<動物愛護法改正>超党派議連の改正骨子、公表される

2018年12月11日、超党派の「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」が総会を開催し、動物愛護法の改正骨子案が了承されました。

愛護法改正の活動を協働で行っているPEACE、JAVA、アニマルライツセンターもこの総会を傍聴してきました。

多くの改正項目が盛り込まれた骨子案ですが、残念ながら、私たちが特に強く求めていた「動物実験や畜産関係の業者を第一種動物取扱業の対象にして、登録を義務付ける」「産業動物(畜産動物)についての条項を設け、『飼養及び保管に関する基準』を遵守義務とする」が外されてしまっています。

骨子は議連の議員の方たちが、所属する党に持ち帰り、今後、各党での検討がなされます。その後、与野党協議を経て、ゴールデンウイーク前の成立を目指すとのことです。

ぜひ、各党や皆さんの地元選出の国会議員の方々に上記の2点の改正を盛り込んでくれるよう要望してください。

この議連の事務局次長を務められている高井崇志衆議院議員がフェイスブックで総会についてご報告されており、骨子全文も公表されています。
https://www.facebook.com/takashi.takai.okayama/posts/1901720089925416?__tn__=K-R

以下が全文です(太字はPEACEによる)。

2018年12月11日の高井崇志衆議院議員のフェイスブックより転載

超党派の「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」総会を開催し、「動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案骨子」が了承されました。
 
3年前、議連の事務局次長に就任して以来、法改正の実務を担ってきました。
 
2015年2月から「総会」を9回、2017年2月から「動物愛護法改正PT」を15回開催し、更に、今年8月からは、国会閉会中にもかかわらず、「条文化作業チーム」を11回開催し、法改正作業を進めてきました。
 
特に「条文化作業チーム」は、国会議員の会議としては「異例」の毎回3時間というハードスケジュールでした。環境省と衆議院法制局に加えて、テーマ毎に専門家にアドバイザーとして参加して頂き、作業を進めました。
 
本日の総会では、司会と法案骨子の説明を担当させていただき、10名以上の国会議員、アドバイザーの皆さんからの質疑にお答えしました。
 
動物愛護団体等からの要望を全て盛り込むことはできませんでしたが、この法律は議員立法のため、全会一致が原則であり、法案を成立させるためには、異なる立場の方々の意見も取り入れなければなりません。
 
今後は各党との協議に入りますが、法案を成立させるためには世論の後押しが必要です。残念ながら、動物福祉に理解の少ない国会議員がいるのも事実です。ぜひこのブログをシェアしていただき、一人でも多くの方にこの法改正の意義を広め、地元の国会議員に働きかけて頂ければ幸いです。
 
動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案骨子
 
第一 動物の所有者又は占有者の責務規定の拡充
  動物の所有者又は占有者は、その動物について環境大臣が飼養及び保管に関しよるべき基準を定めているときは、当該基準を遵守しなければならないことを明確にすること。
 
第二 第一種動物取扱業による適正飼養等の促進
  都道府県知事が第一種動物取扱業の登録を拒否しなければならない要件として以下の事由を追加すること。

一 登録拒否事由の追加
1 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
2 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律その他の動物の取扱いに関する法律(※)に違反し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
 ※ 対象とする法律の範囲については、今後要検討。
3 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者等
4 第一種動物取扱業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者【として環境省令で定める者】
5 使用人のうちに1~4に該当する者のあるもの
6 事業を的確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者【として環境省令で定める者】
※ 第一種動物取扱業のうち、繁殖・販売業については許可制にすることも、今後要検討。
 
二 遵守基準の具体化
1 第一種動物取扱業者が遵守しなければならない基準は、動物の種類、習性、出生後経過した期間等を考慮して環境省令で定めるものとすること。
2 1の基準は、動物の愛護と適正な飼養に関し必要な次の事項について定めるものとすること。
(1) 動物の健康及び安全に配慮した展示又は輸送の方法その他の動物の飼養又は保管の方法に関する事項
(2) 動物を繁殖の用に供することができる回数、繁殖の用に供することができる動物の選定その他の動物の繁殖の方法に関する事項
(3) 動物の飼養又は保管に従事する従業者の員数に関する事項
(4) 飼養施設の構造、規模及び管理の方法に関する事項
(5) 動物の飼養又は保管をする環境の管理に関する事項
(6) その他動物の愛護と適正な飼養に関し必要な事項
3 犬猫等販売業者に係る1の基準は、できる限り具体的なものとしなければならないこと。
※ 遵守基準は、原則として第二種動物取扱業者にも準用。

