犬猫以外はどうなるのか未だに全く触れられず… 第6回 動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会

一昨日(7月10日)、第6回 動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会を傍聴してきました。公表された「適正な飼養管理の基準の具体化について 飼養管理基準として定める事項(案)」は、下記に全体をアップしましたので、ご参考ください。

環境省から悪質な業者に「退場いただく」との発言あり! 

前回まで、「どういう基準をつくるのか」というところをグルグルと回る議論に時間が費やされていたことを考えると、明らかに急に話が具体的になりました。法律改正で第21条が具体的な記述になっていなかったら、これもどうなっていたかわかりません。

また、法律成立後も超党派の犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟など国会側の尽力もあって、ここまでの形になりました。4月3日には議連案の提出もあり、また第6回検討会開催後にも声明の公表がありました。法律をつくりっぱなしではなく、法律に入れられなかった事柄についてもフォロアップがあることに感謝の意を表します。

今回の検討会で最も驚いたのは、環境省がとうとう、「悪質な事業者を排除するため」と断言したことです。「事業者に対して自治体がレッドカードを出しやすい明確な基準にする」と「基準案のポイント」にも書かれていますが、口頭でも、「(悪質な事業者に)退場いただく」とはっきり言っていたことは大変驚きました。

ここまで来るのにどれだけの時間がかかったでしょうか。届出制時代はもちろん、「実質許可制だ」と言われる登録制になってからも、自治体から、何度も何度も繰り返し「(悪質な事業者であっても)改善して登録していただく」と聞かされてきました。昨年の法改正に至る2年半の活動の中でも、環境省から、繰り返し何度も何度も同じことを聞かされました。改善させて登録するのが行政の仕事だと。

それに対し、「一定ライン以下の劣悪事業者を足切りするべきだ。そのために自治体が白黒判断つけやすい基準が必要だ」と何度も訴えてきましたが、やっとこのことが明文化され、環境省も断言。覆りました。

また、案に「閉じ込め型の飼養を防ぐ」とはっきり書かれていることも前進だと思います。これらの考え方が自治体の指導監視の現場に伝わることが重要です。

犬猫以外はどうなるの?!

しかし一方で、犬猫の基準をつくるのに(というよりその前段階に)時間がかかりすぎで、犬猫以外の動物種を扱う業種について基準の見直しがどうなるのか、さっぱりはっきりしません。7月10日に示された案も、これからまだ練り上げて、部会を経てパブリックコメントにかかりますが(スケジュール参照)、そのパブリックコメントも犬猫の飼養管理基準だけだそうです。これでは、犬猫以外の動物を扱う事業者については、来年の施行以降も、法改正はなかったのと同じになってしまいます。

犬猫以外の動物は種が広範にわたり、それぞれの生態も異なるため、一律に数値等の基準をつくることが難しいのは事実です。とはいえ、機能的な定性的基準があれば、もう少し改善の勧告・命令や業取消しがスムーズに行えるはずです。例えば、現在は糞尿ゴミの著しい堆積や水質汚濁があっても、掃除道具が置いてあれば登録できる基準になっていますが、こういったことはできないようにしなければなりません。(行政が堀井動物園などを登録せざるを得なかったのは、不衛生でも登録できるからです) 

環境省は、犬猫の基準のうち、他の動物にも使えるところだけ共通にする(しかも審議会等での検討やパブコメなしで環境省が勝手にやる)という手段に出るかもしれませんが、もしそうならあまりに酷いと思います。給餌頻度が毎日ではない動物もいれば、水生の動物もいる、空を飛ぶ動物もいる、適切な温度・湿度管理だけではなく光の管理が重要な動物もいる、直接触れることが不適切な動物もいる、脱皮や換羽など犬猫では起きない生理現象への配慮が必要な動物もいる、犬猫をそのまま小手先の作業で流用できないことは明らかです。

また、これまでの検討会でアニマル・ベース・メジャーが強調されて来ていた割には、出てきた案は、動物の状態から判断する要素がほとんどないです。被毛と爪しか書かれていません。死亡が多くてもOKなのが一番よくわかりませんが、他にも見るべき指標はあるでしょう。犬猫以外の動物のことも考えれば、特に、常同行動や自傷等、異常行動が出ていないか等の行動面、うつ様症状などの心理面は含めるべきだと思います。

