2019年改正動物愛護法解説:第一種動物取扱業の登録の基準が具体的になります

2019年動物愛護法改正解説

基準遵守義務(第二十一条):遵守基準に具体的内容を定めなければいけない規定が追加されました

 ※下線が改正により新設された部分。

(基準遵守義務)
第二十一条  (略)
2 前項の基準は、動物の愛護及び適正な飼養の観点を踏まえつつ、動物の種類、習性、出生後経過した期間等を考慮して、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 飼養施設の管理、飼養施設に備える設備の構造及び規模並びに当該設備の管理に関する事項
二 動物の飼養又は保管に従事する従業者の員数に関する事項
三 動物の飼養又は保管をする環境の管理に関する事項
四 動物の疾病等に係る措置に関する事項
五 動物の展示又は輸送の方法に関する事項
六 動物を繁殖の用に供することができる回数、繁殖の用に供することができる動物の選定その他の動物の繁殖の方法に関する事項
七 その他動物の愛護及び適正な飼養に関し必要な事項
3 犬猫等販売業者に係る第一項の基準は、できる限り具体的なものでなければならない。

登録業者の基準遵守義務を定める第二十一条に、新たに第二項が追加され、基準にどのような事項を定めなければいけないかが具体的に規定されました。

3団体としては、法の運用の実効性に疑問がある現状で許可制・免許制に移行したとしても、業者に強い免罪符を与えるだけになる懸念も持っていました。許可を受けていることになれば、今より強い免罪符になりかねません。ですので、適切な数値等の基準によって一定水準以下の業者の足切りを確実にできるようにすることがまず必須ではないかと考え、法律で基準の内容を担保することを求めてきました。基準がないことにより、自治体の指導監視の現場で改善を強制することができない現実は、多くの人の知るところとなっています。

しかし、日本では法律自体に数値を盛り込むことが非常に難しいということは前回の改正までの経験上わかっていますので、私たちとしては数値の要望は最低限とし、施設やスタッフ数、管理方法、繁殖回数等を環境省令で定めるよう求めました。結果として、条文に一定の内容が採用されたことは、活動の成果だと考えています。

ただし、具体的な管理等の方法として、

  • 幼齢動物を親から引き離して展示しないこと、
  • 固定施設の中で展示すること(移動展示・販売禁止)、
  • 一日に八時間以上及び午後六時以降に展示や販売を行わないこと、
  • 種類や年齢等を考慮した適切な休憩をさせること、
  • 幼齢動物または社会性のある動物を正当な理由なく単独で置かないこと、
  • 動物との触れあいの機会においては1種につき最低一人の指導人員を配置すること、
  • 出生後二歳未満若しくは八歳以上の犬又は猫を繁殖の用に供してはならないこと

等を、逐条案の中に入れ要望してきましたが、これらについてかなわなかったことは非常に残念です。今後の政省令等改正に際して、引き続き要望していきます。

第二十一条の施行は2年後とされており、具体的にどのような基準にするかは今後環境省の検討会(動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会)で内容を決めることになっています。犬猫が優先ということが既に決まっている検討会ですので、犬猫以外の動物についてもできる限り具体的な基準を定めるよう、求めていかなければなりません。

2年間の間に業者が対応をする移行期間もおかなければなりませんので、スケジュールについても要チェックです。

ちなみに、この第二十一条は、第二種動物取扱業でも準用されています。

付帯決議では…

衆参両院の決議/附帯決議には、以下のように書き込まれています。

一 動物取扱業者による不適正な飼養・保管が後を絶たない現状に鑑み、地方自治体が、動物取扱業者に対する立入検査を積極的に行い、必要に応じ勧告、命令及び登録取消し等の行政処分並びに刑事告発も適切に行うよう、規制の実効性を担保するための必要な措置を講ずること。

二 動物取扱業者が遵守すべき具体的な基準の策定に当たっては、地方自治体の改善指導の根拠として実効性のある客観的な指標となるよう、十分な検討を経て、できる限り具体的な基準を設定すること。また、基準の遵守を徹底するため、動物取扱業者への周知や地方自治体職員に対する研修の実施等、施行に向けた体制整備の強化を図ること。なお、第一種動物取扱業の登録又は更新について、立入検査をもって基準の遵守状況の確認を行うことを検討すること。

三 第一種動物取扱業については、様々な業種について登録制の規制が適用されていることに鑑み、業種や事業規模に応じた規制の細分化について検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。

四 家畜化されていない野生由来動物の飼養については、動物の本能、習性及び生理・生態に即した適正な飼養の確保が一般的に困難なことから、限定的であるべき旨について周知徹底を図るとともに、人獣共通感染症防止や動物の健康や安全の保持等の観点から、触れ合いを含む動物展示施設等の動物に係る飼養管理基準の在り方について検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。

参考となる国会質疑

第198回国会 参議院環境委員会 第9号 令和元年6月11日

※審議が行われた議事録より該当箇所
(参議院の委員会ですが、法案提出者である衆議院の国会議員が答弁しています)

○福島みずほ君
改正案の二十一条は、いわゆる飼養施設の数値基準に関する条文です。この数値基準については、多くの動物愛護団体から、具体的な数値基準がないために、劣悪な環境で動物を繁殖している業者などを行政が取り締まることができていない現状を訴えてきた経緯があります。
そこで、国際的な動物福祉にかなった厳しい数値基準を入れるよう要求したいですが、動物の愛護及び適正な飼育の観点を踏まえつつというのはどのような数値基準を想定しているのか。臭気や室内の明るさ、ケージの大きさなど、どのような基準を検討しているでしょうか。

