福岡市動物園が新たにアジアゾウを輸入しようとしています。中止のご意見をお送りください! 

福岡市立の動物園である福岡市動物園が新たにミャンマーからアジアゾウ4頭を輸入しようとしています。このことはすでに2019年に公表されており、ゾウ舎や運動場の拡張整備も始まっていますが、福岡市がずっと交渉を続けてきたミャンマーでは、今年2月に軍事クーデターが起きました。その影響について、3月頃に動物園に確認した際には、様子見とのことで交渉が止まっている状態でした。

軍事政権と取引すべきでないことはもちろんですが、動物福祉の観点から、輸入を断念するよう、ぜひ意見をお送りください。

新しい運動場は以前の3倍になるそうですが、それでもとても狭いです(以前の放飼場は下記参照)。日本の牢獄に閉じ込め、本来の生息地でよりよく生きるチャンスを奪うのは、人間のエゴです。アジアゾウの保護をうたいながら、生息地からゾウを搾取してしまっては、言っていることとやっていることに矛盾があります。

折しも、イギリスでは、ゾウの輸入禁止が検討されていると報じられました。イギリスの民間施設では、飼育しているアフリカゾウをアフリカに戻す計画を立てているところもあるそうです。イルカがそうであったように、今後、ゾウについても世界の飼育の流れは変わるかもしれません。

福岡市とミャンマーの交渉の詳細については、開示請求で得られた下記の書類を参考ください。ミャンマー側がゾウたちのために要望しているさまざまな点について、福岡市側が果たしてクリアできるのかという疑問を感じざるをえません。PEACEでは、これらの情報をもとに、アジアゾウの輸入中止を求める要望書を福岡市に送りました。

新しい施設は、日本国内にいる不幸なゾウたちのために使われるのであってほしいです。

福岡市動物園 聞き取りメモ

今年3月、実際ミャンマーに行った福岡市動物園の職員から、状況などについて電話で聞いたときのメモです。一部、開示資料から補足しています。

  • まだゾウは決まっていない。ゾウを選んでいる段階で、今回の政変が起きた。
  • 飼育下で交尾させて繁殖したとわかっているゾウを日本につれてくる。保全のためにゾウを連れてくると言っているのに、野生捕獲や、メスを森に放し野生のオスと交尾させて繁殖したゾウは連れてこれない。オスが飼育されていることも確認した。(注:東南アジアのゾウ飼育では、繁殖のために飼育下のメスを野生に放し、野生のオスと交尾させて妊娠させるという方法がとられていますが、そうではなく完全飼育下繁殖だという意味です。)
  • ミャンマーでは飼育下のゾウはすべて把握されており、野生捕獲か、父親が野生か、両親とも飼育下の繁殖かということは記録で確認できる。
  • ミャンマーでは木材の伐採禁止の影響で、飼育下のゾウの仕事がなくなり天然資源・環境保全省が引き取って飼育している。(⇒但し、開示資料では使役のゾウもいるように書かれている)
  • 観光用にも使われているが、福岡市から見に行ったキャンプでは観光(ライドなど)はやっていなかった。動物園のゾウと、キャンプのゾウで入れ替えがあったりするようだ。
  • 獣医師がキャンプを回り健康管理などを行っている。驚いたが、思ったより水準は高い。
  • 連れてくるのはオス1頭とメス3頭。オスは13歳とか15歳くらい? メスはミャンマーの獣医師から、親子を混ぜたほうがよいのではないかと言われているのでそうするかもしれない。(つまり子象も連れてくるかもしれない)
  • ミャンマーの政情については静観しているところ。まずは日本政府の対応がどうなるかを待っている。「もし日本政府が軍事政権を認めてしまったら福岡市はそれを受け入れて軍事政権と取引するのか?」と聞いたらまだ何とも言えないという様子。ご意見承りますという感じ。
  • 「ゾウキャンプではブルフックを使っているのではないか? タイではパジャーンと呼ばれているが、東南アジア各国で同じような子象への暴力的調教が行われているはずであり、連れてくるゾウにも行われているのではないか?」と聞いたところ、行ったキャンプでは手を使っていたとのこと。(パジャーンについてはわからない様子で、確認はしていないと思われた。⇒開示資料では、使役のゾウの場合、子ゾウを親から引き離し、1~1.5か月間、檻の中に閉じ込めて外に出さないと書かれている。動物園のゾウには行わない。)
  • 新しい施設は、ミャンマーの獣医師らの意見も聞いて、傾斜があるところを作ったり工夫する予定。足も傷めないように工夫すると、強くアピールしていた。
  • 連れてこないでほしいという意見については、ご意見承りますという感じ。

