなければならないものなので、飼養保管の解説書とまざっちゃうと思うので別の名前がよい。

佐藤:チェックリストから入るのはとてもよい。はじめから、「飼養管理基準のチェックリスト」として、後の方に解説を書くのがよい。

環境省:参考にする。行政が行使するものなので、柔らかくしすぎるのもどうかなので。

武内:本称(?)と副称(?)があるといいのかも。

磯田:チェックリストやマニュアルにすると、本質を理解しなくてもいいみたいに取られることもあるから、方向が書いてあるので副題や通称をつけてもよいが、本質を示す名称が必要だと思う。

加隈:英語にしたとき、レギュレイション、レコメンデイション、ガイドライン、ガイダンス、ガイドとかよく分からないけど、英語にするとどれに当たるのかも考慮してほしい。チェックリストだとちょっと…。

全体を通じて

水越:資料3で広げようとするところがたくさんあったが、あまり広げなくてもよいのではないか。時間的なことを考えてやるべきものの部分にしっかりしたものをやった方がよい。理想のところを広げすぎると際限ない。無理に広げる必要はないのではないか。

武内:本にするのか、HPにするのか?

環境省:ネットに掲載する。余裕があれば本にするかもしれない。

武内:環境省のHPを見ると、自分がどこにいるのかわからないものになっているから、分かるようにできるのか。リンク、またリンクとつないで。

環境省:具体的にはまだ考えていない。

武内:重要なものと、それほどでもないものとを分けて。

加隈:パンフレット的なものとフルバージョンのものがあるとよいのではないか。海外では、飼育者のものはコンパクトで、それがわからない人はフルを見るとなっているからそういうのもよいのではないか。

武内:最低限のものは紙で出すとか。

戸田:理想の提示より、明らかにだめなことがわかる形にしたらよいのではないか。視覚的に示す。そのへんに労力を割くのがよいのではないか。

議事(2)その他 

資料4 今後の検討の進め方について

○説明

・資料の通り。

○質問・意見

武内:5月の検討会の前に途中で進行状況の連絡があればよい。

環境省:途中では出さない。今回のをもって、次回にするので。

武内:5月の検討会の資料は早めに出してもらえたらよい。

環境省:はい。

 

2019年改正法 2020年、2021年施行 動物愛護管理法 まとめ

 

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