先月12月23日、釣り用品のマルキュー株式会社に消費者庁から措置命令が出ました。対象になったのは、釣り用の疑似餌31品目です。
消費者庁から公表された文書には、こうありました。
消費者庁はマルキユーに対し、期間を定めて、この表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めました。しかし、マルキユーが提出した資料はいずれも、生分解性表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないものだったそうです。
ひどい話です。
報道では、生ゴミを高発酵させる産業用コンポストなど特殊な環境での実験結果だったため、「合理的根拠が認められない」と判断されたとありました。
生分解性と言うときの「分解」とは、形状が細かくここなごなになることを意味しているわけではありません。分子レベルでの結合が切り離されて、複数の別の物質に分かれることを言います。表示通りなら、二酸化炭素と水になるはずですが、実際はどうなのか。
そもそもサイトにも、対象商品が何からできているのか書かれていません。天然原料とあるのは旨味成分のことと思われますし、水溶性ポリマーが何を指すのか書かれていません。水溶性ポリマーは、必ずしも生分解性は有しません。
分解されない海ゴミは、海の生きものたちを傷つけ、死に追いやるばかりでなく、細かく砕かれて海を汚染しています。
少しでも環境に良いものをと選ぶ消費者を騙すことはもちろんよくないですが、海の生きものや環境への裏切り行為だと思います。
措置命令では、表示を速やかに取りやめることが命じられていますから、指導だけでは表示を変えなかったのでしょう。行政は基本的には指導を繰り返しますから、措置命令が出るというのは、よほどのことです。悪質な印象を持ちました。
このとき、同時に多数の企業が措置命令を受けたことは報道されていたのですが、釣り用の疑似餌も含まれていたことはあまり目立っていませんでした。ストローやカップが不当表示であることももちろん問題ですが、それでもまだ、意図的に環境中(海中)に投げ込むことを伴う製品ではない分、悪質性において若干マシに感じます。
販売するプラスチック製品があたかも使い捨てられても土にかえるかのような、実際とは異なる表示をしたとして、消費者庁は23…
直接生きものの命を奪う趣味には衰退していってほしいということがそもそもありますが、せめて短期間で分解される素材で行ってほしいというところまで不当表示商品を売って商売のネタにするなんて、この業界にもっと厳しい目を向けていく必要があるのではないでしょうか。
対象商品
- 「パワーイソメ(中)」と称する疑似餌
- 「パワーイソメ(太)」」と称する疑似餌
- 「パワーイソメ(極太)」と称する疑似餌
- 「パワーイソメ ソフト(中)」と称する疑似餌
- 「パワーミニイソメ(中)」と称する疑似餌
- 「パワーミニイソメ(太)」と称する疑似餌
- 「パワーミニイソメ(極太)」と称する疑似餌
- 「パワークラブ(M)」と称する疑似餌
- 「パワークラブ(L)」と称する疑似餌
- 「ハイパー紅雪」と称する疑似餌
- 「エコギア熟成アクア バグアンツ3.3インチ」と称する疑似餌
- 「エコギア熟成アクア バグアンツ2インチ」と称する疑似餌
- 「エコギア熟成アクア ミルフル3.3インチ」と称する疑似餌
- 「エコギア熟成アクア スイムシュリンプ4インチ」と称する疑似餌
- 「エコギア熟成アクア リングマックス3.8インチ」と称する疑似餌
- 「エコギア熟成アクア リングマックス3インチ」と称する疑似餌
- 「エコギア熟成アクア 活アジコムシ1.7インチ(大盛)」と称する疑似餌
- 「エコギア熟成アクア 活アジコムシ1.7インチ」と称する疑似餌
- 「エコギア熟成アクア 活アジストレート3.2インチ(大盛)」と称する疑似
- 「エコギア熟成アクア 活アジストレート3.2インチ」と称する疑似餌
- 「エコギア熟成アクア 活アジストレート2.3インチ(大盛)」と称する疑似
- 「エコギア熟成アクア 活アジストレート2.3インチ」と称する疑似餌
- 「エコギア熟成アクア 活メバルミノー1.6インチ(大盛)」と称する疑似餌
- 「エコギア熟成アクア 活メバルSTグラブ2インチ」と称する疑似餌
- 「エコギア熟成アクア 活メバルSTグラブ2インチ(大盛)」と称する疑似餌
- 「エコギア熟成アクア 活メバルシラス2インチ(大盛)」と称する疑似餌
- 「エコギア熟成アクア ロッククロー2.5インチ」と称する疑似餌
- 「エコギア熟成アクア スーパーどじょうS」と称する疑似餌
- 「エコギア熟成アクア スーパーどじょうM」と称する疑似餌
- 「熟成タイラバアクア クワセカーリースリム(増量)」と称する疑似餌
- 「熟成タイラバアクア クワセフラップスリム(増量)」と称する疑似餌
去年12月、消費者庁が釣り用品のマルキュー株式会社に対し、疑似餌の生分解性の表示が景品表示法に違反しているとして措置命令を出していましたが、その後も問題は続いていたようです。今年10月5日、去年措置命令の対象となった商品のうち4商品[…]
横須賀市内の護岸で鳩の足に釣り糸が絡まる被害が続いています。詳細は下記の記事をご覧ください。このページは、ゴミがどれだけコンスタントに出ているか、写真の記録をアップしていきます。[sitecard subtitle=関連記事 url[…]