アニマルカフェ店内

食品衛生法改正後の飲食店内での動物飼育について~「厨房内は不可」だけが全国統一基準となった

アニマルカフェの床(猛禽の下)

韓国では3~4年の猶予期間ののちに禁止となることが決まった野生動物カフェ。日本ではエキゾチックアニマルと客を直接触れ合わせるアニマルカフェが、コロナ禍を過ぎた今も、いまだ衰退していません。

WWFジャパン

お隣韓国より、驚きのニュースが飛び込んできました。2022年1月14日、韓国環境省が韓国全土に159軒ある「野生動物カフ…

日本のアニマルカフェには、「カフェ」と言いながら、実際には食品衛生法上の営業許可が要らないようにペットボトルなどを提供するだけの店も多いのですが、食品衛生法上の営業許可を取って飲食物を提供する店もあります。

なぜ店内に動物を飼育しているような場所でカフェが、営業できるのか。「衛生的に問題じゃないんですか」「保健所に言えば止めさせられるのではないですか」等、よく聞かれます。

以前、この件について、条例に問題があることをブログにまとめたのですが、その後、2021年(令和3年)6月1日付で食品衛生法の改正があり、法体系に変化がありました。(それに伴い、下記の過去記事に補足の記述を加えました)

過去記事

この記事は旧情報です。その後、法改正があり、新しく厚生労働省が定めた衛生管理基準が全国統一で許可施設に対してかかることになりましたが、依然として客席での動物の飼育が可である状況は変わりません。改正前の状況がわかるように、当時のまま記事を残し[…]

食品衛生法改正に伴う法令整備により、衛生管理基準は全国統一になった

法改正以前は、厚生労働省が定める衛生に関する指針は、自治体が条例で定める際の手本となるような例として作られていただけで、実際に法的に適用される基準は、各自治体の条例だけでした。

なので、自治体によってまちまちであったり、厚労省の指針に入っている「施設内では動物を飼育しないこと」という文言が条例では削除されたりしていたのです。

しかし法改正後は、厚生労働省が定める「食品衛生法施行規則」別表十七の衛生管理基準が全国統一で適用されることになりました。動物については、別表十七第二項のチにある「食品又は添加物を取り扱い、又は保存する区域において動物を飼育しないこと」という基準が全国統一で適用されることになったのです。

このこと自体は、PEACEが法改正時に厚生労働省の説明会の場等で求めてきたことなので、一見した感じでは歓迎なのですが、実は運用の実態が違っていました。一般にアニマルカフェで動物が飼育されているような客席部分は「食品又は添加物を取り扱い、又は保存する区域」に該当しないそうなんです!

そんなバカなことがあるでしょうか。

「大阪王将」不衛生問題でも誤報が

先日、「大阪王将」の仙台の店舗にナメクジが大量に出ている、猫を外で飼っているなどの衛生問題が取りざたされました。内部告発者によると、猫は厨房に入っていたこともあったとのことでした。

(注:ただし、告発者の方は、店長が「猫は殺せ」とか「ランチに使え」とか言っていたそうで、そのことにも怒っていました。)

この問題を報道するニュースで、「飲食施設内で動物の飼育は禁止」と報道されていたので、「おや? 法改正後にアニマルカフェはできなくなったのだろうか?!」とぬかよろこびしましたが、結果として報道が間違いでした。

テレビ局の人も、「食品又は添加物を取り扱い、又は保存する区域において動物を飼育しないこと」という文章だけを読んで、飲食施設内での動物飼育禁止と思ったに違いありません。厚生労働省が「厨房は飼育禁止だが、客席は動物飼育OK」という見解を持っているとは、よもや想像がつかないでしょう。

実は、この「大阪王将」不衛生問題が勃発したときに、仙台市の太白保健所に電話をして聞いたところ、下記のような説明を受けました。

「2021年6月1日以降に許可を得た事業者に対しては、新しくできた国の衛生管理基準(上記のもの)が適用されるが、それより前に許可を得ていた事業者には適用されない。仙台市では、平成14年の疑義照会文書に動物についての指導内容が書かれており、それに従っている」

しかし、後から電話がかかってきて、それは間違いだとのことでした。2021年6月1日より前に許可を受けた事業者に対しても、全国一律に、新しい衛生管理基準が適用されるとのことで、驚きました。太白保健所は、1年間、運用を勘違いしていたのではないか?と疑いました。(違うと言っていたが、ではどうして間違った説明を今頃するのか?)

