2019年改正動物愛護法解説:第一種動物取扱業の登録の拒否要件が強化されました

2019年動物愛護法改正解説

登録の拒否要件の強化 (第十二条):欠格要件が強化されました

 ※下線が改正部分。わかりづらくなるので他法令の法律番号を略しました。

(登録の拒否)
第十二条  (略)

 第十九条第一項の規定により登録を取り消され、その処分のあつた日から五年を経過しない者

 第十条第一項の登録を受けた者(以下「第一種動物取扱業者」という。)で法人であるものが第十九条第一項の規定により登録を取り消された場合において、その処分のあつた日前三十日以内にその第一種動物取扱業者の役員であつた者でその処分のあつた日から年を経過しないもの

 (略)

五の二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者

 (略)外国為替及び外国貿易法(略)第六十九条の七第一項第四号(動物に係るものに限る。(略))若しくは第五号(動物に係るものに限る。(略))、第七十条第一項第三十六号(同法第四十八条第三項又は第五十二条の規定に基づく命令の規定による承認(動物の輸出又は輸入に係るものに限る。)に係る部分に限る。(略))若しくは第七十二条第一項第三号(同法第六十九条の七第一項第四号及び第五号に係る部分に限る。)若しくは第五号(同法第七十条第一項第三十六号に係る部分に限る。)の規定、(略)絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(略)の規定、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(略)の規定又は特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(略)の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から年を経過しない者

七 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(略)第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者

七の二 第一種動物取扱業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として環境省令で定める者

八 法人であつて、その役員又は環境省令で定める使用人のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの

九 個人であつて、その環境省令で定める使用人のうちに第一号から第七号の二までのいずれかに該当する者があるもの

第十二条の第一種動物取扱業の登録の拒否要件は、第十九条ともリンクしており、登録の取消しができる要件にもなっています。今回、この部分には3団体が強く要望してきた点が多数盛り込まれ、大幅な改正がありました。

  • まず、登録取消の行政処分を受けてから2年間は再登録ができなかったものが、5年間に延長されました。登録を取消された業者が法人である場合、役員であった者も2年間は再登録ができませんでしたが、これも5年間に延長されました。私たちは、一度でも取り消されれば再登録不可、それが無理なら年限の延長をと要望してきましたが、大幅な年限の延長の形で実現しました。
  • 現在、動愛法及びいくつかの関連法の違反で罰金以上の刑に有罪となった者も、2年間は登録不可ですが、罪状を問わず禁錮以上の刑に処された者も5年間は登録不可としてほしいと要望してきました。この点については、3団体の逐条案通りの条文が盛り込まれました。
  • 動愛法及び関連法違反で罰金以上の刑に処された場合、現在2年間登録できない規定となっているものを5年に延長することを求めてきましたが、要望通り改正されました。
  • 関連法違反の中に、密輸に関連する法律として外為法違反及び関税法違反を含めることも要望しましたが、このうち外為法違反については関連条項違反が盛り込まれました。密輸に対する抑止力の向上を期待します。
  • 関連法違反の規定のうち、種の保存法、鳥獣保護法については、密猟を罰する条項が含まれておらず実効性が低いものとなっていましたので、対象条項を拡大することを求めてきましたが、これについては私たちの要望以上に対象が拡大され、種の保存法違反、鳥獣保護法違反で罰金以上の刑に処された者は全て5年間登録不可となりました。
  • 特定動物の飼養保管に関して行政処分を受けた者、感染症法・家畜伝染病予防法・カルタヘナ法に違反した者、(どのような法律かを問わず)動物の取扱いに関連して罰金以上の刑に処された者等についても登録不可を要望しましたが、これらについては採用されませんでした。しかし、罪状を問わず禁錮以上の刑に処された者について5年間は登録不可となっていますので、一定の実効性が期待できる結果となったと考えています。
  • 現在多くの法律で採用されている暴力団排除条項と、産業廃棄物処理法で許可取消しの実績もある、いわゆる「おそれ条項」(不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者を排除する条項)を欠格条件に含めてほしい旨、強く求めてきたところ、動物の取扱いから反社勢力を排除する必要性があまり議員に理解されないと感じた時期もありましたが、最終的には私たちの要望が通りました。
  • 事業者が法人である場合、現在役員の欠格要件のみが問われていますが、使用人についても欠格要件を求めたところ、改正が実現しました。個人事業主についても同様です。ともに、使用人の範囲については、環境省令で定めることになっています。

