民営化に向け、須磨海浜水族園の動物たちはどうなるのか。動物の行き先についての回答

民営化へ向け、動物の移動が始まったスマスイ

5月10日に、神戸市立須磨海浜水族園(スマスイ)が、雄ラッコの「ラッキー」の死亡を公表しました。スマスイに雌雄1匹ずついたうちの1匹で、飼育下のラッコでは国内最高齢とのことでした。(ラッキーは1998年5月13日生まれ、2012年に新潟市水族館からスマスイへ移動)

スマスイは、2024年(令和6年)の民営化へ向けたリニューアル工事を行うため、今年2月末でイルカライブなどを終了しています。現在は、本館のみの営業となっており、ラッコも本館以外の建物で飼育されていたので、展示は終了していました。動物たちがどうなるのか気になっていましたが、4月下旬にラッコ2匹が鴨川シーワールドに移されていたことがラッキーの死亡により明かされ、動物の移動が始まっていることが初めて公表されました。

スマスイでは昨年4月から指定管理者が変わっており、2024年リニューアルオープンへ向けた再整備事業での水族館設置予定者、つまり鴨川シーワールドを経営する株式会社グランビスタ ホテル&リゾートが現在の指定管理者です。自分のところに、客寄せの目玉になるような動物(ラッコ)を移したのか…と思いました。高齢のラッコですから、本来なら輸送は避けるべきでしょうが、人間の営利上の都合がある場合は関係ないのだから、都合がいいものだと思います。

貝をガラスに叩きつけて割るためガラスに傷がつくという理由で、剥いた状態で貝を与えられていた。
こんな狭い施設に入れられ、叩いて割るという行動欲求すら制限されるとは…
野生では、ラッコのメスとオスは交尾のための短い期間しか一緒にいない。メスは単独で子育てをする。

その他の動物はどうなる?

ラッキーの死亡公表時に神戸市観光企画課に問い合わせたところ、本館のバックヤードで飼育できない動物については移動させるとのことでしたが、動物の移動については、まだ園からラッコしか報告されておらず、詳細はスマスイの指定管理者であるグランビスタ ホテル&リゾートに直接尋ねるようにとの回答でした。(実際には年報に移動の報告が載っていますが、電話の時点では年報ができていなかったのだろうか?)

なので直接スマスイへ質問事項をメールしたところ、6月8日付けで株式会社グランビスタ ホテル&リゾートから回答があったので、下記に掲載します。このときの回答では、なぜかミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)が抜けていたのですが、大学への解剖用払い下げについて調べているJAVAさん(動物実験の廃止を求める会)には同じ日に数と行き先を回答していたため、なぜPEACE宛回答では抜けているのかを再質問しました。その回答も下部に掲載していますが、神戸市からの開示文書では、2020年4月1日時点で新指定管理者に移管した時点で256匹いたにも関わらず、移動時には164匹に減っています。アカミミガメについては、これまで新旧の指定管理者とやりとりし、飼育数は公表できないとのことだったので、初めて数が明かされたことにはなりますが、1年でこの減り方は一体?と思わざるを得ません。(長くなるので、この問題については、別記事にします。)

飼育動物の一覧や移動については、同時並行で、神戸市に公文書開示請求もしました。開示されたリストは下記の2点です。

詳細が開示されてやっとわかりましたが、以前、ウミガメの数や放流の可能性について電話で問い合わせたとき、答えがごにょごにょした感じでよくわからなかったのは、種の保存法違反等で押収等された個体の預かりが含まれているため、それについて答えたくなかったからのだなと思いました。預かり個体が意外に多く、犯罪行為がいかに展示施設に負担を強いているかということについても、考えさせられます。

イルカたちの行き先

バンドウイルカについては、7頭がいましたが、それぞれ下記の施設に移されました。開示資料、回答、スマスイ旧ウェブサイトなどネット上の情報で確認できる事項からまとめたリストです。鴨川シーワールドへの移動は、本年度に入った4月以降と思われます。

  1. クー  メス 2004年10月19日太地から導入 ⇒ 鴨川シーワールド
  2. マミー メス 2004年10月19日太地から導入 ⇒ 鴨川シーワールド
  3. ラブ(I2) メス 2006年2月28日太地から導入⇒ 鴨川シーワールド
  4. ジーナ(J2) メス 2009年2月24日太地から導入 ⇒ 鴨川シーワールド
  5. ケイト(K1) メス 2014年3月29日太地から導入 ⇒ 鴨川シーワールド
  6. ガル(C2) オス 1988年11月19日太地から導入 ⇒3月16日~17日に下田海中水族館へ
  7. ロクマル オス 2016年9月30日スマスイ生まれ ⇒ 3月23日に南知多ビーチランドへ

オスのガルはひとりぼっちで裏のタッチングブールに入れられていた。スパイホッピングを常同行動的に繰り返したり、
ふれあい時間外で人がまったくいない浅瀬にあがり、口を開ける動作を繰り返したりしていた。(魚がほしい?)

