東山動植物園から「ペット」がショップに流出!?

東山動植物園が手放した動物について、名古屋市に最近の分を情報開示請求しました。

東山動植物園から出て行った動物は全て動物交換によって手放されていましたが、国内外の動物園等に行った分を除くと、動物商にたくさんの動物が出されていました。魚類はさらに数が多いので除いても、こんなにあります。

東山動植物園が手放した動物(魚類を除く・平成25年度以降)

契約書の日付、取引した動物商
種名、数・雌雄等 ⇒動物商から聞いている行先

H25(2013).5.16 名東水園
イベリアトゲイモリ 20
トウブドロガメ 3

H25(2013).8.13 南北貿易
カピバラ オス1メス1

H25(2013).9.27 名東水園
キイロネズミヘビ(2011生) 1
キタアオジタトカゲ(生後1月) 6
ヤシイモリ(2012生) 1
パンケーキリクガメ(2012生) 1
チンチラ(2013生) オス1
チンチラ(2012生) メス1
フクロモモンガ(2013生) オス2メス2
ナンベイウシガエル 6

H25(2013).11.18 南北貿易
カリフォルニアアシカ オス1

H25(2013).12.9 有竹鳥獣店
カピバラ オス3メス3
ルーセットコウモリ 20

H26(2014).2.14 有竹鳥獣店
アメリカビーバー(2012生) オス1

H26(2014).6.9 有竹鳥獣店
パタスモンキー メス2

H26(2014).11.21 名東水園
チンチラ オス1
ハリネズミ オス1
ルーセットオオコウモリ 15
フクロモモンガ オス3、尾切れ1
ケニアスナボア 4
ヒョウモントカゲモドキ オス2

H27(2015).7.23 有竹鳥獣店
クロザル オス2メス2 ⇒宇部市ときわ動物園

H27(2015).8.12 名東水園
チンチラ 6カ月以上1 6カ月未満1
フクロモモンガ 6カ月以上1 6カ月未満1
ハリネズミ 6カ月未満7
コーンスネーク 1
アオジタトカゲ 3
パンケーキリクガメ 1

H27(2015).12.17 名東水園
ルーセットオオコウモリ 10 ⇒ペット用に販売された可能性が高い
 
H27(2015).12.24 名東水園
ハリネズミ 4

H28(2016).6.22 有竹鳥獣店
コツメカワウソ オス2メス1 ⇒ロシアのノボシビルスク動物園(Novosibirsk Zoo)の分園のようなところ? 確認とれていない
サバンナモンキー オス2メス1 ⇒伊豆アニマルキングダム
ワライカワセミ オス1 ⇒JAZA加盟園館、詳細は不明
オグロプレーリードッグ 7 ⇒仙台市八木山動物園(すべてかどうか不明)

H29(2017).12.28 有竹鳥獣店
ベネットアカクビワラビー メス2 ⇒御殿場観光牧場(確認済)
プレーリードッグ オス2 ⇒有竹鳥獣店倒産により行方不明

動物商の手に渡る動物たち

動物園等と直接交換した場合を除くと、取引先は南北貿易、有竹鳥獣店、名東水園の3カ所。

南北貿易と有竹鳥獣店は、日本動物園水族館協会(JAZA)維持会員でもある動物商で、老舗です。JAZA維持会員にも条件があり、どんな業者でもなれるわけではないそうですが、以前コツメカワウソがペットショップに流出していた問題でも名前が出てきた2カ所です。

有竹鳥獣店は、既に倒産しました。基本的に動物園間の動物の取引に関与しているというスタンスのはずでしたが、倒産によって行方不明になっている動物がいるとのこと……闇の中です。

名東水園はペットショップ「リミックス」(エキゾチックアニマルコーナーの名称は「ペポニ」)を経営しており、ペポニは東京レプタイルズワールド等の展示即売会でも常連です。いつも小さいケージに入れた小動物をたくさん連れてきており、正直、まさか東山動植物園のような有名な動物園から動物が行っているとは!信じられない!と感じる雰囲気です。大変申し訳ないですけど。

「ペット」にあたる動物は今後も名東水園に出す可能性がある!