また今度の改正で遵守が義務になったとはいえ、取扱業規制とはリンクしていない展示動物の飼養保管基準(動物園等だけでなく、販売のために展示されている動物にもかかる基準です)に内容がゆだねられすぎている現状も改善するべきですが、具体的にどういう構成になるのかも見えてきません。現在は、施行規則と細目と飼養保管基準に分かれていて、何をすると取消しの対象なのかが、一目でわからないようになっています。

また、展示業での表示義務や、動物導入時の自己検疫義務、保険加入義務(来園者の事故に対するもの)等、現在の飼養保管基準や規制で完全に抜けている事柄もあります。動物由来と言われる新型コロナウイルスがパンデミックとなっている今、人獣共通感染症全体を考えた対策に手を付けないのも不思議です。これを機に強化するべきでしょう。

今回、犬猫については、まだまだ基準案から強化してほしい点はあるものの、数値等による規制強化がかなり進むことは間違いありません。パピーミルが排除され、犬猫大量流通が見直されるようになってきたとき、犬猫の供給数が減った結果、消費者が流れるのがエキゾチックアニマルだと本当にまずいです。昔のように小鳥・ハムスターに戻るということはないでしょう。ある程度資金もあって「ペット」にブランドを求めるような人たちが、どこに流れるかと考えると恐ろしいものがあります。

その意味でも、犬猫以外の動物をどうするのだということについて環境省に問い合わせ、意見を是非お願いいたします。

環境省意見送付先

メール:moe★env.go.jp ★を@に変えてください。

メールに記載する内容

○問い合わせ分野(必須)
7.自然環境・自然公園

○件名(必須)
○内容(必須)
○お名前

住所:〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館
環境省自然環境局総務課動物愛護管理室

第6回検討会で出た説明や意見など

事務局からは、動物取扱業の実態調査結果に関する説明がありましたが、どのようにサンプルが選ばれたのか等についての説明もなく、その点に対する委員からの質問もなく、非常に不思議としか言いようのない少数の事例調査の結果が公表されました。

繁殖については、日本小動物繁殖研究所という犬猫ブリーディングのサポートを行う団体の獣医師と元日大生物資源科学部教授の2名のヒアリング結果が公表されましたが、これまた日本小動物繁殖研究所がどういうところかなどの説明は特になく、実験用の猫の繁殖の話などが出ていました。

科学論文等の調査については、長大な時間を要したそうですが、使える論文はなかったとの説明。海外の規制調査については、前回まででも未完了のはずですが、その話は特に出ず、参考資料として添付だけされていました。

環境省の説明や、委員からの意見や質問は、主に以下のようなものがありましたが、時系列ではなく、案のページ順にしました。発言通りの言葉でメモしきれていないので、違う表現で書いている部分も多いと思います。取り急ぎのまとめなので、ご了承ください。

