胚の段階から細胞を導入して人と動物のキメラをつくり誕生させるかどうかについて、文部科学省の作業部会の議論が第3回まで進みました。傍聴はしているのですが、作業部会での議論は、研究の状況など、科学的な話題に限定されているので、社会的・倫理的な話は出てきません。
第1回では、異種キメラの作成は発生サイクルが似た種同士でないと成功しない可能性があること、げっ歯類以外の種からキメラ形成能が高いナイーブ型のES細胞やiPS細胞はできていないことなどが話題提供されました。「やってみても成功しないのでは?」との印象を持ちましたが、わからないからこそ逆にやる意義があると考えられてしまうようです。
第2回は、霊長類についてなどでした。霊長類で遺伝子操作を行っている研究者は、サルで動物性集合胚の研究をする意味はないと思うと、はっきり言っていました。ブタは人と体の大きさが近いので、臓器作成を目標とした場合には意義があるだろうけれども、サルでは研究する理由はないとのことです。
ただし、サル×ブタの研究は必要と言っていたのは気になります。脳については、大脳皮質に影響がなければ、脳のヒト化は心配しなくてよいと言っていましたが、これも疑問に思いました。
第3回は、多能性幹細胞研究の現状の俯瞰図的な話です。目的に疾患モデル動物作成を入れようとしていること、また座長がスケジュールについて区切りをつけるような発言をしたことが気になりました。
今後のスケジュールについては、まだ表向き出せるような目途はたっていないようですが、これから親委員会に議論が戻ると、社会的・倫理的な問題についても議論がされます。
それが終わると詳細が決まってしまうので、かなりぎりぎりにはなってしまいましたが、署名活動を行うことにしました。内容は、あえて動物に限らず、広く倫理的問題として提起しています。
とはいえ既に内閣府で見解が出ているため何らかの緩和が行われてしまう可能性は高いのですが、発生の時期を限定するなど、完全解禁に至らない可能性もまだ残っています。
最後の一押しですので、ぜひご協力ください。
人と動物のキメラを胚の段階から作成し誕生させることを解禁しないでください
短縮URLは、
です。
拡散・ご協力をよろしくお願いいたします。
これまでの経緯については、下記のページをご参照ください。
動物性集合胚の規制緩和に反対する要望書
作業部会の資料・議事録は文科省のページをごらんください。
特定胚及びヒトES細胞等研究専門委員会動物性集合胚の取扱いに関する作業部会