環境省と面談:犬猫以外の動物の基準は、来年の施行時には手をつけない! その後も具体的計画なし

犬猫以外の動物にも業者基準の強化を! 環境省に意見をお送りください

「犬猫以外の動物にも業者基準の強化を!」のアクションをアップしました9月15日、PEACE及びJAVA、ARCの3団体で、福島みずほ参議院議員同席のもと、環境省動物愛護管理室の室長と動物愛護管理係長と面会し、犬猫以外の動物についてもきちんと業者の飼養基準を策定するよう求めました。

室長は、「犬猫以外の動物の基準もつくる」と口頭では述べますが、来年の施行へ向けた検討において、一切、手を付けないつもりである状況は変わりません。

検討会での犬猫基準についての検討が長引いて時間切れとなってしまい、その後に検討を行うとしていた、その他の動物の検討に全く時間がとれなくなったからだそうです。

基準をつくるには専門家の検討を経なければならないからだそうですが、カワウソに泳げるような環境が必要かどうかすら、専門家に聞く必要があるそうです。(呆れましたので、IUCNの専門家グループが作成した飼育ガイドラインの概要を送りました。このガイドラインでは、カワウソには「陸も必要である」と書かれています。こちらに追記しました。)

もちろん私たちが現時点で求めているのは、個別の動物種に対する基準ではありません。今回、犬猫で強化される基準のうち、その他の動物にも敷衍させなければバランスがとれない部分について、特に改正を求めています。どこがおかしいかは、質問事項として環境省に提出済みですので、こちらをお読みください。

現状では、劣悪飼育業者はウハウハです。そして動物たちの苦しみは放置されます。

これまで犬猫で儲けていた人たちが犬猫以外の動物の取扱いに流れる可能性もあり、本来なら生物多様性保全に取り組まなければならない環境省が、みすみすエキゾチックアニマルの違法取引増加に加担することにもなってしまいます。

環境省は、来年の施行まで手を付けるつもりがない。では、来年の6月以降に、どのように検討を行うのか? それについても、現時点で環境省には一切計画がありません。

以前からときどき環境省が言っていて不思議に思っていたのですが、環境省は「優先事項が何かわからない」そうです。個別の動物種の基準のことにどうしても頭が行ってしまうようです。私たちが求めているのは、現行の施行規則と細目の内容、つまり、全ての動物種にかかっている条文の改正です。

個別の動物種の基準も重要ですが、飼育数が多く、飼育方法が一定程度確立されている種に対してしか策定しないつもりでしょう。それを一つ一つやっている間に、将来的にも基準がつくられる見込みのない、大多数の動物が見捨てられたままになります。

しかも環境省は、何度も何度も「(基準をつくるのか、それとも)解説書に書き込むのかどうか」ということを口にします。解説書に強制力や実効力はありません。これまでの展示動物の飼養保管基準の解説書は存在しましたが、そこに書かれている内容で指導を行ってくれる自治体はありません。強制力のある基準をつくるべきだと言っているのに、このようなことを言っているのは、基準に対して後ろ向きであることの証明です。

私たちが求めているのは、勧告・命令を出すことができ、取消しや登録拒否を行うことができる、強制力のある基準です。

今回の回答を受けて、3団体からは「犬猫以外の動物についても基準をつくる」ということを口約束で言うのではなく、何かしら証拠として公にすること、そして犬猫の基準の答申は「第一次」とすること、策定スケジュール(特に検討の開始と施行時期)を決めることなども求めました。

しかし、本当に必要なのは、「来年の施行に向けて間に合う部分は今検討すること」です。

3団体では、引き続き環境省への働きかけを行っていきますが、ぜひ皆さまからも「犬猫以外の動物の基準を強化するべき」の声を届けてください。

環境省に意見を届けてください

環境省
〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館
環境大臣 小泉進次郎殿
E-mail:moe@env.go.jp

自然環境局 総務課 動物愛護管理室
TEL:03-3581-3351(代表) 内線6656/6657
FAX:03-3508-9278(直)

