「天才!志村どうぶつ園」がやっと終わる! が、来週またしてもプリンちゃん。日テレに意見を

追記:2023年になってやっと、カドリー・ドミニオンはプリンちゃんをショーから引退させました。こちらのページもご参照ください。

もう夜ですが、今日は「チンパンジーの日」でした。

未だに野生動物を調教してショーという形で見世物にすることが平然と行われていますが、その中でも特に恥ずかしいのは、我々人類に最も近いとされるヒト科の動物、チンパンジーを見世物にしていることでしょう。

すでに本来の生息地であるアフリカの自然から遠く切り離されてしまって長い年月が経つ日本のチンパンジーたちですが、それでもできる限り野生の状態に近い、チンパンジーらしい生活を送ってほしいものです。しかし、かつてチンパンジーのパンくんを見世物にしていた熊本・阿蘇の「カドリー・ドミニオン」は、パンくんの娘であるプリンちゃんもショーで使うために早期に母親から引き離してしまいました。今どき、あり得ません。

成長してショーに使えなくなるまでのたった数年間、ただ人間を楽しませ、それにより人間がお金を得るために、幼いころの大事な時期を奪われてしまったプリンちゃん。もう5歳になります。

かつてパンくんがショーに使われていたころ、服を着せて、犬を散歩させたりするような芸は野生動物本来の個性や形態を誤解させ、繁殖活動にも支障が出るとして、日本動物園水族館協会(JAZA)が「カドリー・ドミニオン」に改善勧告を出したことがありました。当時まだ「カドリー・ドミニオン」はJAZAの会員だったからです。しかし、改善されず、退会の勧告に至り、チンパンジーの芸を止めるつもりのない同園は、自らJAZAを退会しました。2009年のことでした。

それから10年以上経つにもかかわらず、未だに日本テレビの動物番組「天才!志村どうぶつ園」は、「カドリー・ドミニオン」のチンパンジーの芸を取り上げ、面白おかしく加工して、垂れ流し続けています。ベビー服を着せたらプリンちゃんが硬直してしまうなど、「え、虐待でしょ?!」と思うようなシーンも平然と流れています。(衝撃でした。一瞬でしたが、さすがに調教師の宮沢厚も焦っていたように見受けられた)

しかし、悪名高きこの番組も、終了が決定しました。

「週刊女性」が2回も報じてくれた! そして番組終了へ

「園長」という設定で番組MCを長年続けていた志村けんが新型コロナウイルスで亡くなったことをきっかけに、同番組でのパンくんの芸や、その取り上げ方に問題があることを分析した下記の論文がTwitter上で注目を浴びました。パンくんの実際の感情とは無関係な字幕がつけられていることなど、子細に番組の映像が分析されています。

日本心理学会サイトに掲載された下記の記事でも、論文の内容をわかりやすく知ることができます。

動物への愛情が問題になるとき─チンパンジーのエンタメ使用を考える
大阪成蹊大学教育学部 准教授 松阪崇久(まつさか たかひさ)

そして、この論文の執筆者ら専門家を取材した記事が「週刊女性」2020年6月9日号に載り、さらにプリンちゃんの扱いにも問題があることを報じる記事が、第2弾としてネットで公開されました。

過去にも新聞等で問題は報じられてきましたが、やはり週刊誌の影響力は大きいです。

特に、2回目の記事は、「天才!志村どうぶつ園」9月終了の公表と同日にネット公開されており、タイミング的に番組の終了に影響があったのではないかという印象を持ちました。放送局サイドにも取材しており、当然、この記事が出ることは把握していたと思われるからです。

新番組は、これまでも番組に出演していたジャニーズ事務所のタレント、「嵐」の相葉雅紀をMCに据えたものとなるそうです。心機一転となるようですが、しかし、新しい番組の名称案にも「どうぶつ園」が入っており、また人間による動物の搾取やエンタメ利用を前提としているのではないかと不安も感じます。少なくとも「カドリードミニオン」などのエンターテインメント産業と手を切り、スタッフも入れ替え、過去の反省に立った教育的な番組づくりをしてほしいものです。服を着せたチンパンジーの子どもと若いタレントを絡ませるのは、タレントの将来に傷をつけかねません。日本でも、この先、いつまでも見世物小屋的動物の扱いが良しとされるわけではないと思います。

しかし、やはり少なくとも現在の番組ではチンパンジー搾取が続くようで、来週(18日)の「天才!志村どうぶつ園」2時間スペシャルは、なんとこの新型コロナウイルスが収束しない状況で、「カドリー・ドミニオン」まで取材に行った様子を流すようです。今、動物実験でも動物園でも、霊長類を飼育している場所は、新型コロナがもしかして感染するかもしれませんから気を使って対策をとっています。そんな中、新型コロナで死者も出た番組の取材を受け、プリンちゃんと接触させている「カドリー・ドミニオン」…呆れてものも言えません。

保護犬・保護猫など、社会的に有意義と思われる番組づくりも取られている中ではありますが(とはいえ、そこでもしばしば問題が指摘されたり暴露されたりしてきたのですが)、日本テレビに対し、野生動物の搾取は止めるべき、マスメディアの在り方として問題だとぜひご意見をお送りください。テレビ局は回答はしないのが常ですが、新番組の倫理規定はどうなるのか等も質問してください。

チンパンジーについては下記にまとめた外部リンクが参考になると思います。ぜひお読みの上、ご意見をお願いいたします。

日本テレビ全般に関するご意見

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必読の参考リンク

以下は、大型類人猿やチンパンジーに関し専門的な活動をしている団体による見解です。専門家がどれだけ批判をしてきたか、実感できると思います。

「SAGA(アフリカ・アジアに生きる大型類人猿を支援する集い)」による声明:

「サンクチュアリプロジェクト」の見解:

別の問題

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その後の関連記事

2023年になってやっと、カドリー・ドミニオンはプリンちゃんをショーから引退させました。下記の記事に追記しました。

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2023年10月9日になって、カドリー・ドミニオンはようやく、プリンちゃんをショーから引退させました。プリンちゃんは2015年9月22日生まれですので、実に8歳になるまで調教芸をさせられていました。チンパンジーたちは、飼育下にあるだけで野生[…]

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