種の保存法改正:動植物園等の公的機能推進方策のあり方の回終了

8月3日に開かれた「第3回絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律あり方検討会」で、いよいよ動植物園等の公的機能推進方策のあり方についてが議題になりました。

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また、当日傍聴をしながらのTwitter投稿はこちらです。

当日は、3年間開催されてきた「動植物園等公的機能推進方策のあり方検討会」の報告書が資料として配布され、環境省から検討の経緯等の説明がありました。認定動植物園等についての制度設計案として、具体的なものが追加で提示されることはなく、まだこれからという状況に変わりはありませんでした。

専門家ヒアリングは、元上野動物園園長・小宮輝之氏で、かつてのトキの繁殖研究に始まり、国内希少種の飼育下繁殖の歴史などについて話がありました。(Twitterでは「ライオンなど海外から動物をもらったときのお礼としてツルとオオサンショウウオがいいと言われた。繁殖をした理由のひとつ…」とあるあたりから小宮氏の話です)

「域外保全は、域内保全に関わっていて初めて胸をはって域外保全と言える。展示動物をふやしているだけではだめ」といった主旨の話があったのは、少しほっとしました。

委員からの質問・意見交換の時間には、旭川市旭山動物園元園長・小菅正夫氏から、なぜ新しい業法(動物園法)をつくらないのかという質問がありましたが、環境省は、すでにかなりの数が運営されており、動物園と名乗るためには環境省の認可が要るというのは(事業者側も)望んでいる方向ではない、種の保存をやるところ、すなわち希少種の域外保全と環境教育を支援していく方向になったと回答がありました。

そのほか、CITESでも希少種を劣悪飼育するロードサイドズーの問題や娯楽利用について問題になる、動物福祉についても気になる等の意見もありました。

繁殖した余剰動物を小学校等で飼育してもらえばいいのではないかという恐ろしい意見もありましたが、発言は魚の専門家だったので、少々意識が違うのでしょうか。ウサギもまともに飼えないのに、希少種など学校で飼育できるはずがありません。これに対しては、余剰動物という考え方がおかしい、域内保全(野生復帰させて生息数をふやす)に生かすべきだとの強い意見があったので、まさかまともに検討されるとは思いませんが……。環境省は、今でも展示には使えるが、社会的合意が必要だ等、回答していました。

また、種の保存法上の取引規制について、個体の登録だけではなく、業者の登録も必要ではないかという意見が出ていますが、それに対する環境省の見解は、「種の保存法違反で動物取扱業の取消し等できるので、それによってほぼカバーできていると考える」とのことでした。種の保存法では両生類・魚類もあり、動物取扱業はこれらの種をカバーしていませんが、「両生類は指定種が少ないから」とのこと。ここで動愛法とリンクしているというなら、整合性をとるために第一種動物取扱業の範囲を両生類・魚類についても拡大してほしいと思います。

今回の種の保存法見直しにおいては、交雑種の扱いについてどうするかということが検討課題になっており、それに関連する調査資料も配布されました。ハヤブサで競技用に意図的に交雑させていることなどについて言及されています。

オランウータンの子どもをインドネシアから連れてきて写真撮影に使う。ワシントン条約上の移動展示の許可を利用するという「裏技」を使って、未だにこんなことが行われている。 2015年11月、群馬サファリパーク
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