昨日12月27日付けで、農林水産省の農林水産技術会議が、動物実験基本指針(正式名称は「農林水産省の所管する研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」)の運用状況についてアンケート調査をした結果を公表しました!
10年前に指針が通知されてから、初めてのことです。
また、動物実験基本指針のページも新しく作成されたとのことです。
今年、当会では、農水省の動物実験基本指針の運用等について質問書を送り、そのやりとりの中で指針の遵守状況について調べているとの情報を得ていましたが、この調査は、さらにその後、9月30日時点の取組状況について再度調査を行った結果を公表したものだそうです。
今年は、参議院で提出された川田龍平議員による質問主意書でも、農水省の同指針が民間企業に適用されていないことが確認されていますが、このアンケート調査では、指針が適用されている機関だけではなく、そういった、指針の対象外となっている民間の事業者も含めたところが目を引きます。
有効回答のうち動物実験を行っていた業者は41だけですが、薬機法、農薬取締法、飼料安全法に基づき、承認・登録・指定の申請の際に必要となる実験動物を用いた試験を実施している業者が対象になっています。
指針の対象となっている機関のうち動物実験を行っている5機関では、規程も動物実験委員会も存在することが確認されていますが、民間の事業者では1か所、規程もなく動物実験委員会による審査も行っていないところがあります。
また、外部評価や情報公開については以下の通り。
農林水産省の機関及び独立行政法人のうち外部評価を受けている1機関は、独自に依頼をして評価をしてもらったものであり、既存の外部評価のしくみを利用したものではないとのことです。
また、農林水産省の機関及び独立行政法人では外部評価を平成29年度までに実施する予定という回答が多いですが、農水省では、どの外部評価を受けることが望ましいといったことは特に表明しておらず、業務内容に応じ、それぞれの機関で決定することになるそうです。(厚労省関連はHS財団の外部評価、文科省関連は国動協・公私動協の外部検証がそれぞれつくられましたが、農水省関連は特にカバーされていないという背景があります)
当会では今年、独立行政法人家畜改良センターの指針に対して要望をしたり、動物医薬品検査所に問い合せをしたりする中で、農林水産省の動物実験基本指針の浸透状況が不十分であることを実感していましたが、同指針が対象としていない民間の事業者については全く情報がありませんでした。
もちろん、たったこれだけの項目について状況がわかったからといって現場での動物たちの扱いがどうなのかの詳細がわかるわけでもありませんが、10年を経てやっと農水省も指針があることを思い出してくれたようには感じました。
これも動物愛護法改正の時期が近づいていることと無関係ではないでしょう。
次回の法改正では、最低限、施設の登録制(もしくは届出制)が実現するよう、皆様ぜひご協力ください。