【論説紹介】HSUS会長「動物福祉運動のこれまでとこれから」 

アメリカの大手動物福祉団体HSUS(Humane Society of the United States)の会長による論考の日本語訳が昨年夏「フォーリン・アフェアーズ・リポート」誌で公表されていました。(ここでは「アメリカ動物愛護協会」と訳されていますが、「アメリカ人道協会」と訳されている団体と同じです)

ある程度分量があり、動物福祉の運動論を知るためだけでなく、アメリカの動物福祉運動の歴史を知るにもよい資料でしたので、ご紹介します。

日本では「イルカばかり」などといった誤解(もしくは意図的に誤解させる論説)が蔓延していますが、畜産動物や実験動物、闘犬、毛皮等々、動物を利用する産業はおしなべてこの運動のターゲットとなてきており、大きな変化が求められてきたことがわかります。

そして、動物福祉の運動が法規制とも相まって成功を収めるにつれ、動物を扱う業界が「ちゃんとやっている」ということをメッセージとして使いはじめたということも書かれていました。

それでもなおかつ、私たちは苦痛に満ちた動物利用の現実から目をそらすことはできません。この運動にシンプルな方法論はないが、複数のルートを通じた同時多発的な活動が進歩をもたらすことが多いとありました。

最終章「真実に目を向けよ」の一部を下記のサイトで読むことができます。

道徳意識と技術的・社会的イノベーションを組み合わせれば、日常的に行われている動物虐待をいつかなくせるはずだ。そして、それが実現したとき、なぜこんな当たり前のことを実現するのに大騒ぎして時間がかかったのかと、われわれは首をかしげるに違いない。
―「人間は動物を愛し、そして殺している―― 動物福祉運動のこれまでとこれから」(ウェイン・パセル)より

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