ヒトの新薬の安全性や有効性の確認のために動物実験を求めるFDAの80年以上前の医薬品開発スキームは、21世紀の科学の進歩に追いついていません。
1.アメリカにおけるヒト用医薬品のための動物実験要件は、1938年にさかのぼる。82年経った今でも、同じように要件が残ったままだ。
2.処方どおりに摂取された場合の薬物の有害な副反応(ADR)は、アメリカで4番目に高い死因となっている。ADRの主な要因は、前臨床段階での動物実験が不適当なことにある。
3.前臨床試験で動物に毒性が生じない場合、ヒトでの毒性の可能性を予測することは、ほぼできない。
4.最近の研究では、ヒトのADRの63%が動物では起きていないことが示されている。
5.動物で安全かつ効果があるとされた薬の95%が、その後のヒトでの臨床試験で失敗している。
6.動物実験は、医薬品開発プロセスを遅らせ、必要な治療を遅らせる。新薬が市場に出るまでに10年かかる。
7.我々は1世紀近く、動物の生物学に基づいて薬物をテストしてきた。動物実験に基づく現在のシステムは、ほころびを見せている。焦点をヒトの生物学に当てる必要がある。
8.新薬に対するヒトの反応をより正確に予測するために、ヒトに適合した細胞ベースの試験法や、臓器オンチップモデル、ヒトオンチップモデル、高度なコンピューターモデルなどが開発されたが、FDAは、規制において、これらの優れたモデルを公式には認めていない。これにより医薬品メーカーは劣った動物モデルを使わざるを得ない。
9.変化への抵抗や自己満足は、イノベーションや近代的なテクノロジーに道を譲るべきだ。
10. 最新のヒトに適合した「生体模倣システム」(MPS:Microphysiological Systems)を使用すると、医薬品開発期間は半分となり、研究開発コストを5分の1にできるため、医薬品価格を大幅に下げられる。
追記:成立しました!
その後、下院も再び通過しました。既にバイデン大統領が署名し、成立しています。詳しくはこちらをご覧ください。
昨年、新薬開発における動物実験の義務づけを外す法案としてご紹介したアメリカの「FDA(食品医薬品局)近代化法」ですが、その後、修正された法案も下院を通過しました。12月27日、バイデン大統領が署名し、成立しています。[sit[…]
関連記事
アメリカで動物実験代替法の開発、承認、使用促進等を行うための国の組織であるICCVAM(代替法検証省庁間連絡委員会)が、…