施行規則改正

この改正に伴い施行規則も改正され、第三条に以下の2項が追加されました。使用人の範囲をすべての常勤職員とすること等を3団体では求めましたが、「事業所の業務を統括する者」に限定されてしまいました。

さらに「事業所の業務を統括する者」とは、「具体的には、本店又は支店の代表者のほか、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で当該業に係る契約を締結する権限を有する者を置く場所の代表者等が該当する」と施行通知にて示されています。

動物の愛護及び管理に関する法律施行規則

(第一種動物取扱業の登録の基準)
第三条
(中略)
5 法第十二条第一項第七号の二の環境省令で定める者は、次の各号のいずれかに該当する者とする。
一 法第十九条第一項各号のいずれかに該当するとして登録の取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条の規定による通知があった日から当該処分をする日又は処分をしないことの決定をする日までの間に法第十六条第一項第四号又は第五号の規定による届出をした者(解散又は第一種動物取扱業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で当該届出の日から五年を経過しないもの
二 前号の期間内に法第十六条第一項第二号、第四号又は第五号の規定による届出をした法人(合併、解散又は第一種動物取扱業の廃止について相当の理由がある者を除く。)の役員であった者であって、前号に規定する通知があった日前三十日に当たる日から当該法人の合併、解散又は廃止の日までの間にその地位にあったもので当該届出の日から五年を経過しないもの

6 法第十二条第一項第八号及び第九号の環境省令で定める使用人は、法第十条第一項の第一種動物取扱業の登録の申請をした者の使用人であって、同条第二項第二号の事業所の業務を統括する者とする

改正施行規則公布と同時に公表された「動物の愛護及び管理に関する法律施行規則の一部を改正する省令及び環境省関係告示の整備に関する告示について」には、概要として以下のように書かれています。

(1)第一種動物取扱業者の登録拒否事由の追加(第3条関係)
①不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として環境省令で定める者として、登録取消し処分に係る行政手続法に基づく聴聞の通知後に事実上不利益処分を免れようと廃業等の届出を行う業者を規定する。
②環境省令で定める使用人として、事業所の業務を統括する者を規定する。

施行通知

施行の直前、2020年5月28日付けで環境省から自治体に通知された「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の施行について」(施行通知)では、以下のように説明されています。(この通知は、地方自治法に基づく、国から自治体への「技術的な助言」に相当します)

2 第一種動物取扱業の登録拒否事由の追加(第12条関係)

第一種動物取扱業者による動物の不適切な飼養又は保管を防止し、第一種動物取扱業者の質の確保を図る観点から、都道府県知事(地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市(以下「指定都市」という。)にあっては、その長とする。16を除き、以下同じ。)が第一種動物取扱業の登録を拒否しなければならない申請者に係る登録拒否事由として、以下の項目が法第12条第1項に追加された。

(1)禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(第5号の2)

(2)外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)(動物の輸出入に係る違反に限る。)、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号)、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)又は特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成16年法律第78号)の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(第6号)

(3)暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(第7号)

(4)第一種動物取扱業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者(第7号の2)(5)法人又は個人であってその環境省令で定める使用人のうちに登録拒否事由に該当する者のある者(第8号及び第9号)

このうち、(4)については、第一種動物取扱業の登録取消処分に係る行政手続法(平成5年法律第88号)第15条に基づく聴聞の通知後、当該処分に係る決定までの間に廃業等の届出を行い、届出後に再度新たな登録を受けることで事実上不利益処分を免れようとする業者について、新たな第一種動物取扱業の登録を一定期間行わせないこととされた。

また、(5)については、法人又は個人の使用人が諸々の登録拒否事由に該当し、動物の不適正な取扱いを行う蓋然性が高いと判断される場合に、これらの者が動物の取扱いについて主導的な立場に立つことを防ぐこととされた。環境省令で定める使用人は、動物の愛護及び管理に関する法律施行規則(平成18年環境省令第1号。以下「施行規則」という。)第3条第6項において「事業所の業務を統括する者」と規定された。具体的には、本店又は支店の代表者のほか、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で当該業に係る契約を締結する権限を有する者を置く場所の代表者等が該当する。

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2019年改正 動物愛護管理法 2020年 2021年 施行

2019年改正法の概要 目次

● 動物の所有者等が遵守すべき責務規定を明確化

● 第一種動物取扱業による適正飼養等の促進等

● 第二種動物取扱業に帳簿の備付け義務

● 動物の適正飼養のための規制の強化

● 特定動物(危険動物)に関する規制の強化

● 動物虐待に対する罰則の引き上げ

● 都道府県等の措置等の拡充

● マイクロチップの装着等

● その他

● 附則

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