中国が「野味」根絶を決定! 食用を目的とする野生動物の捕獲・取引・輸送も禁止された ※2022改正について追記

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受け、中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)の常務委員会が、24日、食用を目的とする野生動物の捕獲・取引・輸送の禁止や、野生動物を食べる習慣の根絶などを定める決定を採択しました。

中国では、1月に既に野生生物取引の一時的禁止が公表されていましたが、今回の決定は、即時かつ恒久的なものです。長らく批判に晒されてきた中国の野生動物の消費について、一気に措置が進んだことに驚きを禁じえません。

科学研究、薬用、展示など食用以外については禁止ではなく厳格化にとどまっていますし、食用禁止の実効性についても疑問があることは間違いありませんが、それでもこの決定を歓迎します。

内容については、中国の国営通信社である新華社通信が公表した決定の内容の翻訳を以下に掲載します。この決定は法的効力を持つものです。

魚類など水生の野生動物や、家畜として定められている動物種(ハト、ウサギなどを含む)については適用されず、他の法律が扱います。

新華社通信記者との一問一答を見ると、これまで、野生生物保護法が守る希少種以外の動物については扱いがはっきりしなかったが、そのことはシステムの欠陥であり抜け道であったと全人代側は認めており、野生動物を食べる問題を解決するためには、法律に従って厳しく取り締まるだけでなく、あらゆる側面から取り組まなければならないとしています。

今後、野生生物保護法と動物疫病防止法の改正も行うとしており、バイオセーフティ法の草案についても検討を進め、その他の関連法についても見直しを行うそうです。

中国の規制は朝令暮改なところがありますし、計画通り進むのか懸念はありますが、一時的な盛り上がりでなく、ぜひ着実に遂行してほしいところです。

採択された決定の内容

全国人民代表大会常務委員会が違法野生動物の取引を全面的に禁止し、
野生動物食用の悪習を根絶し、
人民大衆の生命の健康と安全を着実に保証することについての決定
(2020年2月24日 第十三期全国人民代表大会 常務委員会第十六回会議にて採択)

新華社北京 2月24日

違法な野生動物の取引行為を全面的に禁止し、野生動物食用の悪習を根絶し、生態環境の保護、生態安全の維持を助長し、公衆衛生上の重大なリスクを効果的に防止し、人民の生命・健康・安全を適切に保障し、生態文明〔エコ文明〕建設を強化し、人と自然の調和·共生を促進するため、全国人民代表大会常務委員会は以下の決定を下した。

一、「中華人民共和国野生動物保護法」及びその他の関連法により野生動物の捕獲・取引・輸送・食用が禁じられている場合、厳格に禁止する。

前項の規定に違反した行為については、現行法の規定を踏まえた上で処罰を重くする。

二、国が保護する「重要な生態・科学・社会的価値のある陸生野生動物」及びその他の陸生野生動物(人工繁殖、人工飼育の陸生野生動物を含む)の食用を全面的に禁止する。

野外環境で自然に成長・繁殖する陸生野生動物の、食用を目的とする捕獲・取引・輸送を全面的に禁止する。

前二項の規定に違反した行為については、現行法の関連規定を参照し処罰を行う。

三、家畜遺伝資源目録に記載された動物は家畜家禽に該当し、「中華人民共和国牧畜法」の規定を適用する。

国務院牧畜獣医行政主管部門は法に基づき家畜遺伝資源目録を制定し、公布する。

四、科学研究、薬用、展示などの特殊な情況により野生動物を食用目的以外で利用する場合、国の関連規定に基づき厳格な審査・批准及び検査・検疫を行わなければならない。

国務院及びその関連主管部門は、野生動物の食用目的以外の利用に関する審査・批准及び検査・検疫などの規定を直ちに制定・改善し、厳格に執行する。

五、各級人民政府と人民団体、社会組織、学校、ニュースメディアなど社会の各方面、 生態環境保護と公衆衛生安全の宣伝教育と指導を積極的に展開すべきであり、全社会の構成員は生態保護と公衆衛生安全意識を自覚的に強め、よくない風俗習慣を変え、野生動物を乱食する悪習を根絶し、科学的、健康的、文明的な生活様式を育成する。

六、各級人民政府及びその関連部門に次の取り組みを求めた。法執行管理体制を健全にし、法執行責任者を明らかにし、法執行管理責任を徹底する。協調・協力を強化し、監督検査及び責任追及を強化し、同決定及び関連法・規定の違反行為を厳しく処罰する。違法経営場所及び違法経営者に対しては、法に基づき取り締まるか差し押さえ・閉鎖を行う。

七、国務院およびその関連部門と省・自治区・直轄市は、同決定及び関連法に基づき関連リスト及び関連規定を制定・調整する。

国務院及び地方人民政府は必要な措置を講じ、同決定の実施に相応の保障を提供する。関係地方人民政府は影響を受ける農家の調整を支援し、指導し、生産経営活動を転換し、実情に応じて一定の補償を与える。

八、同決定は公布日より施行する。


出典:新华网:全国人民代表大会常务委员会关于全面禁止非法野生动物交易、革除滥食野生动物陋习、切实保障人民群众生命健康安全的决定

他に、新華社通信の質問に答える形式の質疑応答も公開されている。

新华网:全面禁止非法野生动物交易 革除滥食野生动物陋习——全国人大常委会法工委有关部门负责人答记者问

追記1

3月5日、ワシントン条約(CITES)事務局からも、締約国へ向けて、中国のこの新しい野生動物取引規制を知らせるための通達が出されました。中国政府の要請によるものです。

追記2 せっかくの規制が緩和へ?

2022年12月、中国がこの規制を緩めているようだという報道がありました。最近の改正の影響が懸念されており、野生生物を食料として消費することはグレーゾーンにあり、現在の規制は十分に明確ではないことを当局は認めていると報じられています。

the Guardian

Post-pandemic relaxation of restrictions could weaken animal…

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