ノースサファリサッポロ アザラシ

ノースサファリサッポロの鳥獣保護法違反について、TV報道がされました

2025年2月21日追記:ノースサファリサッポロが「実際には死亡していないにも関わらず7頭が死亡と報道されていることなど事実と異なる点」があると公表しましたが、札幌市環境局環境都市推進部環境共生担当課に確認したところ、確かに去年ノースサファリサッポロからアザラシは有限会社バーデンに返却したとの文書が送られてきているが、それを証明するものは何も提出されておらず、返却が真実かどうかはわからない、2015年当時園長に聞き取った内容を事実と受け止めざるを得ない状況とのことでした。そもそも修正の手続きなども存在せず、市側では何も対応はしていません。よって、ノースサファリサッポロの公式サイトに記載されている「また、その他関係許可申請等につきましても是正されております」という文言については、少なくともアザラシの飼養については、そのような事実はありません。(2025.3.9修正・補足)
ちなみに、返却が真実なら、今度はバーデンが北海道に虚偽の説明をしていたことになってしまいます。

土地計画法で定められた市街化調整区域に無許可で建物を建て、20年も違法状態で事業を続けていた札幌市のノースサファリサッポロについて報道が続いていますが、建物の撤去計画が昨日18日、札幌市に提出されたとのことです。

他の問題が新たに発覚しているので、こちらの記事に追記していきます。

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ノースサファリサッポロ デンジャラスゾーン

今回ご報告したいのは、ノースサファリサッポロが野生のゴマフアザラシを、毎年必要な飼養登録をせずに5年間飼育していた問題についてです。2020年に当会が札幌市に根拠となる文書を提出し指摘したところ、ノースサファリサッポロに指導が入り、生きているアザラシについては飼養登録がなされました。

行政の対応としてはそれで終わりで、特に処罰等はなかったため目を引かず、当時、大手新聞社の北海道支局や地元地方紙などに情報提供しましたが、まったく反応がありませんでした。しかし、今回ノースサファリサッポロの他の問題が次々発覚するなかで、ようやくこの問題がテレビニュースでも取り上げられました。

グランピング施設のアザラシ、虐待だと炎上

去年11月、Xにノースサファリサッポロの運営するグランピング施設にいるアザラシに関する投稿がなされ、あまりにかわいそうだ、虐待だ、ということで炎上しました。このとき、札幌市には500件の通報が寄せられたそうです。当会も札幌市の動物愛護管理センターに指導の状況などを確認しましたが、詳細は教えられないが、何もしていないわけではないので理解いただきたいとの説明でした。

J-CAST ニュース

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ピンズバNEWS

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この炎上中に、PEACEでは以下の投稿をしました。ノースサファリサッポロの過去の鳥獣保護法違反についてです。

このことについて、集英社オンラインから問い合わせを受け、情報提供もしました。この問題について、初めて報道されました。

集英社オンライン

ノースサファリサッポロの鳥獣保護法違反、発覚の経緯

ゴマフアザラシは狩猟鳥獣ではないので、野生捕獲された個体を飼育する場合、毎年、自治体に飼養登録が必要です。これは鳥獣保護法で決められていることで、その動物が生きている限り、毎年、飼養者が登録をする必要があります。(例えば、野生捕獲のニホンザルを使っていた動物実験施設は、毎年、この登録をしていました。猿回し業者も、登録数から野生捕獲のサルがどれだけいるかがわかります。)

ノースサファリサッポロは2015年に9頭の野生捕獲のゴマフアザラシを千葉県旭市の動物商「有限会社バーデン」から購入していましたが、飼養登録がなされていないこと自体は、札幌市に1件も登録がないことから、わかっていました。

ただ、当初は「ノースサファリサッポロに礼文島で捕獲された野生のゴマフアザラシがいるはずだ」と口頭で言っただけでは何の証拠もないということで行政は動きませんでした。

事態が動いたのは、捕獲し販売した業者がゴマフアザラシの捕獲許可に際し、アザラシたちの行き先について偽って報告していたことが判明したため、北海道から厳重注意を受けたことがきっかけです。(事実と違ったのはノースサファリサッポロ以外の販売先です)

その厳重注意文書と、それに至る経緯について公文書開示請求をしたところ、過去にノースサファリサッポロに9頭を売った証拠となる書類(動物依頼契約書と納品書)の写しも北海道に提出されており、開示されたため、札幌市にそれらのコピーを要望書とともに送りました。

