発がん性物質を検出するための細胞試験として日本の経済産業省主導で開発された「Bhas 42細胞形質転換試験」(Bhasアッセイ)について、この1月8日、OECDからガイダンスドキュメントが出されました。
ガイダンスドキュメント(GD)は、試験結果が他の国においても適用されるテストガイドライン(TG)とは違い、国際的な影響力が小さくなりますが、OECDで公式に認められたということは一つの成果です。
残念ながらテストガイドライン(TG)にならなかった理由は、試験法のメカニズムについて専門家の疑問がクリアできなかったことが挙げられるそうですが、このことで今後の動物を用いない試験法の開発に影響が出るということはないそうなので、安心しました。日本では厚生労働省の行うリスク評価の中で活用実績のある試験法です。
●経済産業省関連の新規細胞試験~OECD受入れへ向けた現在の進行状況
- 皮膚感作性試験の代替法である「IL-8 Luc assay」
⇒テストガイドライン提案中
- 発生毒性試験の代替法である「Hand1-Luc EST 法」
⇒テストガイドライン提案準備中 今年の冬頃か?
- 内分泌かく乱物質に関する試験である「EcoScreen細胞を用いるARレポーター遺伝子アッセイ」
⇒今年4月にテストガイドライン化されるかも?
●経済産業省で進行中の新規試験法開発
- ナノ材料の安全・安心確保のための国際先導的安全性評価技術の開発
※完全に代替するわけではありませんが、苦痛の軽減・使用数の削減につながる評価法の構築がめざされています。 - ARCH-Tox:
①反復投与毒性試験と遺伝子発現変動による発がん性等発現可能性情報の取得手法の開発
②肝臓毒性、腎臓毒性及び神経毒性in vitro試験法の開発
※今年度までの5年間プロジェクト。昨年12月の日本動物実験代替法学会で5年間の報告シンポジウムが行われました。
①今後、in vitro試験以外に、短期試験から28日試験の結果を予測する、もしくは28日試験から長期試験の結果を予測する等を検討する可能性があるとのこと。
②今年度末までに試験法の手順書が取りまとめられる予定。次期についてもフォロアップを検討中であり、国際標準化へ向けたバリデーションを目指す。