株式会社グランビスタ ホテル&リゾート 神戸市立須磨海浜水族園 回答(1回目)

  • 魚類や無脊椎動物まで入れると数が多くなるため、第一種動物取扱業の登録事業者に台帳の調製・保管義務がかかっている哺乳類、鳥類、爬虫類に限定して質問しました。
  • 開示資料と照合すると整合性がないように思える部分もありますが、そのまま掲載します。
質問1 神戸市から、本館以外で飼育されている動物のうち、本館バックヤードに移せない動物はすべて他の施設に移動させると伺いました。つきましては、本館の動物も含め、哺乳類、鳥類、爬虫類についてのみで結構ですので、下記の点について教えてください。
・本館以外で飼育されていた動物のうち、本館のバックヤードに移した、もしくは移す予定の動物の種と数。
・マゼランペンギン43、ゴマフアザラシ2(いずれも実施済み/現在本館展示中)
・ラッコ以外ですでに他の施設等へ移した動物の種と数と行き先。それぞれ、譲渡なのか販売なのか、一時的な預けなのか。
・他の施設等へ移す予定の動物の種と数と行き先。それぞれ、譲渡なのか販売なのか、一時的な預けなのか。
上記2つのご質問につきましては以下表の通り
移動生物種 移動先 摘要
バンドウイルカ 5 鴨川シーワールド 預け
1 下田海中水族館 預け
1 南知多ビーチランド 預け
ゴマフアザラシ 3 鴨川シーワールド 預け
マゼランペンギン 27 八景島シーパラダイス 預け
ヤエヤマイシガメ 1 美ら島財団 譲渡
エラブウミヘビ 19 奄美観光ハブセンター 譲渡
アカマタ 1 平川動物園 譲渡
アオダイショウ 2 ジャパンスネークセンター 譲渡
オオアナコンダ 6 iZOO 譲渡
・上記に該当しない動物がいるかどうか。
いる場合は、殺処分なのか、死亡なのか、移さない理由も教えてください。

該当する生物はなし

質問2
上記のうち、神戸市へ報告済みのものがどれか教えてください。報告をしないものがある場合、報告しない理由を教えてください。また、報告はどのような頻度で行っていますか。(移動が発生する都度であるか、もしくは定期的にまとめて行っているか等)

年度ごとの事業報告書にて、報告しております

質問3
貴社が指定管理者になった時点で須磨海浜水族園が所有していた哺乳類、鳥類、爬虫類のうち、すでに現在までで死亡したものの種と数を教えてください。
哺乳類、鳥類について死亡個体は該当なし
爬虫類ではアミメニシキヘビ1
※死亡原因は自然死となります
質問4
貴社が指定管理者になった時点で須磨海浜水族園が所有していた哺乳類、鳥類、爬虫類のうち、令和6年民営化以降の新しい水族館で飼育する予定の動物種を全て教えてください。
質問5
シャチ以外で、令和6年民営化以降の新しい水族館に新たに導入する予定の動物種があれば全て教えてください。
質問4、5につきましては以下の表の通り

※但し、以下記載内容については2019年7月作成の提案書リストのため、現時点での決定内容ではないため変更になる可能性があります

展示予定生物種 質問4該当種
バンドウイルカ
カマイルカ
カリフォルニアアシカ
ゼニガタアザラシ
ゴマフアザラシ
マゼランペンギン
ウミガメ類
ニホンイシガメ

 

質問6
特定動物のヘビ全種の体長をそれぞれ教えてください。
オオアナコンダ 約2.5(1)、3(2)、3.5(1)、4(1)m
アミメニシキヘビ 約2.5(1)m
※()内は個体数、全て他施設へ移動済み
スマスイで唯一、ほかより広めのスペースをもらっているように感じたヘビたちは譲渡され、戻ってこないようだ。

株式会社グランビスタ ホテル&リゾート 神戸市立須磨海浜水族園 回答(2回目)

2021年7月1日付けで、下記の追加回答がありました。


 先日、回答させて頂きました内容にiZOOへのミシシッピアカミミガメ164個体の譲渡情報が欠落しておりました件ですが、回答資料作成過程で記載漏れであることが判明しましたのでお知らせさせて頂きます。

数千匹にのぼると思われる受け入れ個体は、一体どうなったのだろうか?
スマスイは研究を理由に、飼育数、死亡数、殺処分数、解剖への払い下げ数などの詳細を明らかにしていない。
研究目的なら、論文などの形で明らかにするべきでは?
(詳細は別記事にします)

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