それが2020年のことでした。販売された2015年から実に5年が経っていましたが、その間、一度も鳥獣保護法上の飼養登録は行われていなかったことになります。そして、その指導等の経緯についても開示請求をしたため、9頭のうち7頭が既に死亡しているということも、わかりました。

ノースサファリサッポロからほかへ転売されているのではないか、転売がされていた場合は販売先の事業者も法律違反をしているはずだから対処してほしいと要望書には書きましたが、ノースサファリサッポロの自己申告によれば、多くは死亡だったことになります。

下記が開示書類からの抜粋ですが、読んでいただければわかる通り、当会が札幌市から報告を受けたのは飼養登録が完了してからであり、「指導によって適法な状態になった=処罰等はない」という報告を受けたのでした。

札幌市 開示資料 ゴマフアザラシ

ノースサファリサッポロの鳥獣保護法違反についても地元テレビ局が報じる

ノースサファリサッポロについては、市街化調整区域に無許可で建物を建てていることが発覚したあと、次々とほかの問題についても報道されていますが、いよいよ、このゴマフアザラシについての鳥獣保護法違反についても報道されました。

北海道放送(HTB)
「総力報道・追跡 無許可建築多数の動物園 ノースサファリサッポロ 今後はどうなる?」( 2025年 2月14日)
野生アザラシ9頭を無許可で飼育し7頭が死んでいた…『ノースサファリサッポロ』札幌市が確認した違法建築物は156施設 運営会社は今週“撤去”計画書を提出か」( 2025年 2月17日)

STVニュース北海道
『日本一危険な動物園』撤去計画はまだ提出されず…飼養未登録のアザラシ大量死も発覚 札幌市」( 2025年 2月17日)

そこに書かれていたのはー
「ノースサファリサッポロで飼育されているゴマフアザラシは飼養登録がなされていない」

市に寄せられた情報でした。

ノースサファリは2015年に業者から野生のゴマフアザラシを9頭購入していましたが、市に届ける必要がある「飼養登録」を行っていませんでした。

市が立ち入りで確認するとー
アザラシは9頭中7頭が死んでいました。

購入から無登録状態にあった5年間で大量死が明らかとなったのです。
ずさんな経営体制ともいえるノースサファリサッポロ。
違反状態はいつまで続くのか。
札幌市の対応を含めて注目されます。
(前述のSTVニュース北海道 2月17日報道より)

北海道放送(HBC)2025年2月17日放送「野生アザラシ9頭を無許可で飼育し7頭が死んでいた…『ノースサファリサッポロ』札幌市が確認した違法建築物は156施設 運営会社は今週“撤去”計画書を提出か」より

展示のための捕獲など許すべきでない

そもそもこの問題は、北海道が展示目的での野生動物の捕獲を許可したことから始まっています。当時、動物園・水族館関係者からも、今そんなことはあるはずはないと言われましたし、鳥獣保護法の対象となる動物ではほとんど例がないことですが、実際に捕獲されていました。(ちなみに、イルカは鳥獣保護法で保護されていません)

こうした捕獲が行われるのは、安易に「動物を見たい!かわいい!」などと思う人がたくさんいて、動物がお金になるからです。こうした施設へ行って動物を見たり触ったり餌やりしたりすることを「楽しむ」人たちは、自分たちが何を引き起こしているのか、自覚するべきでしょう。

ちなみに、去年から「アザラシ幼稚園」として話題になっているオランダのアザラシ保護センター「ピーテルブーレンアザラシセンター(Zeehondencentrum Pieterburen)」の活動を見ればわかると思いますが、野生生まれのアザラシたちは、まず人の手から魚を食べられるようにならなければ飼育下で生きられません。日本で野生アザラシの保護経験のある水族館にいた方の話も聞きましたが、食べなければ喉に魚を突っ込んで食べさせる強制給餌をしなければならないし、食べた量も確認が必要なので、最初は1頭ずつ隔離して管理をするとのことでした。

ノースサファリサッポロや動物商のところで、そのような丁寧な飼養管理ができるとは思えません。多数死亡していても、「まあ当たり前だろう」と感じたのは事実です。「ゆうぞう」と「シュガー」が生き残っていたのが、むしろすごいことです。

動物園・水族館の飼育の歴史を振り返れば、雑にやっても生き残る個体が適応し、そうした飼育下に適応した個体同士で掛け合わせて繁殖していっているのが現実です。関係者は意図的に間引いたつもりはないでしょうが、淘汰は行われた後です。動物園・水族館が野生の姿とは別のものを「保存」しようとしていることは明らかです。

ノースサファリサッポロのアザラシ(2024年6月)

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ノースサファリサッポロ デンジャラスゾーン

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