動物用ワクチンの国家検定などで犠牲になる動物の数、10年間の推移~新たな制度で動物の犠牲が減りました

農林水産省所管の研究機関である動物医薬品検査所が、年間の動物の使用数の公表を始めたのは、ようやく2016年になってからでした。

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2回目の改正動物愛護法の施行があった2006年、国や動物実験関係者が動物実験の機関管理(自主管理)をすると主張しましたが、それから10年間、農水省は関係機関に動物実験基本指針を守らせていなかったのです。

このとき、2012年分以降の過去のデータもまとめて公表されたので、最新の2021年のデータの公表により、10年分が累積したことになります。その推移をグラフにしてみました。(「動物実験等に関する情報」のページで公表されてきたデータ10年分をもとにしていますが、現在は過去4年分しか公開されていません)

使用数が減っている理由~新たな制度の導入で減った動物の犠牲

動物医薬品検査所は、動物用ワクチンの国家検定を行う機関でもあり、近年の動物実験の主な内容には動物用医薬品の検定」と「中和抗体の作成」の2つが掲げられています。

マウスの使用数が特に2020年から減っているように見えるので、ワクチンに関する何らかの改訂が影響しているのではないかと思い、問い合わせたところ、次のような回答がありました。
動物用生物学的製剤(ワクチンなど)について、同一製造番号ごとに製造工程全体に渡る記録等を要約した書類で書面審査を行う制度が導入されたことにより、動物実験自体が減っていました!
令和元年に公布及び施行された動物用医薬品等取締規則及び動物用医薬品の製造管理及び品質管理に関する省令の一部を改正する省令等により、動物用医薬品の検定に製造・試験記録等要約書の書面審査を行う制度が導入され、それに伴いマウスを使った試験が不要とされたためです。
動物の犠牲が減る方向で合理化されたことを、動物倫理の観点から歓迎します。これからもなお一層、犠牲をなくすことに取り組んでいただきたいです。
ちなみに、2016年分までは鶏卵の使用数も公表されていましたが、現在は公表されていません。これについては、下記のような回答がありました。

平成29年に環境省が公表した「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準の解説」において、孵化前の発育鶏卵は動物個体ではなく、実験動物に該当しないとの見解が示されたことを踏まえ、平成29年度より公表しないこととしました。

生体の使用数

上記グラフは主な4種についてのみです。ほかに、以下のような動物が使われています。

2012
(H24)
2013
(H25)
2014
(H26)
2015
(H27)
2016
(H28)
2017
(H29)
2018
(H30)
2019
(R1)
2020
(R2)
2021
(R3)
マウス6,7297,8256,6746,1536,0715,54960706,5664,4404134
モルモット759557591663807880636399430248
ラット2501702317413299121714764
ハムスター11454453455858508118
ウサギ602880969793911109771
30202,2612091147716781,72916341038940438
ウシ14122416292315094
ブタ515070617010391875834

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