ちなみに、「大阪王将」の支店は、保健所が立ち入りした際には猫はすでにいなかったため、現地を確認出来ておらず、問題があったという認識ではないそうです。店舗内(客席)で動物を飼ってもよい法律になっているので、もちろん外で飼育している分には問題はありません。猫を厨房に入れず、世話した後は手洗いや毛の除去などをすればOKというのが保健所の見解です。(ネットで炎上していた様子を見るに、世間の考えとは乖離がありそうですが)

法改正までの運用

法改正と同時に今は適用されなくなった疑義照会文書の内容は、おおむね以下のようなものだったそうです。(平成14年時に仙台市・宮城県などで合意したのはドッグカフェについてだったようです。客が飼い犬を連れて入れるドッグカフェが一時期、流行ったことがありました)

  • 調理場が完全に区画されていること。
  • 人用の調理場と犬用の調理場は別にすること。
  • 客には人専用の食器で提供すること。
  • ドッグカフェであることを周知すること。

疑義照会という名前なので、どこかがどこかに照会をかけた文書なのかと思いますが、そうではなく、県と市の間で協議した内容なのだそうです。原文を開示請求しようとしましたが、既に使われていない文書だからという理由で、開示されませんでした。(それだと過去の行政の仕事について検証できないのですが…)

「調理場が完全に区画されていること」とは?

仙台市では、厨房と客席の間は、扉がなかったりカウンター式だったりしてもよく、その場合は、空調で厨房内に動物の毛などが入らないように常時風の流れをつくるなどすればよいのだそうです。

施設基準には動物の飼育不可といった決まりがない

衛生管理基準とは別に、営業許可の時に守っていなければならない施設基準も存在しますが、そこには、動物の飼育設備を設置してはいけないような内容は一切含まれていません。

厚生労働省が定める「食品衛生法施行規則」別表十九が施設基準となっていますが、これはいわゆる参酌基準であり、自治体は、これを参考に条例で施設基準を定めます。仙台市の場合、「食品衛生法施行条例」によって定められています。

では、仙台市はどのように指導してきたのか?

仙台市にも店舗のあるアニマルカフェの別店舗(バックヤード入口)

食品衛生法改正により、厚生労働省の全国統一の基準が適用されることになったので、上記の疑義照会文書は廃止されました。つまり、動物の飼育については、法改正により明文化されたものが消え、後退したと感じます。

保健所は、動物を世話した後に厨房に入る際には手を洗うことなどを指導していると言いますが、明文化されている詳細な基準は存在しません。

手を洗うだけでは、体に動物の毛や糞尿などが体についたままになるのではないか?と厚生労働省にも聞きましたが、「粘着テープなどで取り除くことなどは、自治体が指導しているはずだ」といって、完全に自治体任せです。

仙台市が実際に動物のいる飲食店に対し指導している内容

アニマルカフェやペット同伴カフェ等の施設に対しては、食品衛生法に基づく営業許可を出す際に指導しているとのことなので、その内容について問い合わせたところ、以下の回答がありました。

〇アニマルカフェ

  • 動物用の食事調整、食器洗い場は人用調理場とは別に設置すること
  • 動物に人用の食器を触れさせないようにすること
  • 動物の毛が調理場に入らないよう空調等により対策を講じること
  • 従業員や客が動物を触ったり、世話をした後は手指消毒を徹底すること
  • 動物を調理場へ入れないこと
  • 動物カフェであることを利用者が分かるようにすること

〇動物展示型カフェ(主に爬虫類カフェ)

  • 動物については展示のみとし、客席では客とのふれあいは行わないこと
  • カフェ担当とふれあいコーナー担当と生き物を扱う従業員との間に交差汚染が起きないよう徹底すること
  • 動物用の食事調整、食器洗い場は人用調理場とは別に設置すること
  • 手指消毒の徹底

〇ペット同伴型カフェ

  • 動物用の食事調整、食器洗い場は人用調理場とは別に設置すること
  • 動物に人用の食器を触れさせないようにすること
  • 動物の毛が調理場に入らないよう空調等により対策を講じること
  • 従業員や客が動物を触ったり、世話をした後は手指消毒を徹底すること
  • 動物を調理場へ入れないこと
  • ペット同伴可能であることを利用者が分かるようにすること
汚れた空のケージが客席(ホール)に置いてある

サルモネラの問題があるからでしょうが、爬虫類カフェでは客席で動物を触らせること不可なのに、アニマルカフェでは爬虫類を客席のテーブルの上に載せた写真を堂々とサイトに載せているなど、運用に疑問は残ります。

このページに掲載した写真は、仙台市内にも店舗のあるアニマルカフェの、別の自治体の支店です。床は店全体に汚く、飲み物を出すテーブルの上に動物を載せていたり、大きなゴキブリが出たり、とてもあんなところで飲食はしたくないと思うような不衛生さだったそうです。

客は動物目当てに行くので、衛生管理については自己責任ですが(行政もこの考え方です。否定しないので驚きました)、新型コロナウイルス以降、世界的に動物由来の感染症に敏感になっているにもかかわらず、エキゾチックアニマルに触れ合わせるカフェが野放しになっている日本はこれでよいのか、疑問です。

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