  • 2ページ、法第21条第3項に「条例で、第一項の基準に代えて第一種動物取扱業者が遵守すべき基準を定めることができる」と書かれている件について
    ⇒環境省回答:以前からあった条文だが、珍しい規定である。現在、自治体独自の定めを設けた条例はあるが、この法律の条文に基づいて条例を定めている自治体は確認できていない。(国の基準に上乗せなのか、差し替えでもよいのかなどについては)今、完全に整理できていない。自治体からも照会があり、今後(この規定にも続く条例の制定も)あり得るかもしれない。
  • 3ページ「レッドカード」とは何か
    ⇒勧告、命令、取消しもしくは罰則と、退場していただく、処分の意思を示すことが必要だということ。
  • 4ページ対象範囲で、保管、訓練業は?
    ⇒(飼養が)短期間であり、散歩などは安全管理上問題なので、基準の対象に入れていない。(飼い主が散歩などを希望するなら、そういうサービスをやっているところを選べばいいといった話も出ていたと思います。)
  • 5ページ以降のスペースに関する数値基準案について、繁殖と販売、全て同じでいいのか。繁殖の場合は、8週まで親きょうだいにつけることになったので、かなり大きくなる。繁殖の場合は、仔犬・仔猫(のスペース)分も考えるほうがよい。
  • 5ページ以降のスペースに関する数値基準案について、習性を発現させることが大事。スペースだけでなく、エンリッチメントの発想を取り入れる必要あり。ケージの積み重ねは?
  • 8ページ、運動スペース一体型(平飼い)の基準で、高さの規定があるが、これだけの広さをとって、この高さのケージをつくるということがありうるのか。人間がはいつくばって糞を拾ったりすることになる。
  • 16ページ、一人当たり飼育頭数について、もっと厳しくてもいいのでは。犬と猫で時間は変わらない。同じでいいのでは。ショップでは販売に関わる人が世話もする。販売の時間もあるので、飼育の人数として書く必要ある。
  • 18ページ、臭気について環境省説明:
    人については悪臭防止法がある。しかし20ppmなどと書くと、この数値でもかなり耐えられないのに18ppmならいいのかとなってしまう。(なので基準に数字は書かず、解説書でこのように書く方法もあるとして示しているのが19ページとのこと。)
  • 24ページ交配について環境省説明:
    (交配の時点で規制するか出産の時点で規制するかについては)人が意図してやっていてわかりやすい交配の時点を採用。満7歳時点で犬6回・猫10回に満たない場合は7歳までとなっているのは、ゆっくり繁殖している人もいるから。8歳になったら終わりということ。
  • 26ページ繁殖サイクルについて、開始年齢を決めるべき。大型犬は初回発情でまだ体ができていない。猫も4カ月で発情する。初回発情を外すとするべき。
    ⇒環境省から質問:小型犬や中型犬もすべて初回は外すべきと考えるか。
    ⇒そう考える。小型犬や中型犬では発情時期が早まっているので、全て「初回は外す」でよい。海外の規制で1歳未満禁止があるのは、初回発情を外すという意味があるのではないか。
  • 28ページ帝王切開について、獣医師として回数を決めるのは難しい。難産の理由が胎児の体位が理由等であれば別だが、産道狭窄などの先天性のものや癒着がある場合、陣痛が来ないなどの場合は次回も帝王切開になる。繁殖用として不適格ということになるが、キャリアチェンジを促すことを獣医師ができるようになっているとよい。帝王切開は、難産によるものと計画的なものとがあるが、愛護の観点から考えると毎回計画的な帝王切開というのはおかしい。回数制限があってもいい。学生の卒論があり、小型犬で計画的帝王切開が多い。毎回はよろしくない。
    ⇒環境省質問:愛護的にだめだという根拠はあるか。
    ⇒癒着があることがある。
  • 30~31ページの管理について、(業界団体ヒアリングで)機械化によって人員削減しているという話があったが、いいのか?と違和感を感じた。実験動物や畜産動物では機械化も導入されているが、犬や猫は人と暮らすことを目的に作られている動物であり、画一化の方向にある実験動物・畜産動物とは、家畜化の方向性が違う。過度の機械化にはなじまない。人が関わることを入れないと、家庭でなじめない。時間がかかるが、運動すればよいだけでなく、刺激を受けられることが大事。社会化期のハンドリングを義務付けるべき。販売数を絞ってもよいのでは。つめとぎなどもいる。
  • アニマルウェルフェアというのは、数値のクリアではない。改善し続けることが大事。なので解説書が重要だろう。自分の飼い方を見直し、改善するということの周知が必要。

また最後に、座長提案として、今いる動物が(規制強化により)あぶれてどこかにいってしまうことへの懸念や、海外の規制もどうやって数値を出したかというと論文があるわけではなく社会的に合意で出ている、日本で社会的合意が十分かと言うとそうではないといったことについて書くことも検討がされている話が出ました。

この日の検討会で了承されたら決定だという共同通信の前日のリーク報道もありましたが(とんでもないですね)、まだ案はこれからブラッシュアップし、修正していき、次回検討会と部会での検討とパブリックコメントを経てから決定となります。

スケジュール

適正な飼養管理の基準の具体化について 飼養管理基準として定める事項(案)

議連案より環境省案のほうが広いんだぞ!と示すような図も出ていて、嫌らしいなあと思いましたが、「平飼い」については議連案が1頭当たりなのに対し、環境省案が2頭までOKであること等には留意ください。

参考報道:

以下、案全ページです。


追記

環境省のサイトでも配布資料が公開されました。下記のページからご覧ください。

▼2019年改正動物愛護法についてのページ
2019年改正 動物愛護管理法 2020年 2021年 施行

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