○衆議院議員(生方幸夫君)
今回の二十一条の改正は、第一種動物取扱業者が遵守すべき基準を具体化することが望ましいとの判断によるものであります。
提出者としては、科学的な根拠等を踏まえ、具体的な数値を環境省令で定めることを想定をいたしております。提出者としては、例えばケージの大きさや繁殖を行う頻度などについて、具体的な数値が環境省令で定められるものと承知をいたしております。

○福島みずほ君
環境省にお聞きします。
そもそも、立法者の意図する目的を具体的な制度として実現していく立場にある環境省として、どのような数値基準を今後検討しようとしているのか、国際的な動物福祉にかなった基準になるのか、方針いかがでしょうか。

○政府参考人(正田寛君)
お答えいたします。
環境省では、動物愛護管理法に基づきまして、動物取扱業者が守るべき基準を定めているところでございます。例えば、飼育を行うケージ等につきまして、個々の動物が自然な姿勢で立ち上がる、横たわる等の日常的な動作を容易に行うための十分な広さ及び空間を有するものとすること等の基準などを定めているところでございます。
さらに、今回の改正案におきましては、こうした基準につきまして、動物の愛護及び適正な飼養の観点を踏まえつつ、基準に定める事項を具体化するとともに、特に犬猫につきましてはできる限り具体的なものとすること等が規定をされているところでございます。

環境省におきましては、昨年三月に動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会を設置いたしまして、飼養管理基準の明確化等、適正な飼養管理の在り方について必要な調査検討を進めてきたところでございます。これらの検討を基に、二年後の施行に向けまして具体的な基準の設定に取り組んでまいりたいと考えております。

(中略)

○武田良介君
今回の法改正のポイントの一つに、第一種動物取扱業者に対する規制の強化ということがあるというふうに思います。
この法案にあります一種業者が遵守しなければならない基準、これは動物の種類、習性、出生後経過した期間等を考慮して環境省令で定めるものというふうにされておりますけれども、この基準はどんな事項で定められるのか、またその数値を明示して定められることになるのかどうか、御説明いただけますでしょうか。

○衆議院議員(小宮山泰子君)
武田委員におきましても、本当に積極的に御協力いただき、また御参加いただいたことに心から敬意を表させていただきます。
さて、今回の法改正においては、新二十一条二項において、第一種動物取扱業者が遵守すべき基準には、飼養施設の管理、飼養施設に備える設備の構造及び規模並びに管理に関する事項、動物の飼養又は保管に従事する従業員の員数に関する事項、動物の飼養又は保管の環境の管理に関する事項、動物の疾病等に係る措置に関する事項、動物の展示又は輸送の方法に関する事項、動物の繁殖の方法に関する事項、その他の動物の愛護及び適正な飼養に関し必要な事項を定めることとしております。また、二十一条三項において、犬猫等販売業者に係る基準は、できる限り具体的なものでなければならないとしております。
提出者としては、科学的な根拠等を踏まえて、具体的な数値を定めることができるものについては数値が定められることを想定しております。

○武田良介君
この第一種業者の遵守基準について、八週齢の観点からもう一点お伺いをしたいというふうに思います。
先ほどもありましたように、この八週齢の激変緩和措置が廃止されるということは私も大歓迎をしたいというふうに思っております。
その上で、生後八週を迎えるまでの飼育環境が非常に大事だという指摘もあります。今御答弁いただきましたこの遵守基準が、生後八週までの飼育環境を適正なものとすることになるのかどうか、御説明いただけますでしょうか。

○衆議院議員(生方幸夫君)
八週齢を迎えるまでの飼育環境の適正化が望ましいのは委員御指摘のとおりでございます。
今回の法改正における新二十一条二項において、基準を定める場合には、動物の種類、習性、出生後経過した期間等を考慮することとしております。八週齢を迎えるまでの動物についても、これらの事項を考慮して、適切な基準が環境省令で定められるものと承知をいたしております。

○武田良介君
先ほどもありましたけれども、施設基準を明確にしていくという問題と、それから八週齢規制を行うこと、これ大変重要なわけですけれども、実際には二年後からということでありました。
これはすぐにでも実施していく必要があるのではないだろうかというふうに私、考えておりますけれども、この点はいかがでしょうか。

○衆議院議員(生方幸夫君)
施設基準については、専門的知見に基づく検討を要することから一定の時間を要するものと認識をしており、施行を二年を超えない範囲内としたものでございます。
また、いわゆる八週齢規制に関する激変緩和措置の廃止については、犬猫等販売業者に対する影響が少なからずある可能性も否定できないというふうに考えました。
これらのことから、確実に八週齢規制を導入できるように、施行を二年を超えない範囲内としたものでございます。

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2019年改正 動物愛護管理法 2020年 2021年 施行

2019年改正法の概要 目次

● 動物の所有者等が遵守すべき責務規定を明確化

● 第一種動物取扱業による適正飼養等の促進等

● 第二種動物取扱業に帳簿の備付け義務

● 動物の適正飼養のための規制の強化

● 特定動物(危険動物)に関する規制の強化

● 動物虐待に対する罰則の引き上げ

● 都道府県等の措置等の拡充

● マイクロチップの装着等

● その他

● 附則

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