株式会社ノースペット製ペットフードのサルモネラ汚染について(続き)

株式会社ノースペットが製造し、生活クラブ生協が販売した犬猫用おやつで、計68匹の犬猫が健康被害を受け、うち15匹もの犬が死亡した事件ですが、こちらの記事への追記が長くなりそうだったので、その後の動きについて記事を分けました。

この件を受けて、農林水産省が「ペットフードの病原微生物汚染防止対策の徹底について」という通知を7月12日付けで出していたことを教えていただきました。

この通知は、ペットフード協会、日本ペット用品工業会、全国ペットフード・用品卸商協会の三団体に対して出されており、環境省動物愛護管理室にも発出が知らされているため、環境省から動物関連14団体(獣医師会等)にも事務連絡として送られています。

恐ろしいのは、農水省から直接通知されている業界団体3団体が沈黙していることです。製造元であるノースペットがペットフード協会の会員ではないのか?と思いきや、農水省に確認したところ、会員だそうです(サイトにも載っています)。ペットフード協会の業界組織率は80%程度とのことで、動物愛護法改正などにも関係者が力を及ぼしてきますし、ペット関連ではとても大きな業界団体です。

ノースペットは、9月18日に「弊社製品に関するお詫びとご報告」という文書を公表し、工場は商品の製造、出荷を停止、ツイッター公式アカウントも閉鎖されています。

これを受けて、別の生協であるパルシステムもノースペット製品回収の案内を出しました。

しかし、業界団体は沈黙。国が回収命令を出していないせいもあるかもしれないですが、こんなに業界は静かなんだ…という印象はぬぐえません。

以前獣医学会で公表された調査で、サルモネラ汚染されていたペットフードの銘柄が伏せられていましたが、商品名を聞き取っていないのか農水省に確認したところ、教えてもらえなかったとのことでした。公開を目的とした研究ではないので秘匿はやむを得ないのかもしれませんが、であれば業界団体が調査を行うなど対策をとらないと不安が広がります。

農林水産省通知:ペットフードの病原微生物汚染防止対策の徹底について

元消安第1178号
令和元年7月12日

一般社団法人ペットフード協会会長        ˥
一般社団法人日本ペット用品工業会会長      | 殿
一般社団法人全国ペットフード・用品卸商協会会長 ˩

農林水産省消費・安全局
畜水産安全管理課長

ペットフードの病原微生物汚染防止対策の徹底について

 ペットフードの病原微生物汚染防止対策については、昨年9月に第161回日本獣医学会学術集会でイヌ用トリーツからサルモネラが検出された旨の発表があったことを受け、「ペットフードからのサルモネラの検出について(注意喚起)」(平成30年9月12日付け30消安第3086号農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課長通知)を発出し、ペットフードの製造及び取扱いにおける衛生管理の徹底についてお願いしたところです。

今般、ペットフード製造業者及び販売業者より、製造販売したペットフード(素材乾燥タイプの鶏ささみジャーキー製品)からサルモネラが検出されたため、自主回収を実施した旨の報告がありました。また、因果関係は不明であるものの、当該製品を給餌された犬猫複数頭が嘔吐、下痢、血便、死亡等の症状を呈した旨の報告がありました。当該製品にサルモネラが付着していた原因としては、
① 加熱乾燥が十分ではなく、原料に付着していたサルモネラが生存した可能性
② 原料解凍機等の洗浄消毒が不十分であった可能性
③ 加熱乾燥後に衛生的な取り扱いがなされていなかった可能性
が考えられます。

なお、農林水産省では、昨年9月にペットフードからサルモネラが検出された旨の発表があった後、市販のジャーキー製品(成形ジャーキー、素材乾燥ジャーキー)のサルモネラ汚染の実態調査を実施しましたが、その調査でも100製品中、素材乾燥タイプの4製品からサルモネラが確認されているところです。

つきましては、病原微生物によるペットフードの汚染を防止する観点から、貴会会員に対し、下記について改めて周知をお願いします。

1 愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(平成20年6月18日法律第83号)第5条第1項に基づく、愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令(平成21年4月28日農林水産省令・環境省令第1号)別表の2の販売用愛玩動物用飼料の製造の方法の基準を遵守すること。

2 ペットフードの製造にあたっては、ペットフードの適正製造マニュアル(平成26年8月25日付け26消安第2564号農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課長通知)を参考に、特に次の点に留意すること。
① 原材料の保管にあたっては、微生物の増殖を防止するため、温度管理等に注意すること。
② 解凍機や洗浄機等の機械や器具の洗浄・消毒、温度計等の保守点検等が適切に行われていることを確認すること。
③ 加熱又は乾燥工程を経て製造される製品については、製品を対象とした微生物検査等により、加熱・乾燥・冷却条件(温度、時間等)等が適切に設定されていることを確認すること。
④ 素材乾燥タイプのジャーキー製品については、製造工程において病原微生物が死滅していない事例が報告されていることから特に注意が必要と認識し、病原微生物が生残しない十分な加熱乾燥を行うこと。
⑤ 加熱乾燥後の製品に未加熱の原材料や中間製品が混入することのないよう製造工程の区分管理を適切に行うこと、加熱乾燥後の製品に虫やねずみが接触することのないよう、製造、保管エリアの防虫・防そに努めること等により、加熱乾燥後の製品を衛生的に取り扱うこと。

3 サルモネラ等の病原微生物が検出されたペットフードに起因すると考えられる犬又は猫の健康被害を確認した場合は、当課へ速やかに連絡すること。

ノースペットお詫び2回目

2019年9月18日

お客様各位

株式会社ノースペット 弊社製品に関するお詫びとご報告

この度は弊社製品をご愛用いただいている皆様に多大なご心痛とご迷惑をおかけしており、洵に申し訳ございません。弊社が製造いたしました生活クラブ事業連合生活協同組合連合会向けのササミ姿干し製品においてサルモネラ菌O7群が検出され、死亡事例を含む甚大な健康被害が発生いたしました。また、9月3日に弊社ホームページ上で発表いたしました通り、市場には流通しておりませんが、ビーフ干し肉製品につきましてもサルモネラ菌が検出されました。これらの製品につきましては、製造・販売中止、流通在庫の回収・廃棄処分を実施しております。 改めて、衷心よりお詫び申し上げます。

弊社では、この度の一連の問題を重く受け止め、現在、全製品の製造・出荷を停止しております。お手元の弊社製品につきましても返品をお受けさせていただきたく、弊社製品をお持ちのお客様は、大変お手数をおかけいたしますが、下記お問合わせ先までご連絡いただきますようお願い申し上げます。

お問合せ先:株式会社ノースペット
お客様相談室 フリーダイヤル :0120-966-089 受付時間:午前9:00~午後6:00 (土・日・祝日除く)
※お客様よりいただく個人情報につきましては、本件目的以外には一切使用致しません。

お客様には多大なご心痛とご迷惑をおかけいたしましたこと重ねてお詫び申し上げます。

以 上

パルシステムの回収について

商品   商品名に「Link Ring」・「TOPDOG」・「TOPCAT」が付く以下19商品(※)
カタログ LinkRingLove(オプションカタログ)/インターネットショップ
お届け日 2018年1月1回~2019年8月4回(配達日2018年1月8日(月)~2019年8月30日(金))
供給数  計42,593点(注文者数 7,769名)

商品リストや問い合わせ先はリンク先を参照。

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