亡くなった「はな子」について

福岡市動植物園では、2017年9月にアジアゾウの「はな子」が死亡しています。「はな子」は、2012年にもう1頭の「おふく」が死亡してから、ずっと単独飼育でした。再度複数のアジアゾウを導入しても、1頭ずつ死んでいけば、また最後には単独飼育になってしまうのではないかという懸念を持ちます。

「はな子」と「おふく」は、2009年に新しいゾウ舎へ引っ越しており、2011年には新しい運動場がつくられていたのですが、2016年ころに現地を見た際には、せっかく新しそうな放飼場の一部に草がぼうぼうに生えていて、あきらかに「はな子」が踏み入れてない部分がありました。「はな子」には、その部分が怖いのか、近づいていないのではないかと感じました。

そのことについても園に聞いたところ、「はな子」は足が悪く、また新しい施設にも慣れなかったと言っていました。人に見せることや管理しやすいことが優先の設計では、当然そういうことも起きるでしょう。飼育下の動物には、安全と感じる場所や気にいった場所を自由に選べるような選択肢がありません。

放飼場は全体に障害物の多い構造で(管理上の理由はあるのだろうが)、ゾウが動ける範囲が狭かった。

エンリッチメントのためなどと書かれていたが、明らかに客を楽しませるための設備。
この場所に行く通路は、特にゾウが入れないよう塞いだりはしていないのに、草ぼうぼうで使われてない様子だった。
その場では、ノーズチューブで嫌な思いでもしたのだろうか?と思ってしまったが、そもそも通路の構造そのものが怖いのかもしれない。



全体に、ゾウのためを考えた設計ではなく、人間のため優先で作られている印象。


まだ新しいゾウ舎。このゾウ舎を作ったときだってお金をかけただろうに…計画性がなさすぎではないだろうか。

ミャンマー情勢について

2月1日の軍事クーデター以来、ミャンマー軍はクーデターに抗議する市民に暴力的な弾圧を加えています。

アムネスティ・インターナショナルの署名によると、「戦場用の武器まで使って、100日の間に800人も殺害しました。子どもにも容赦ありません。5歳の男の子も殺されました。逮捕された人は3,800人以上に上ります。当局に拉致され、行方がわからなくなっている人も大勢います」。

クーデター前に福岡市が動物の取引の交渉をしていたのは、ミャンマーの天然資源環境保全省(MONREC)でした。軍事政権下でゾウたちの扱いがどうなっているのか心配ではありますが、武力弾圧を継続する軍事政権と福岡市が取引することは、あってはならないと思います。

追記:アムネスティのオンラインセミナーによると、ミャンマーでは、行政府の職員も、軍事政権に協力しないよう職を辞して抵抗しているそうです。経済も停滞しており、食料危機も懸念されるとのことでした。

福岡市の気候について

福岡出身の当会スタッフによると、福岡の冬は東京より寒いそうです。

日本海側で、冬期の日照時間が東京や大阪に比べると短く、夜間と昼間の温度差が小さいのが理由のようです。平均気温でみると、数字上は東京より高くなりますが、日中が暖かくなく、寒く感じます。

