鹿児島県内で「ノネコ」として捕獲されている猫の数について、関連する統計や公表数が毎年合わないことについて、こちらの記事に詳細を載せていましたが、この5月23日、ようやく環境省の沖縄奄美自然環境事務所野生生物課から回答がありました。
平成30年度から令和2年度までの3年分について、鳥獣関係統計の修正を鹿児島県と行ったとのことです。
環境省は随分前に平成30年度の統計の誤りを認めていたのに、長期間なかなかウェブサイトのエクセルデータが修正されないので、結局、猫をどれだけ環境から取り除いたかなど、正しく報告することに関心はないように思われました。
例えば、平成30年度の環境省許可による捕獲は3匹が正しかったのですが、ずっと捕獲ゼロのままとなっていますし、鹿児島県の許可で捕獲された数も実際には104匹だったのに、ずっと40匹で報告していました。数が少ない方が都合がいいのだろうと思ってしまいますが、当会が「統計すらまともに取れないのに、ノネコ管理計画が適切に運用されているとは到底思えません」と意見し、修正を督促したことで、ようやく修正に至りました。ずいぶん時間が経ちましたが。
修正されたのは、平成30年度から令和2年度までの「都道府県知事の捕獲許可による捕獲鳥獣数(6)鳥獣による生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害の防止」のファイルで、実際には、平成31年度版の「 環境大臣の鳥獣捕獲許可による捕獲鳥獣数(7)鳥獣による生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害の防止」のファイルも修正が必要ですが、これについてはまだ修正されていないので、再度修正の督促をします。
統計を間違い続けている原因として、もしかして、実際には「ノネコ」としてではなく、野良猫として猫を捕獲しているのではないか?と疑ってしまう節もあり、それが毎年統計を間違う原因ではないのかということも質問しましたが、間違える原因ついては回答はなく、「今後、誤りのないよう努めて参ります」とだけメールにありました。
修正の経緯はこちらのページの表に残しておきますが、自治体からの公表と整合性のある、最終的に修正された統計は下記の通りです。
計画の進んだ現在では、もはや市街地の近くで猫が捕獲されていることは間違いないのではないかと思われる状況ですが(ノイヌ・ノネコPTでの保護団体の報告などによる。極めつけは、TBSが「2018年からは野外にいるネコを減らすために、森林や市街地に捕獲器を設置」と報道 1)、多くの人が当初ノネコが捕獲されている場所だと思い込んでいた国立公園内では、実際にはほとんど捕獲されていないことを理解していただくために、この表を公開しています。
ノネコ計画には、どこから得たどのような許可で捕獲するのかということすら載っていませんし、どこで猫を捕獲したかは秘匿情報とされていますが、せめて、きちんと許可ごとの捕獲数を報告するべきではないでしょうか。
環境省の鳥獣関係統計が修正された後のノネコ捕獲数
年度 | 鳥獣関係統計 | 奄美市からの公表 | |
環境省の捕獲許可での 鹿児島県内捕獲数 〔国立公園内〕 | 鹿児島県の許可での捕獲 〔国立公園外〕 ( )内の内訳は奄美市公表との差や問い合わせ結果に基づく | 奄美ノネコ計画の捕獲数 | |
平成30年度 (2018年度) | 3 | 104 (奄美40 徳之島64) | 43 |
平成31・令和元年度 (2019年度) | 3 | 195 (奄美122 徳之島73) | 125 |
令和2年度 (2020年度) | 0 | 96 (奄美27、徳之島69) | 27 |
令和3年度 (2021年度) | 未公表 | 未公表 (徳之島は81) | 124 |
令和4年度 (2022年度) | 未公表 | 未公表 (徳之島は63) | 101 |
令和5年度 (2023年度) | 未公表 | 未公表 (徳之島不明) | 161 |
1 TBS NEWS DIG「【猫の日】奄美大島で猫の交通事故が8割も減少した数々の施策と、切実な背景」2025年2月22日
昨年は「ノネコ」と称し、明らかに人里で暮らす所有者不明の猫(いわゆる野良猫)を殺害して食べ、その動画をYouTubeにアップするような猟奇的な事件が起こり、「ノネコと言えば食べていいのか」と批判的な世論が沸き起こるなど、「ノイヌ・ノネコ」の[…]