環境省に提出した質問事項

問1
「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の施行等の在り方について(諮問)」において、別紙9の法第21条第1項の規定に基づき環境省令で定める第一種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等に関する基準については、対象を犬猫に限定して諮問しているものではない。
犬猫以外の動物について、管理の方法等に関する基準の検討を行わないまま、答申を出すのか。

⇒質問に加えて、口頭で、犬猫基準に関する答申は「第一次」とするよう求めました。諮問した内容の一部にしか答申しないのですから、当然です。

問2
犬猫以外の動物を扱う登録業者については、来年6月1日に2年目施行が実施されたとしても、守るべき基準に何の変更もないということか。

問3
「適正な飼養管理の基準の具体化について」にとりまとめられた犬猫の新基準案には、もし犬猫以外の動物について現行の基準・細目が維持されるのであれば、犬猫とそれ以外の動物の間の不平等が大きくなりすぎると考えられる項目が幾つもある。
犬猫以外の動物で基準を強化しなくてよい合理的な理由は存在せず、犬猫とその他の動物との間で整合性をとることを検討するべきではないか。
例えば以下の点についてはどうか。

  1. 犬猫については、分離型(ケージ飼育等)の飼育設備に関し、ケージ中のみでの飼養が禁止され、1日3時間以上の運動スペース等での運動が義務付けられることになる。当然、運動スペース等があることが施設の登録基準に含まれるものと考えられる。
    しかし、犬猫以外の動物に対しては、分離型飼育もしくはそれ以下の状態(紐で拘束するつなぎ飼育等)の場合に、運動スペース等は義務付けにならないのか。(現時点では運動スペースがない状態で登録されている。基準に定めがないからである。)
    また、犬猫以外の動物について毎日の運動は義務付けにならないのか。
    犬猫とそれ以外の動物に対して、基準が求める水準が違いすぎるのではないか。
  2. 猫の施設に棚が義務付けとなったが、その他の動物は、飼育するのに最低限必要な設備が義務付けにならないのか。例えは、カワウソに泳ぐことができるプール、など(現在は水なしや、トレー程度の水でも登録がされている)。
  3. 動物の健康に支障が出るおそれがある状態(寒冷時や高温時に動物に発現する状態)が禁止され、温度・湿度計の設置が義務付けられるが、これも犬猫だけに義務化されるのか。「動物」と書かれていることからも、動物全般に当てはまるものだと考えられるが、犬猫だけなのか。
  4. ケージ等の構造等の基準において、金網の床材としての使用が禁止となり、ケージ等及び訓練場に錆(サビ)、割れ、破れ等の破損がないことが義務付けられるが、これも、犬猫には義務化されるが、その他の動物においては義務化されないのか。
  5. 定期的な獣医師の健康診断についても、犬猫は義務化されるが、犬猫以外の動物は義務化されないのか。
  6. 連続して長時間展示を行う場合に、休息ができる設備に自由に移動することができる状態を確保することを義務付けるのも犬猫だけなのか。むしろ、犬猫のように家畜化されていない他の動物において必要な定めではないか。
  7. 輸送後2日間以上、状態の観察を義務付けするのは、犬猫だけなのか。犬猫以外の動物については、「輸送後」ではない現行の基準が維持されるのか。移動展示、移動販売は、犬猫よりむしろ、希少種などのエキゾチックアニマルについて頻繁に行われており、矛盾がある。
  8. 不適切な被毛、爪等の状態を直接的に禁止するのは、犬猫だけなのか。その他の動物でも、蹄が伸びすぎた家畜が移動動物園に使われる、爪が伸びてまいた状態のウサギが劣悪施設からレスキューされる、脱毛する感染症が蔓延した繁殖施設から鳥が売られているなど、問題は起きているが、放置されるのか。

問4
人員数の計算において、犬猫とその他の動物の両方を飼育している場合、どのように計算するか。犬猫以外の動物についても、犬猫に準じて、作業時間から適切な人員数を割り出して配置することを義務付けるべきではないか。

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