東京都が「象牙取引規制に関する有識者会議」を立ち上げ。5月に取りまとめ予定

Albrecht FietzによるPixabayからの画像

今年はオリンピック・パラリンピックによって多くの外国人観光客の来日が見込まれています。日本国内では象牙の市場封鎖がなされておらず、誰でも象牙製品を購入できてしまうため、外国人が日本国内で象牙製品を購入して国外に持ち出してしまう可能性が指摘されています。

(国外持ち出しにはワシントン条約上の規制がありますが、「税関に黙って隠して持ち出せばよい」などと言って売られている実態がナショナルジオグラフィックなどで報告されています。規制の詳細は、経済産業省が販売事業者に対して出している要請文を参照。)

象牙については中国が2017年末日をもって市場封鎖措置をとるなど、各国で取引規制が強まる方向にあり、日本に対して国内取引禁止を求める国際世論は高まる一方ですが、国(環境省)には全くやる気は感じられません。今の緩い登録制度で国内流通が適正化されている(密輸はなく、アフリカゾウの密猟に日本の市場は寄与していない)というのが国の公式見解になっています。

期待がもてない状況が続いていましたが、なんと東京都が「象牙取引に関する国際的な関心の高まりを受け、国際都市である東京がなすべき対策の検討を行うため」として、「象牙取引規制に関する有識者会議」を立ち上げ、規制について検討を始めることになりました!

どのような結果になるか、現状、全くわかりませんが、少なくとも委員の構成を見る限り、国よりは期待ができそうです。

第1回がネット中継されました

1月28日に第1回が開催されたので、インターネット中継で視聴しました。まだ委員の顔合わせ的な内容で、短い会議でしたが、立場表明とも言える自己紹介が一通りありました。環境省の種の保存法関係の専門家の委員会は、保護団体の活動を敵視する発言が幅を利かせていて、とても偏っていますが、あのような空気を打ち破るためにも、ぜひ東京都から新しい風を起こしてほしいと感じられる内容でした。

ただ、取引全面禁止までを求める勢いは感じられないようにも思いましたが、規制に反対の委員が随分と機嫌が悪そうでしたので、何らかは期待できるのか?と思ったりもしました。

もちろん、まだ議論は白紙だということは何度か強調されていました。

取りまとめは5月。ぜひ都に意見を!

5月には検討内容の取りまとめをするそうです。 ※追記:取りまとめ時期が延期されています。詳しくはこちら

都内で象牙製品や象牙材料の販売を禁止とするよう、意見を送りましょう。アフリカゾウが絶滅しようとしているときにいつまで象牙を売ることを許すのか、日本人として恥ずかしい、動物愛護にも関心が高い元環境大臣の小池都知事に期待する等、ぜひご意見お送りください。

第1回では、「需要がある」と発言していた委員もいましたが、象牙はもはや古臭い商材であり、販売されなくなれば需要も減るのではないでしょうか。

そもそも日本政府は公式見解として、近年象牙が大規模に日本へ密輸入されていることはないと否定し続けているのですから、それがもし本当なら、既に現在でも国内に言うほど大した需要はない、需要は下火になったと認めるべきだと思います。(もし強い需要があるというなら、当然密輸はあるし、なおさら取引禁止をしないといけないわけですが)

日本では三味線のバチなど伝統芸能での利用がどうしても障壁になり続けていますが、であれば売ってよい物品を限定したうえで、買うことができる人間についても厳しく制限してはどうかとも思います。かなり妥協の提案ですが、猟銃と同じように、身元が確かで、本当に技能がある人間だけが買えるようにすれば、観光で来日した外国人がふらっと購入することはできません。

外国人が安易に買って国外に持ち出せば犯罪になってしまいます。そして水際で見つかれば、日本が象牙違法輸出のハブになっている国として、また恥ずかしい報道がなされます。

もちろん伝統芸能においても代替品への転換と全面取引禁止を求める立場ですが、東京都で少しでも事態が動くことが今後の日本にとって重要です。

象牙が古臭い素材となり忘れ去られるよう、取引禁止の意見をぜひお送りください。

どうぞよろしくお願いします。

意見送付先

メール➡「都民の声総合窓口」のメールフォームから

手紙の場合
〒163-8001 東京都庁「都民の声総合窓口」宛て(住所は不要です。)
要望書以外の資料等(CD-RやUSBメモリ等の記憶媒体等)は情報セキュリティ対策のため受付しないそうです。

ファクスの場合
03-5388-1233 東京都庁「都民の声総合窓口」宛て

参考

書籍では、『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』(三浦英之著 小学館)が必読です。

経済産業省から販売事業者への要請文

象牙及び象牙製品の販売事業者様

ワシントン条約によって国際取引が規制されている象牙製品等の販売時の対応について(要請)

平成30年3月
経済産業省貿易経済協力局
貿易管理部野生動植物貿易審査室

象牙及び象牙製品は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(以下、「ワシントン条約」という。)の附属書I掲載種であり、商業目的での輸出入が原則として禁止されています。例外として条約適用前に取得した象牙及び象牙製品は輸出入を行うことは可能ですが、下記のとおり条約適用前に取得したことを証明する書類等が必要であるとともに、事前に輸出入国における許可書発行が必要となります。

しかしながら、象牙及び象牙製品を適切な手続きを取らずに日本から持ち出そうとして国内で摘発される事案や、日本から持ち出して海外で摘発される事案が発生しています。

当省としましては、ワシントン条約上の義務を着実に履行する観点から、象牙及び象牙製品の違法輸出を防ぐため、象牙及び象牙製品の販売にあたっては、以下のご対応をお願いいたします。

1.条約適用前※に取得したことを 証明する書類 等がない象牙及び象牙製品については、海外への持ち出しができないことを顧客に伝えてください。特に、 訪日観光客はこのような書類等が ない象牙及び象牙製品であっても海外に持ち出す可能性が高く、この場合、顧客が 外国為替及び外国貿易法及び関税法違反となり罰せられることになりますので、当該製品の販売を自粛するなど、十分に注意してください。
※アジアゾウは1975年6月30日以前、アフリカゾウは1976年2月25日以前に取得したものが条約適用前となります。

2.条約適用前に取得したことを 証明する書類 がある 象牙及び象牙製品については、事前に経済産業省に輸出承認申請を行った上で、承認書が交付された後に海外の持ち出しが可能になること、当該手続きを経ずに持ち出すことは外国為替及び外国貿易法及び関税法違反となり罰せられることを顧客に伝えてください。

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