神戸市立須磨水族園の義肢で有名になったアカウミガメの「悠」。死亡6日前の9月20日、閉園時間直前に撮影しました。真ん中で動かないのが悠ちゃんです。
公式サイトによると、この日、「体が脱力し、衰弱が認められたためバックヤードの水槽へ収容」。6日後に死亡しました。所見として「重度の削痩および貧血、筋肉の融解、一部腹甲と皮膚に壊死をみとめました」とあります。偶然にも、最後の展示の日が終わるところに居合わせました。
水槽に近づく前、遠目に見ているときから、飼育員が心配そうにじっと水槽を覗き込んで見ており、具合の悪い動物でもいるのだろうか?という感じでした。見るとプールの底に沈んで動かないカメがおり、聞くと、これが悠ちゃんとのこと。正直、見ていても生きているのかどうかわかりませんでした。こういうふうに動かなくなることはあるとのことでしたが、説明は元気ですよ!という感じでもありません。浅く狭いプールで、死なせるための場所にも見えました。
あれだけ持ち上げられ、宣伝に使われ、美談とされた義肢のアカウミガメ。最後は、「悠」の名前の表示すらないプールでした。見てもわからず通り過ぎた人が多かったでしょう。今、献花台などとやっているのが信じられない気持ちです。
この水槽は狭く浅いところに何匹もウミガメ類が入れられており、あまりの狭さ・過密さ・浅さに呆然としました。
メインの建物の入口を入ったところに大水槽もあるのですが、一昨日電話で確認したところ、その大水槽にはアオウミガメが1、この3階の狭い浅い水槽にはアオウミガメ2、クロウミガメ4、タイマイ3、アカウミガメ2がいるとのこと。保護され、治療・快復後に海に帰す場合もあるので、頭数は変動があるそうです。しかし、もう海には戻せないウミガメはずっと飼育していると、当日飼育員は言っていました。何頭が戻せないのかは聞いても明確な答えはありません。
再整備計画にノー!を
神戸市は現在、この老朽化した須磨水族園と一帯の海浜公園の再整備計画を進めており、今月末~11月には設置等予定者として優先交渉権者に選定されたJV(ジョイントベンチャー)と協定書の締結が成立してしまいます。現在、公開されている協定書案をJVの形に書き換えるなど修正を行っているところですが、この締結がいわゆる契約にあたり、この前後に計画の承認もなされます。新装オープンは令和6年と先ですが、決定は迫っています。
優先交渉権者が示した新計画にはシャチのショーを行う施設と、イルカショー施設と、もう一つ、ホテル併設施設としてのドルフィンタッチプールが盛り込まれており、動物搾取産業の商業カラー一色です。国際的にも鯨類の飼育が批判される中、国際都市神戸らしからぬ旧態依然の計画。海外からの批判は必至でしょう。
9月に神戸に行ったのも、悠ちゃんを見るためではなく、この再整備計画について神戸市観光企画課に詳細を聞くためでした。(このあたりの詳細は別途投稿します)
傷ついた野生のウミガメを保護し、海に帰す役割を担ってきたことはすばらしい。でも、治療用プールでもないのに、飼い殺しになっていることは問題です。今すぐにも改善してほしい。
一方で新しいイルカやオルカのショー施設などという計画は要りません。大海原を泳ぐ大動物を狭い水槽に閉じ込め見世物にすることはもう止めるべき。
再整備のコンセプトを大幅に見直すよう、神戸市長に是非ご意見をお送り下さい。
意見送付先
<追記>PETAがメールアクションを開始!
海外の方に、ぜひ拡散してください。
日本国内の方は、同じ文面でも構わないので、市長への手紙のメールフォームから送ってください。
須磨海浜水族園が水族園の拡大を図り、シャチの展示施設だけでなくイルカのプールもさらに建設されることを知ってショックを受けました。このような知能の高い動物が無意味な芸を強要される計画は直ちに中止されるべきです。
野生のシャチやイルカは大きくて複雑な群れをなし、毎日広大な海でとても長い距離を泳ぎます。一方、飼育ではシャチやイルカにとって浴槽程度の大きさでしかない水槽で、いつまでも円を描いて泳ぐことしかできず、自然な行動をする機会が完全に奪われています。そのほとんどが、野生下の平均寿命よりずっと早く死んでいます。
世界中の科学者は、シャチやイルカが無理に狭い水槽で飼育されたり、芸をさせられたりすることの裏に潜む残酷さを認識しています。政府の多くは、このような海洋生物の飼育を禁じるか、禁じる方向に進んでいます。一方、日本はより多くのシャチやイルカを閉じ込める計画をして、悪化の道をたどっています。
日本の未来のために、須磨海浜水族園の新たなシャチとイルカの展示施設の建設を中止してください。
どうかよろしくお願いいたします。