福岡市に意見をお送りください

福岡市に、アジアゾウの輸入を止めるよう、要望してください。新しくなる施設には、国内の、もっと劣悪な施設で苦しむゾウを迎えてほしいと提案してください。

この問題について働きかけを行っているAkiさんの要望書もご参考ください。

参考

意見送付先

〒810-0001
福岡市中央区天神1丁目8の1
福岡市長 高島宗一郎 殿

電話番号: 092-711-4067
Fax番号: 092-733-5580
Eメール: kocho.MO@city.fukuoka.lg.jp

アジアゾウの輸入中止を求める要望書

PEACEでは、下記の要望書を送付しました。


2021年6月25日

福岡市長
高島 宗一郎 殿

アジアゾウの輸入中止を求める要望書

 私どもは、飼育下に置かれた動物たちの悲惨な状況に心を痛め、活動する市民団体として、福岡市動物園のアジアゾウ輸入の中止を求めます。

福岡市動物園がアジアゾウを求めて交渉しているミャンマーは、ゾウたちの本来の生息地です。先日、公文書開示請求を行い、既に飼育下にあるゾウを日本に連れてくる予定であり、野生のゾウの輸入ではないことは承知しておりますが、それでもやはり、日本に連れてくることでゾウたちが幸せになるとは、とても思えません。
福岡市動物園が以前のゾウ舎より広い土地を確保したとしても、ゾウの行動域から考えれば虐待的な狭さであることに変わりはありません。ミャンマーの広いゾウキャンプで行われている森の中の散歩等もできなくなります。自然界から略奪された動物に対し、どれだけ福祉的配慮を行ったとしても限界があることは明らかです。ゾウたちは、狭い、閉じられた人工的な環境で生きなければならず、人間が与えるものだけを食べ、しかも日本で手に入る食物だけを与えられ、単調な日々を送らなければなりません。
気候についても、日照時間の短い福岡市の冬は、寒いです。また夏は、湿気の高さをミャンマー側から指摘されています。
ゾウは社会的な動物ですが、ともに暮らすゾウの数も日本では減ってしまい、最終的に残ったゾウが単独飼育に陥る可能性は高いです。

福岡市動物園は2017年に「はな子」が亡くなるまで、実際にアジアゾウの飼育を行ってきたにもかかわらず、ミャンマー側から教えられることばかりであり、大丈夫なのだろうかと疑問に思います。同園に電話をした際も、ミャンマーでの獣医師による健康管理レベルは思っていたよりも高いとおっしゃっていました。であれば尚のこと、日本に連れて来てほしくないのです。

また、実態として、展示による誘客が輸入の最大の目的であるのに、繁殖や種の保存などを目的とした共同研究を掲げていることも、疑問です。アジアゾウはワシントン条約附属書I掲載種であり、国際取引には最も厳しい規制があります。その規制をかいくぐるために、自治体が方便を使うことなどあっていいのでしょうか。動物園の目玉のように広報している時点で、輸入の目的を偽っていると思わざるを得ません。
そもそも、アジアゾウの保全を説くのであれば、本来の生息地であるミャンマーで、飼育下のゾウたちに野生の環境を与えるサンクチュアリ化を支援するなど、もっと他の方法をとるほうが有効です。森林伐採禁止の影響で使役労働が減り、現地政府の管理下にあるゾウたちから、生息地でよりよく生きるチャンスを奪い、日本の牢獄に閉じ込め、それがまるで動物福祉にかなっているかのように説くのは、欺瞞です。
野生動物の保護は、本来の生息地で行うからこそ、意味があります。生息地から略奪してきたアジアゾウを見せながら、アジアゾウの保全を説くことは矛盾があり、伝える言葉に行動が伴っていません。繁殖しても、野生に戻すわけではありません。動物園はダブルバインドなメッセージを発し続けています。

福岡市動物園で建築中の新しいゾウ舎には、日本国内の劣悪な環境で飼育されている他のアジアゾウをぜひ迎えてください。たった1頭で、もしくは仲間が極端に少ない状態で、著しく狭いコンクリート施設で飼育されているなど、虐待飼育が蔓延した状態が日本国内にはあります。ショーやライドなどに使われ、ブルフックの暴力的使用から逃れられないゾウもいます。国内の問題が解決していないのに、新たに国外からゾウを輸入するなど、あってはならないことです。動物園が自園の利益やエゴだけで動く時代を終わりにするために、福岡市として、動いてください。

また、非常に重要なことですが、ミャンマーは、本年2月1日の国軍クーデターにより、現在、軍事政権下にあります。福岡市がこれまで交渉してきた相手は、ミャンマーの天然資源環境保全省(MONREC)であり、国です。今後、日本政府がどのように外交方針を定めるのであっても、非人道行為によって市民を弾圧する軍事政権と取引を行うことは、断じて許されません。

折しも、イギリスでは、動物園やサファリパークが新たにゾウを輸入することを禁じる法案について議論されていることが報じられています。イギリスは、鯨類の飼育をいち早く止め、世界の潮流をつくってきました。将来的に、ゾウの展示飼育禁止が世界の流れになる可能性もあります。

以上のことから、市長におかれましてはぜひ輸入中止のご英断をしていただきたく、何卒よろしくお願い申し上げます。
なお、本件につきまして、ご回答をお待ちしております。

 

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