アメリカで大型のネコ科動物の私的所有を禁止する法律が成立! 触れ合いも禁止となります

ライオンやトラは私的所有できなくなる

アメリカで12月20日、ライオンなどの大型のネコ科動物の私的所有を禁止する「大型ネコ科公衆安全法(Big Cat Public Safety Act)」にバイデン大統領が署名し、成立しました。

この法案は、2022年7月に米国議会下院を通過し、12月に上院を通過していました。

これにより、これまで州ごとに異なっていた規制が連邦法のもと統一され、ライオン (Panthera leo)、トラ (Panthera tigris)、ヒョウ (Panthera pardus)、ユキヒョウ (Uncia uncia)、ジャガー (Panthera onca)、ピューマ (Puma concolor)、またはその交配によって生まれた動物は、個人所有が禁じられます。

それだけではなく、条文を見ると、州間取引または国際間取引における輸入、輸出、輸送、販売、受領、取得、購入も禁止され、さらに繁殖または所有自体が禁止されています。

ただし、動物福祉法上のライセンスか登録を受けた動物園等の展示施設や、大学等の機関、対象種の商業取引をしないなどの条件を満たした野生動物保護区、輸送のための一時的保管などは、これらの規制の対象から除外されています。

「赤ちゃんと写真撮影」などはできなくなる

日本でも、こうしたアトラクションのためにトラやライオンを出産させている

そして、アメリカでは、この新法によって、動物園等の動物展示業者がライオンなどの赤ちゃんを来園者に直接触れ合わせるようなサービスをすることもできなくなります。

動物展示業者の施設では、訓練を受けた従業員や獣医師などを除き、個人がこれらの動物と直接物理的に接触することは許されません。

動物園等では、公衆の接触を防ぐに十分な恒久的な障壁がない限り、これらの動物は、公衆から少なくとも 15 フィート(およそ4.6メートル)離されている必要があります。

さらに、保全に貢献し、商業活動目的ではなく、科学的な個体群管理がなされており、繁殖ペースが適切で動物福祉に貢献するものであることなどが条件になっているので、繁殖もこの範囲でしかできないということでしょう。

この法律の制定日より前に生まれた該当種を所有している者は、制定日から180日以内に米国魚類野生生物局に登録する必要があり、繁殖や新たな取得や販売は禁止され、直接触れ合わせる活動も禁止されます。

飼育されているトラが5000頭ともいわれたアメリカで、実に画期的な法律です。

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日本でも写真撮影やミルクやりを禁止にしよう!

日本では、特定動物の愛玩目的飼養は禁止されましたが、直接的触れ合いの禁止には至っていません。

国会での付帯決議に、下記のように盛り込まれただけです。

四 家畜化されていない野生由来動物の飼養については、動物の本能、習性及び生理・生態に即した適正な飼養の確保が一般的に困難なことから、限定的であるべき旨について周知徹底を図るとともに、人獣共通感染症防止や動物の健康や安全の保持等の観点から、触れ合いを含む動物展示施設等の動物に係る飼養管理基準の在り方について検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。

日本にも、ライオンの赤ちゃんとの写真撮影やミルクやりなどのアトラクションのために、高頻度で出産させているサファリパークや動物園があります。子どもたちはすぐ成長して触れ合いは使えなくなるので、人口は過剰です。高齢になった個体から安楽死していると言っていたサファリパークもありますし、小さな建物にオスをたくさん閉じ込めて飼育していることが報道されたサファリパークもあります。飼い殺しです。

そうした乱繁殖の裏で、移動動物園などに出され、大人にならずに、人知れず死んでいったライオンも多くいます。中国にも多数輸出されています。

こうした子どもたちは、生まれてすぐ母親から引き離されるため、健全な成長が阻害されると言われています。彼らが母親のもとに戻されることはありません。

今回、アメリカで新法が成立したことを心から歓迎するとともに、日本でも法改正を求めていく必要があると強く感じました。

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