動物実験基本指針の運用に関する文部科学省の無策ぶり。これが動物実験の自主管理の実態だ!

またしても今度の動物愛護法改正で、実験関係者の団体が改正反対の圧力をかけてきています。

本日、動物実験関係者連絡協議会という動物実験関連の業界団体のサイトに動物愛護法改正に反対する要望書が公開されました。

主に医者などの研究団体や実験動物関連団体からの「機関管理でやらせてくれ!」(つまり「自分たちで勝手にやらせてくれ!」)という身勝手な要望が、またしても!です。

どうして安易にそのような要望に飛びついてしまうのでしょうか。

欧米の動きに遅れること何十年も放置しておいてもらっておきながら、未だに「自由にやらせてくれ!」「動物の福祉なんか法律にするな!」という自分勝手な欲求を述べて恥ずかしくないのだろうか、この人たちは?!と思いますが、社会ではなく、特権階級である自分たちが決めるべきだと思っている人たちですから、横暴は止まりません。

2005年の改正では3Rの理念だけ、義務でもなんでもない文言が入っただけ。

それ以降も、動物実験の現場では、医師等の研究者が、動物福祉を担う管理獣医師や技術者の声に耳を貸さず封殺しておきながら、社会に対しては自分たちは機関管理できちんとやっているなどと主張してきました。

2005年の改正時に、自主管理でうまくいかなければ法改正もありうると環境省は述べていました。

この10数年間で確かに意識は変わったかもしれませんが、実態として動物実験の代替が進んだのでしょうか? 削減の取り組みがなされたのでしょうか? 動物実験施設が今どういう状況か、国が把握したのでしょうか? いずれも断片的な情報しかありません。

実験者たちが得意げに言う「2006年体制」すら、現時点で、実に低いレベルでしか理想は実現できていません。

実験動物福祉に関する法的な具体的取り組みがなされていないので、日本では現場に関する情報もなく、そのため政策も立てられないのが実情です。これを改め、国際水準に引き上げるためには、まず一歩法律を進め、統一的なガイドラインをつくり、きちんとそれを守らせる仕組みをつくる必要があります。そもそも施設の許認可制度や登録制がない時点で、国際社会からは取り残されています。

日ごろは、動物愛護法は「実験動物」の取扱いについての法律なのだから動物福祉は環境省がやれと主張している自分たちが、改正の検討となると急に「動物実験の指針を守っている」などと文科省等の指針のことを言いだすのも、本当に滑稽です。(議連PTでのヒアリングについて別途ご報告します)

そして、その機関管理にも日本はルールがなく野放しです。

その実態を、昨年、川田龍平参議院議員が政府に出してくださった文部科学省の動物実験基本指針の運用に関する質問主意書から見てみましょう。

質問と政府の回答を並べたものをこちらのページに掲載していますからぜひお読みいただければですが、文部科学省が国際的に求められている水準のことを実に何もやっていないことが明らかです。

機関管理とは、動物実験を行いたい人たちによる自主管理。
つまり自由にやってくださいね!という体制に他なりません。

質問「一」について:動物実験基本指針の運用の詳細を定めた文書は存在するか?

環境省は、昨年やっと「実験動物」の飼養保管基準の解説書を新たにつくりました。以前から古い解説書はありましたが、これでやっと環境省の基準については、どのように運用すべきかの目安は更新されました。

しかし「動物実験」については、各省(文科省・厚労省・農水省)の指針には、運用の詳細をどうすべきかの文書は特につくられていません。

例えば、動物実験計画の審査は毎年計画書を出させるのか、3年に1度出せばよいのか、5年なのか、はたまた7年なのか(現実にそのような大学があります、意味なし)、各機関で都合よく決めて運用しています。せめてもう少し運用が統一されるように、基準を細かくするか何らかのQ&A文書を定めるか、もう少しましな運用をするべきだと思います。

が、回答は、日本学術会議の「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」(通称「詳細ガイドライン」)が存在するというものでした。

謎です。

この日本学術会議のガイドラインは「各大学が動物実験についての規程を作成するときの雛型として作成されたものであって、これを直接守れという国のガイドラインの位置づけではない」というのが編纂されたときの日本学術会議のスタンスでした。しかし、いつの間にか文部科学省は、これが国のガイドラインだという見解にすり替えているようです。(ガイドライン本文にも「各機関等では、本ガイドラインを基に、科学的に適正な動物実験が実施されるよう自主的に機関内の規程等を策定することを期待する」と書かれており、このガイドラインを遵守しろとは書かれていません。)

この日本学術会議のガイドラインができてからかなりの年月が経ちましたが、実際にはこのガイドラインを雛型として動物実験規程をつくった機関がどれほどあったというのでしょうか。実際にはもっと簡素な機関内規程ばかりです。

質問主意書でこのように書くのであれば、このガイドラインを直接守らせるようにするべきですし、それでも文科省の基本指針をどう遵守すればよいのかわからない部分はたくさんありますから、きちんと自ら見解を示すべきです。

質問「二」から「四」までについて:動物実験に変わる方法を動物実験委員会がきちんと求めるべきではないか?

