環境省の第57回動物愛護部会、傍聴報告

今ごろすみません。既に動物取扱業の飼養管理基準のパブリックコメントが始まっていますが、この素案について審議が行われた第57回の動物愛護部会(10月7日)の傍聴報告をFacebookにしかアップしていなかったので、埋め込む形でブログにも記録しておきます。

この日の議事録がすでに環境省のサイトで公開されています。パブリックコメント意見を書く際に参考にしてください。

一点だけ、ペットオークション業界による基準の影響に関する試算への疑問について、下に少し追記しました(連続ツイートもしたやつです)。

ペットオークション業界の試算は正しいのだろうか

ペット業界の言い分は、この日の議事録の全国ペット協会の脇田委員の発言を見ればわかります。

その発言にも出てくる、10万匹が路頭に迷うと試算しているペットオークション業界団体らの調査(一般社団法人ペットパーク流通協会と犬猫適正飼養推進協議会によるもの)ですが、計算方法が疑問です。

まず、対象がペットオークションを利用している繁殖業者(ペットパーク流通協会の会員)に限られていますから、当然ですが、直接希望者に仔犬を販売しているような形態のブリーダーは含まれておらず、薄利多売の「悪い」ほうに偏りがあります。そういう「悪い層」で繁殖犬一人あたり15頭が守れないとした業者(約65%)が答えた頭数を、全体のブリーダー数(ペットパーク流通協会の会員だけではない全登録事業者数)に掛けて犬で10万匹を導き出しているのですが、ペット業界がこれまでずっと示してきた別の資料と比較すると、話が合いません。

第53回中央環境審議会動物愛護部会の犬猫適正飼養推進協議会ヒアリング資料にも載っている犬のブリーダー数と年間の販売頭数のグラフ(出典:ジャパンケネルクラブ)を見ると、年間販売数3頭のブリーダーがもっと多く、800人くらいいるように読めるのです。このグラフでは年間の販売頭数が10以下をホビーブリーダーとしていますが、グラフの見た目からざっと試算しただけでも、この定義の「ホビーブリーダー」が全体の3分の2くらいです。この人たちが15頭を超える繁殖犬を飼養しているとは考えにくく、新基準を守れない層が65%もいるという数字と話が合いません。

もちろん、このグラフは、ジャパンケネルクラブへの登録数ですが、JKCの登録数は減って、2014年で1万人くらいになっているという説明が過去にありました。その数字と、ペットパーク協会も使っている、環境省統計資料の犬の繁殖での第一種動物取扱業登録数11,743とで、そんなに大きく差はないです。今はケネルクラブ登録数がさらに減っている可能性はあるかもしれないですが。

ペットパークのアンケートに答えているのは犬猫合わせて1,113業者だけで、全体の一割に満たないです。この人たちにはアンケートに答えるインセンティブがあったと考えられ、「悪い層」の中でも特に、基準が守れないことを訴えたい人たちの回答であると考えたほうが自然だと思います。その割合を全体に当てはめて10万匹などと言うのは、数字の操作に思えます。

また、第一種動物取扱業の登録をする際、取り扱う主な動物の種類と数も申請書に記載し、登録します。この数字は、施設が飼養できる最大の数を意味します。この頭数を登録簿として公表している自治体がありますが、ざっと見たところ、数匹も多く、20とか30を超える登録は少数に見えます。もちろん、この中には販売だけしているショップも交じっているので、正確なところは自治体しか計算できませんが、一人あたり15ということは、夫婦二人なら30、65%もの業者が基準を守れないというのが本当なら、虚偽の登録をしているブリーダーが多いのではないかと疑ってしまいます。

ペット業界は、この日の愛護部会で全て立入して調べよと環境省に求めていましたが、ブリーダーがきちんと法律を守って登録しているなら、紙の上で試算できることです。申請書の備考欄に「事業所に配置される職員の最低数」も書くことになっているからです。自治体の負担があるといっても、登録状況からの計算くらいは大して時間もかからずできるはずだと思うので、登録の実態を調べてほしいなと思います。

確かに実態調査もなく規制強化はするべきではないでしょうが、登録時の立入りで書類と差異がないかは確認しているはずですし、自治体はこれまでの立入や苦情から、どこが劣悪かはだいたいわかっているのではないでしょうか。その自治体から基準案への大きな反対意見がないようですが、そのことはどう考えるのでしょうか。

もし基準クリアまでの経過期間を設けるにしても、この業者なら時間をかければ改善できそうだというところだけに認めるようにしてほしいです。改善される見込みもないような業者に、時間だけ与えるのは間違っています。犠牲になる動物がふえるだけです。

3団体では、業者が隠したり嘘を言えてしまう点より、行政の立入りで一目見てわかる施設基準のほうを厳しくしてほしいという観点から、ケージサイズ等の充実に意見を出しましたが、モヤッとする話が続いているので、つい書いてしまいました。

もちろん、ブリーダーの廃業によって、放出される犬猫は一時的にはふえるでしょう。その対策を考えることは必要ですし、悪いことではないですが、現政権の考え方は、まず「自助」だそうですね。業者・業界が、販促、販促ばかりで、足元の問題を自ら解決すべき問題として取り組んでこなかったことが、大きな反動として出てきているのだということは肝に銘じてほしいものだ、と思います。

動物取扱業者の飼養規準、パブリックコメントへ意見を! 11月17日締切

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