香港でのハムスターからの新型コロナウイルス感染について(まとめ)

新型コロナウイルス第7波が、第6波までの規模を超えて進行中です。そんな中、ゴールデンハムスターを人間に触らせる触れ合いが実施されていたので驚きました。

確かに行動制限もなく、すっかり気が緩んだような感じになっていますが、ゴールデンハムスターには新型コロナウイルスが感染すること、さらにハムスター間でも感染が続くこと、そしてそれらのハムスターから人間に感染したことが強く推定されるクラスター発生が海外では起きていることなど、すっかり忘れてしまったのでしょうか。

全て、去年末から今年初めにかけて、香港で起きたことです。香港政府は強い対策をとっているので、2500匹もの動物が殺処分される事態になってました。

ここで注意してほしいのは、毛皮農場でのミンクから人間への新型コロナウイルス感染も同様ですが、こうした動物由来感染が起こりやすいのは、ウイルスの含まれた糞尿や飛沫が大量に発生する多頭過密飼育環境においてです。通常のペット飼育でも警戒するにこしたことはありませんが、動物を工場式で大量に扱う場所(繁殖場だけでなくペットショップなどを含む)は、それだけ人間が病原体に暴露する量も多くなり、要注意と考えられています。

香港のペットショップ店員の新型コロナウイルス感染は輸入ハムスター由来

今年1月、香港のペットショップ「リトルボス(Little Boss)」の店員が新型コロナウイルス感染症にかかり、感染源はオランダから輸入されたハムスターの可能性が高いと公表されました。

香港当局は、この件に関して何回もプレスリリースを打っており、その内容から抜粋すると経過は以下の通りです。

香港政府は、ハムスターを販売する香港のすべてのペットショップを1月18日から営業停止とし、ハムスターを含むすべての小型哺乳類の輸入を即時停止しました。また、昨年12月22日以降にペットショップで購入したハムスターを引き渡すよう市民に対し強く求めました。

1月20日時点で、69匹のハムスターが当局に引き渡されたと公表されました。

1月28日、損害を受けたペットショップに対し、経済的救済を提供するため、一回限りの見舞金が支払われることが公表されました。

2月15日時点で、発生源である「リトルボス」はまだ消毒等の対策中で開店できていないが、ほかのペットショップは営業が許可されているとの公表がありました。

このハムスター由来のクラスター発生に関する論文が公表された

その後、このハムスターによるクラスター発生に関する詳細をまとめた論文が公表されました。概要は以下の通りです。

ペットショップに関係する16人のうち8人(50%)と、ショップ倉庫内のゴールデンハムスター12匹のうち7匹(58%)がSARS-CoV-2陽性だった。ドワーフハムスター(n=75)、ウサギ(n=246)、モルモット(n=66)、チンチラ(n=116)、マウス(n=2)では陽性は確認されなかった。

人もハムスターも、当時この地域に感染者がいなかったデルタ株(AY.127)に感染していた。系統の分岐は、ハムスターの感染が2021年10月14日頃に起こったことを示唆している。ハムスターから複数の人に感染し、そこから人へも感染した。

ハムスターが香港に輸入されたのは2021年12月22日と2022年1月7日だが、ゴールデンハムスターの輸入があったのは1月7日で、この日がSARS-CoV-2の侵入日と考えられる。 2022年2月3日現在、このハムスター関連クラスターには82人の患者がいた。

患者2人(母と娘)が1月4日に購入したハムスターは陰性で、この2人に症状が出てきたのは12日。(7日が輸入日なので)8日に再度ペットショップを訪れた際に感染したと思われる。

ゴールデンハムスターのウイルスのゲノム配列は近似だが同一ではないことから、ゴールデンハムスター間でも感染が続いていたことが示唆される。 ゴールデンハムスターはSARS-CoV-2に自然感染し、ペット動物の取引を通じて、ウイルスが国境を越えて移動しうることが示される。

SARS-CoV-2感染ハムスターの輸入は、チェコ共和国からオランダ経由で香港へだった可能性が高いが、輸送中に感染したのか、それとも動物施設で感染したのかを調べるには、さらなる詳細な調査が必要だ。

この論文では、動物からの採取の方法は、口腔内もしくは糞便を綿棒でぬぐう方法がとられており、血液採取もしています。 ショップの動物は全頭殺処分となっているはずですが、研究とは関係ないことになっているのか、あまり明示的には書かれていないように思います。

日本政府は、輸入禁止措置とらず

日本にもオランダから数多くのハムスタ―が輸入されています。香港が輸入したのと同じファームからの輸入があるのでは?と思い、厚生労働省に確認しましたが、香港政府のプレスリリース以上の情報は持っていない様子で、特になにもしないとの回答。

この件に伴うハムスターの輸入停止措置は、そもそも日本ではとれないとのことでした。香港はゼロコロナを目指す、かなり強い政策をとっているので輸入停止も可能だが、日本ではそうした強い措置自体、とることができないというのです。

業者等からの問い合わせには、陰性証明を求めてみてはどうかといった提案を行うだけの対応をしているとのこと。これで大丈夫なのでしょうか。香港政府は、リリースで、「現時点での陰性の検査結果は、ハムスターが感染していないことを必ずしも意味しない」とはっきり述べています。

日本政府は全体に緩い対応をとっており、動物由来の感染が起きても殺処分は行わないだろうと思われる点ではよいのかもしれないですが(そもそも調べないから殺処分する根拠もないし?)、感染を防ぐという意味では、輸入停止などの予防措置は厳しくとるべきなのではないでしょうか。

また、日本人は実験動物に感染させるような研究は大好きで、新型コロナウイルスに関する目立つ研究は、ほぼその程度しかないと言ってもいいくらいの状況であり、全く科学的な貢献をしていないように感じますが、特に、疫学調査をするという基本中の基本に関する観念が欠如しているように感じます。

海外は、動物への感染と動物からの感染に対して危機感を持って臨んでいるのに対し、日本の全体的に緩い感じは、動物をいい加減に扱うことにもつながっているように感じます。

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