野生動物を繁殖して銃で撃たせる商売―缶詰ハンティングを告発するドキュメンタリー映画『ブラッド・ライオンズ』(日本語字幕版)無料公開

狩猟と言えば、自然界に生きる野生動物を撃つものという思い込みがありますが、実際にはそんなことはありません。日本では各地の猟友会により繁殖されたキジやヤマドリが放鳥され、スポーツとしてハンティングされています。

アメリカや南アフリカでは、これをさらに囲いの中で行う缶詰ハンティング(canned hunting;缶詰狩り、缶詰狩猟)のサービスが存在し、絶えず批判の対象となっています。撃ち殺すために大型の哺乳類を繁殖させ、残酷に殺すということそのものが受け入れがたいですが、逆にハンターから見ても、本物の狩猟ではないと感じるわけです。

南アフリカで行われている、こうした缶詰ハンティングの実態を追ったドキュメンタリー映画に『ブラッド・ライオンズ』がありますが、このたび日本語字幕版がYouTubeで無料公開されたとのお知らせをいただきました。

『ブラッド・ライオンズ』日本語字幕版 [PG-12] はこちら: https://youtu.be/3oxwiqI-bpM

ハンターからお金をとり、射撃させるためにライオンなどの野生動物を繁殖する牧場は、時には「保護区」を名乗ることもありますが、「保護に寄与する」とはいかに名ばかりの言い訳であるかが、この映画では炙り出されています。

繁殖は、保護ではない。動物園での繁殖維持にも通じるものがありますが、人々はこのことを理解するべきでしょう。

欧米諸国などから南アフリカに来るハンターは、「獲物」が保証された缶詰ハンティングのサービスを利用し、撃ち殺した動物を自国に「トロフィー」(仕留めた証しとして飾る剥製などの記念品)として持ち帰りますが、いま各国がこうした持ち帰りを法的に禁止する方向にあるのも、缶詰ハンティングの醜い実態が明らかになってきたからにほかならないでしょう。

ハンターたちの欺瞞に満ちた物言いに反吐が出るかもしれませんが、ぜひ映画をご覧になってください。

また、「ブラッド・ライオンズ」と世界動物保護協会(WAP)が署名活動も立ち上げており、日本から協力することができます。署名自体は英語ですが、この映画を日本に紹介している「ライオンズ・テイル」のサイトに日本語訳が掲載されています。ぜひご協力ください。

映画紹介

プレスリリースより

【速報】南アフリカ・ドキュメンタリー映画『ブラッド・ライオンズ』
全世界で視聴可能に!

南アフリカで製作され、国内外での受賞歴と高い評価を獲得したドキュメンタリー映画『ブラッド・ライオンズ』が、ついに全世界で無料公開されることになりました。ライオンをはじめとする肉食動物が人間の手で飼育繁殖された後、いかに搾取されているのか、世界的な関心をさらに高めるでしょう。この作品は2015年に初公開され、南アフリカの肉食獣繁殖産業や缶詰狩猟業界によるこれまでの欺瞞に満ちた主張を一掃しました。

『ブラッド・ライオンズ』が世界中で公開される今この時は、まさに南アフリカのライオンたちにとって重要な時です。
バーバラ・クリーシー環境大臣によって任命された内閣タスクチームは、一連の産業からライオンのオーナーたちの自主的な撤退を促すため、政策設定の明確化に取り組んでいる最中です。この専門家チームは、その撤退を段階的に実施させると共に、経過の監視と監督も担うことになるでしょう。

NPO法人ブラッド・ライオンズの理事で映画の特別顧問でもあるイアン・ミヒラ―は、「これは一刻も早く実施されるべきですから、私たちは関連産業を閉鎖する過程において環境省を支援します」と述べています。「数千頭ものライオンをはじめ、多くの肉食獣が日々苦しみ続けている中、南アフリカの自然保護と観光に対する評価は年々低下しています。『ブラッド・ライオンズ』が世界中で公開されることで、今も続くこれらの産業の恐ろしさについての認識は更に広まるでしょう」


ブラッド・ライオンズYouTubeチャンネルにて、6カ国語の字幕版も公開中とのことです。
https://www.youtube.com/@bloodlionsofficial8835/videos

原題:Blood Lions(2015年公開/南アフリカ/85分)
公式サイト:https://bloodlions.org/

PG-12 12歳未満の方は保護者の助言・指導が必要です。

類似の映画にご注意!

似たような題材を扱う映画に、『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』(原題: Mia et le lion blanc、2018年公開/ドイツ・フランス・南アフリカ/98分)という映画もあり、NetflixやAmazonプライムなどで視聴できますが、こちらはフィクションであり、どちらかというと子ども向けの作り話的な内容です。

確かに缶詰ハンティングには批判的なのですが、ホワイトライオンが意図的に繁殖されていることにもっと批判的であるべきなのに、どうしてこういう内容なのだろうと不思議に思うようなところがありました。

ホワイトライオンに関し宗教性や神秘性をことさら強調し、保護しようとすることは、健全な保全にとって有害です。また、この映画のラストは先住民に対するステレオタイプ的な描き方も行われており、疑問を感じました。

調べてみると、「3年以上をかけて信頼関係を築いた」とされる実際の撮影方法がそもそも保全とはかけ離れたものでした。

出演するライオンたちは「ウクトゥラ・ライオン・ファーム」という、射撃用にライオンを年間何百頭も繁殖するような繁殖場から購入されたそうです。つまり、缶詰ハンティングやふれあいのために早期に母親と引き離すのと同じ方法がとられたわけです。これらのライオンを人に慣らす過程で、死亡した女性もいたそうですが、なぜ実際のライオンを調教して撮影することが美化されてしまうのでしょうか。缶詰ハンティングにお金を払って支えることと、保護のメッセージが共存できるとは思えません。

この映画を撮ったのは、飼育下で繁殖された大型の肉食獣と身体的に接触して交流することでヒーローであろうとする人々のひとりだったのです。この映画は、保護を支援するものでも、ライオンや他の野生動物の尊重について視聴者に何かを教えるものでもないでしょう。

『ブラッド・ライオン』のようなドキュメンタリーのほうが、現実を知るためには有益だと思います。

参考リンク

動物愛護団体の調査により、米国人狩猟家たちが、年間12万6000頭を超える「戦利品」を国内に持ち込んでいることが判明した…

GIGAZINE

南アフリカにはライオンやヌーなどの野生動物を狩猟者が撃ち殺す「キャンド・ハンティング」なるスポーツがあり、10億ドル(約…


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