【海外署名紹介】フィリピンより:野生カニクイザルの動物実験用繁殖目的の捕獲にSTOP!

アクション・フォー・プライメイツという団体とフィリピン動物福祉協会(PAWS)が、行っている署名に、ぜひご協力ください。現在フィリピン国内で1件申請が出ている、実験利用目的での野生カニクイザルの捕獲について、許可を出さないよう阻止するための署名です。

要望先はフィリピンの環境天然資源省及び動物産業局で、Care2という海外のサイトで行われています。

英語での署名になりますが、下記に方法を説明した図も掲載したので、ぜひご協力ください。内容の日本語訳はこちらに掲載しました。

報道によると、フィリピン国内には7カ所サルの繁殖施設があるが、数年前のエボラウイルス蔓延以来、操業が停止しているとのこと。2015年のレストンエボラウイルス発生のことを指しています。人間では発症例のないウイルスで、いわゆる猿エボラです。

しかし、これらの施設の許可はまだ生きており、今回のサル捕獲により飼育下繁殖プログラムを復活させるつもりがあると報じられています。

もしその通り実験用の繁殖施設が復活してしまえば、日本へもサルが輸出されてしまうかもしれません。日本も無関係とは思えません。

そもそも、生息数が減少している中、東南アジアで実験用に野生のカニクイザルが数多く捕獲され続いていることは問題です。また、カニクイザルの亜種philippensisは、フィリピンの固有種で、IUCNのレッドリストでは準絶滅危惧種(NT)です。(→その後、「危機(EV)」に引き上げられました。詳しくはこちら

新型コロナウイルス研究のための利用増をあてこんでいるようですが、中国で大型の密輸が摘発されたり、野生動物取引について規制が強化されたりしていることから、もしかしたら他の国に供給を求めているのかもしれないといったことも想像してしまいます。

フィリピンでは、かつて日本のイナリサーチという会社が実験用カニクイザルの飼育施設を持っていました。他社ブリーダーからカニクイザルを仕入れ、出荷検疫を行う施設でした。2015年に、レストンエボラウイルス発生により、農林水産省がフィリピンからのサルの輸入の停止措置をとり、直後にイナリサーチはこの施設を封鎖した経緯があります。

イナリサーチのフィリピンのサル施設経緯

1994年4月 フィリピン現地法人 Ina Research Philippines, Inc.(INARP)を設立
1998年5月 INARPにサル育成施設 Primate Quality Control Center(PQCC)を開設
1999年2月 INARPが、農林水産大臣の指定する出国検疫施設に指定される
2014年5月 INARPが、農林水産大臣の指定する出国検疫施設から削除される
2015年9月 猿エボラ発生により、農林水産省がフィリピンからのカニクイザルの輸入を停止する
2015年11月 PQCC閉鎖

また、現在も1カ所、フィリピン国内で日本に霊長類を輸出する際の出国検疫施設として農林水産大臣の指定を受けている施設が残っています。(デルムンド・トレーディングの施設)

野生のサルを命の危険にさらし、本来の野生の暮らしや自由を奪い、狭いケージに閉じ込め、子孫には動物実験が待っている。そんな野生動物の搾取を許さないよう、ぜひ署名にご協力ください。

署名本文訳

フィリピンの環境天然資源省(DENR)は、研究目的での野生のオナガザル(Macaca fascicularis spp. philippensis;カニクイザルの亜種philippensis)の捕獲申請を少なくとも1件受けています。これは、新たに捕獲したサルを母群として利用し、研究のためにサルを繁殖し、輸出する飼育場の復活を意味する可能性があります。

今すぐ署名して、研究など、あらゆる目的のために野生のサルを捕獲することに対し国際的な懸念があることを、フィリピン政府に認識させてください。

霊長類は認知能力が高く、社会性のある動物で、捕獲によって本来の生息地や家族、社会的な群れから切り離すことは残酷であり、けがや死に至ることもあります。人以外の野生の霊長類の捕獲に伴う苦しみを認識している公的機関や組織もあります。例えば、国際霊長類学会です。

「野生からの霊長類の捕獲は、その動物にとってストレスであり、捕獲、保管、輸送中の苦痛、けがのリスク、病気の蔓延、さらには死に至る危険性を増大させる。」

アクション・フォー・プライメイツとフィリピン動物福祉協会(PAWS)はDENRに対し、本来の生息地から取り除くのではなく、固有の霊長類を保護するよう訴えています。カニクイザルの亜種philippensisは、CITES(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の付属書IIに掲載されています。フィリピンはCITESの加盟国として、この種の保全状況を守る責任を負っています。さらに、国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種レッドリストの最新の評価によると、カニクイザルの亜種philippensisはまた、個体数が減少している「準絶滅危惧種」にリストアップされています。この種の減少に関して確認されている脅威は、狩猟と生息地の喪失です。

DENRは野生のサルの捕獲許可を与えるかどうか検討しているところですが、サルの個体数の増加と人間との衝突について挙げています。代わりに、私たちはDENRに対し、人間とサルの衝突に対処するための人道的なアプローチを採用するよう強く求めています。人道的に衝突を解決するために効果的に利用できる方法があります。生殖管理や、リロケーション(注:別の場所に移すこと)、公衆の意識向上・教育などが含まれます。

関連ページ

追記:この問題に関し、国際的な動物福祉団体の連盟からフィリピン政府に対し要望書が出されました。詳細は下記のページをご覧ください。(5月)

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https://animals-peace.net/action/philippine-wild-monkeys.html動物実験用の繁殖に使う目的で野生カニクイザルの捕獲許可を出さないよう求めるフィリピンからの署名へのご協力のお願[…]

追記2:2回目のレターです。(12月)

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フィリピンで、野生カニクイザルの動物実験・繁殖目的での捕獲許可申請が今年3月に出ている件で、動物福祉団体の国際連盟であるAsia for Animals Coalition(Afa)が、再びフィリピン政府にレターを送ったとのことです。12月[…]

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