文科省の回答は、「各研究機関等において適切に判断されるべきものと考えている」です。

つまり文科省は一切方針や目安は示さず、勝手にやってくださいねということです。

この「勝手にやってくださいね」が機関管理の本質であり、実験関係者が言う「2006年体制」の実態です。

質問「五」について:動物実験委員会委員に対する具体的な教育・訓練を国は行っているか?

行っていないと認めました。

もし、動物実験委員会に福祉に対して意識の高い人がいれば3Rの意図を汲んだ審査ができますが、はっきりいって力量はバラバラ。計画書審査の意図が動物福祉であるということが理解できていない動物実験委員会は未だに存在します。

国が委員に教育・訓練で何をするかを教えずにいて、3Rが担保されているなどと言えるはずがありません。

質問「六」と「九」について:動物実験の結果の報告では何を報告すればよいか示しているか? 委員会の委員長や委員が自分で提出している動物実験計画の審査や承認を自分で行ってはならないはずだが、国はどうしろと言っているのか?

これも、各研究機関等において適切に判断されるべきものという答弁。

「皆さん勝手にやってくださいね!」が国の方針です。

動物実験の機関管理(=実験している人たちによる自主管理)の実態はこの通り。

質問「七」について:共同研究や、動物実験を委託する際の審査のルールは?

各研究機関等において適切に判断されるべきものという答弁。

これも「勝手にやってくださいね!ルールは決めません!」です。

動物実験の機関管理(=自主管理)、勝手に都合よく、審査したりしなかったりできます。

質問「八」について:利益相反について実験計画時に情報提供させているか?

営利企業など、その動物実験の結果によって利益を得る者からお金をもらって研究すれば、当然、最初から望む結果を意図した実験を狙って計画を立てる可能性があります。

いわゆる「紐付き」研究です。そういう怪しい動物実験結果が世の中にはたくさんあり、社会を惑わせています。

不適切な実験で動物を犠牲にしたり苦しめたりすることは3Rの理念にもとるものですから、利益相反についても研究の入り口の段階で申告させ、考慮の上で審査するべきです。

当たり前のことですが、文部科学省は聞かれている意味がわからないと逃げています。

つまり、何も対策はとっていないということです。

質問「十」について:情報公開すべき内容について細かく指示するべきではないか?

機関によっては、例えば実際に使った動物の数がわからないように計算処理した数値(実体のない数字)を公表しています。

開示している項目もバラバラ。

一方諸外国では、統計を取るために、報告書の各欄に何を書くべきか、具体的に明文化しています。

日本の文部科学省は、これについても各研究機関等において適切に判断されるべきものという答弁。

つまり、「勝手に隠してもよいですよ」ということです。

こんな実態で情報公開を求めていると言えるのでしょうか?

質問「十一」について:指針を違反した者への処罰等はどうするべきなのか国は目安を示しているか?

これまでのケースでも、真面目に研究費返納まで対応する機関もあれば、結局どうなったのか回答すらもらえないケースまであります。

処罰がなく、調査や対応が緩い機関であれば、当然違反はもっと陰に隠されているだろうと思われます。

逆に厳しいケースでも、気に食わない奴だから処罰してやろうなどという恣意的な対応ができてしまう可能性もありますから、研究者自身にとってもルールは明確化されていた方がよいはずです。

ですが、これも、各研究機関等において適切に判断されるべきもの。

ここまでやる気がないのかと、失笑してしまいます。

これらが日本の動物実験の機関管理(=動物実験をやりたい人たちによる自主管理)の実態です。

全くの野放しであることがよくおわかりになるかと思います。

動物愛護法改正反対は、自分たちに都合のよい仕組みの中でぬくぬくとしていたい人たちが声を挙げているのです。

このような実態を憂慮する良心的な人たちも内部にいますが、あの手この手で圧殺されています。

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