2015年12月17日付契約の動物交換でルーセットオオコウモリが名東水園に行っていますが、年が開けた2016年1月12日、名東水園のリミックスがブログに「珍獣着弾!!緊急入荷!群れをなす蝙蝠軍団!!」との投稿をしています。完全に、いわゆるペットとして一般向けに売っています。種はエジプシャンルーセットオオコウモリとのことですが、ウェブサイトを見ると、東山のルーセットオオコウモリもエジプシャンです。

東山動植物園側によると、過去には大学からルーセットオオコウモリを求められて出したこともあり(ただし侵襲的な医学実験ではなく生態研究的なところだそう)、そういった大学が維持繁殖のために新しい血を入れようと個体の入れ替えをすることがあり、リミックスのブログに出ているのは東山由来ではなく、それを大学と交換した個体の可能性もあるとの説明……。なんと、大学まで絡んでくる?

しかし店舗に聞いてみたところ、このときのルーセットオオコウモリが東山動植物園由来かどうかはわからないが、ルーセットオオコウモリの入手経路の1つとして東山動植物園があることを認めていました。他にも入ってくるルートはあるが、動物商経由の場合はどこから来たかはわからないとのこと。

名東水園は、過去にも他の動物園に渡すと言ったのに、東山由来の動物をペットとして売っていたことがあり、動物園側からクレームを入れたこともあるそうです。そういった問題も起きたところに動物を出し続けるのは疑問です。

東山動植物園としては、いわゆる野生動物にあたるような動物は名東水園に出さないようにしているそうですが、ペットにあたるような動物については今後も出す可能性があるそうです。

例えば、今はチンチラもルーセットオオコウモリも偶然繁殖維持がうまくいっていて余剰が生まれていないそうですが、これが崩れて数が余ってしまった場合、今後も名東水園(つまりはペポニ)に出す可能性があるということになります。

チンチラは、由来としてもペットショップで売られているチンチラと何ら変わりもない個体を飼育しているそうで、まだペット化された動物だと言われても理解できますが、ルーセットオオコウモリはペット化された動物なのでしょうか?

コウモリは感染症法によって2003年10月から全種輸入禁止になっており、近年特例としての輸入も許可されていません。ペットショップにとってはレア、珍獣で旨味のある動物だと思います。

そんな動物を出してよいとは思えませんが、どうも東山動植物園の線引きがわかりません。いわゆるエキゾチックアニマルのペット化を問題視している気配がありません。それに、名東水園に出してきたラインナップを見ると、どうも動物園がペットのブリーダー化しているように見えてなりません。

非常に心配なので「コツメカワウソは?」と確認したところ、これはJAZAの血統管理の対象種でもあり絶対ペットとして出すことはないし、管理者の対応も近年厳しくなっているとのことでしたが……でも、動物商からは、「出してくれ」攻勢が強いそうですよ!

一体どこに売るつもりなのでしょう? 本当にこの業界、呆れます。

動物商を関与させる理由としては、代わりにほしい動物が相手の動物園におらず動物園間の動物交換が成立しないとき、金銭で売るわけにはいかず動物商を介して取引する方法が形式上必要であるとか、あとは輸送の依頼の問題もあるそうです。

しかし、仮にそうだとしても動物の行先はしっかり確認・選定する必要があり、JAZAもそのような方針に転換した以上、ペット種についても軽視せず努力してほしいものです。

補足1:魚類について

ほかにも名東水園に魚類が多数放出されていますが(毎回20種前後)、これは数が多いためリストでは割愛しました。動物園側によると、「世界のメダカ館」のメダカ類が多く、繁殖で維持していくには、ふえたら出して一般飼育者(いわゆるマニア)に飼ってもらい、何らかの原因で死滅したら逆にまた外部から入れるということをしていかざるをえず、いわゆるセーフティネットのような説明でした。東山から出たメダカ類は、店頭に出すまでもなく、入荷したらすぐ売れるような状況らしいです。

水族館といえば、野生から魚を捕獲して入れては死なせて、また入れての連続であり、収奪的で持続可能性が低いことが問題になっていますから、そこから抜け出して繁殖で維持しようとすると起きる悩ましい問題を感じます。

補足2:第一種動物取扱業の「販売」での登録について

東山動植物園も第一種動物取扱業の「販売」での登録はしているそうです。金銭ではなく動物交換による等価交換でも販売に該当するという見解が2006年頃に環境省から出ていたことを確認したことはあるのですが、どうもその後、違う、いやそうだと状況が錯綜してきたそうで、名古屋市でも登録をすることになったのは最近のようです。

意見の送り先

ペット業者に市の財産である動物たちを渡さないでくださいと、ぜひご意見をお送りください。

名古屋市緑政土木局東山総合公園管理課管理係
電子メールアドレス:higashiyama@ryokuseidoboku.city.nagoya.lg.jp
こちらのページの下部にメールフォームへのリンクもあります。
ファックス番号:052-782-2140

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