昨年のSTAP細胞事件のみならず、近年様々な研究不正が取りざたされており、研究倫理教育にも注目が集まっています。
その中で、文部科学省も教材の例として示しているのが、「CITI Japanプロジェクト」のe-ラーニングですが、この中では実験動物の取扱いについてもオプションで学べるようになっています。
「実験動物の取り扱い」
単元1:動物実験の基礎知識
単元2:動物実験の実施にあたり配慮すべきこと
昨年問い合わせた際は、この部分はまだ完成しておらず、内容を検討中とのことでしたが、本年4月より、実施されていたようです。先日、内容を見る機会があったのですが、予想以上に動物に同情的な記述もあり、こういった視点が浸透してほしいと感じる部分がありました。
ただし、動物実験/実験動物に関連する法令の整備に関しては疑問のある記述が続いているため、ウェブサイトから意見を送りました。「CITI Japanプロジェクト」では、ウェブサイトで教材に関する意見も積極的に募っています。
特に、日本学術会議の「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」の適用範囲が、文部科学省、厚生労働省あるいは農林水産省の所管にあるものに限定されている点が疑問だったので、学術会議に問い合わせを行い、「活用の範囲を限定するものではありません」との回答を得ました。
これに基づいて「CITI Japanプロジェクト」に意見を送りましたが、この点はガイドライン内には明記されていないので、よいきっかけになったように思います。
内容に関するものとしては、以下の意見を送りました。
○「安楽死処置」にエーテル不可を追加してほしい
○「飼養の環境」にウサギ、ブタを追加してほしい
学術会議からの回答は、以下の通りです。
平成27年8月11日
「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」に
関する問い合わせ(2015年7月24日付)への回答
「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」は、動物実験等を実施する機関等を所管する行政機関(文部科学省、厚生労働省等)の策定した動物実験等の実施に関する基本指針等並びに環境省が策定した実験動物の取扱いに関する基準を基に、各研究機関が動物実験等に関する規程等を整備する際に、モデルとなる共通ガイドラインを文部科学省および厚生労働省の依頼を受けて、日本学術会議が作成したものです。本ガイドラインの目的は、科学的観点から動物実験を遂行することであり、その活用の範囲を限定するものではありません。
日本学術会議 基礎生物学委員会・統合生物学委員会・
食料科学委員会・基礎医学委員会・臨床医学委員会・
薬学委員会合同 実験動物分科会
質問書全文
2015年7月24日
日本学術会議 御中
「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」に
関する問い合わせ
時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、私どもは動物保護団体として、動物実験のあり方に関心を寄せるものです。2006年に日本学術会議が策定された「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」に関し、確認したいことがあり、お問い合せさせていただきました。
以下の点について教えていただけないでしょうか。
「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」(以下、ガイドライン)が対象とする機関の範囲について教えてください。
今般、研究倫理に関し関心が高まり、e-ラーニング教材として「CITIジャパン」が動物実験倫理についても教材を作成していますが、その中で日本学術会議のガイドラインの対象機関について「文部科学省、厚生労働省あるいは農林水産省の所管にあり、動物実験を実施する大学、研究所、独立行政法人などです」と記述しています。
確かに、ガイドライン文中に、文部科学省、厚生労働省等の指針及び環境省の基準をもとに作成されたことが記載されていますが、産業動物を対象外とすること以外、明確にその適用範囲が述べられていないように思います。
日本では、文部科学省・厚生労働省・農林水産省が所管する機関以外が行う動物実験に関して国の動物実験指針が存在しない状況があり、自主規制の形としても不完全ですが、日本学術会議のガイドラインもそれらの動物実験を対象としないのであれば非常に問題だと考えます。ガイドラインの適用範囲がどこまでであるか(文部科学省・厚生労働省・農林水産省が所管する機関以外も含むかどうか)、見解を教えてください。
以上、大変恐縮ですが、7月31日までにご回答をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
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