三 犬、猫等を販売する場合における対面による情報提供の充実
第一種動物取扱業者のうち犬、猫等の動物の販売を業として営む者が動物を販売する場合において動物の状態を直接見せ、対面による情報提供を行う義務について、当該行為を行う場所をその事業所等に限定すること。

四 動物取扱責任者の要件の充実

動物取扱責任者は、動物の取扱いに関し、十分な技術的能力及び専門的な知識経験を有する職員のうちから選任するものとすること。
 
五 幼齢の犬又は猫の販売等の制限に係る激変緩和措置の廃止
出生後56日を経過しない犬又は猫の販売等の制限について、附則で定められた激変緩和措置に係る規定を削除すること。
 
六 帳簿の備付け等に係る義務の対象の拡大
犬猫等販売業者に対する帳簿の備付け及び報告に係る義務について、動物販売業者一般のほか、貸出し、展示及び譲受飼養を行う業者(※)も対象とすること。
※ 義務の対象の範囲については、今後要検討。
 
七 勧告及び命令の期限の明確化
都道府県知事が動物取扱業者に対して行う勧告及び命令について、「○月以内/相当【P】」の期限を設けて行うものとすること。
 
八 勧告に従わない動物取扱業者の公表制度の創設
七の勧告に従わない動物取扱業者について、その旨を公表することができる制度を設けること。
※ 公表後もなお正当な理由なく勧告に従わない場合は、命令及び命令違反に対する罰則を想定。
 
第三 動物の適正飼養のための規制の強化

一 犬及び猫の繁殖制限の義務化
犬又は猫の所有者は、これらの動物がみだりに繁殖して適正飼養が困難となるようなおそれがあると認める場合には、その繁殖防止のため、生殖を不能にする手術その他の措置をしなければならないこと。
 
二 周辺の生活環境の保全等に係る措置に立入検査を追加
1 都道府県知事は、周辺の生活環境の保全等に係る措置(※)に必要な限度において、動物の飼養又は保管をしている者に対し、飼養若しくは保管の状況その他必要な事項に関する報告徴収又は飼養施設等への立入検査を行うことができること。
※ 多頭飼育に起因した騒音・悪臭等の事態の除去、多頭飼育に起因した不適正飼養・保管による動物虐待のおそれがある事態の改善等
2 1の報告を拒み、又は立入検査を正当な理由なく拒んだ者について、所要の罰則規定を設けること。
 
三 特定動物に関する規制の強化
1 特定動物の愛玩目的での飼養又は保管を禁止すること。【P】
2 その他特定動物に係る許可基準(※)を厳格化すること。【P】
※ 逸走防止等が想定されるが、具体的内容は省令事項か。
 
四 動物殺傷罪等の厳罰化
愛護動物に対する殺傷、虐待、遺棄等に対する罪の法定刑の引上げ等を行うこと。
※ 具体的内容については、今後要検討。
 
第四 都道府県等の措置等の拡充

一 動物愛護管理センター
1 都道府県等は、動物の愛護及び管理に関する事務を所掌する部局又は当該都道府県等が設置する施設において、当該部局又は施設が動物愛護管理センターとしての機能を果たすようにするものとすること。  
2 動物愛護管理センターは、次に掲げる業務を行うものとすること。
(1) 動物取扱業の登録、監視、指導等に関すること。
(2) 特定動物の飼養又は保管の許可、監視、指導等に関すること。
(3) 犬及び猫の保護、管理、譲渡し等に関すること。
(4) 獣医師からの通報を受理すること。
(5) 愛護動物の虐待の防止に関する広報その他の啓発活動を行うこと。
(6) その他動物の愛護及び適正な飼養のために必要な業務を行うこと。
 
二 動物行政を担う地方公共団体における動物愛護管理担当職員の拡充
1 「動物愛護担当職員」の名称を「動物愛護管理担当職員」に改めること。
2 都道府県等が条例により「置くことができる」こととされている動物愛護管理担当職員について、「置かなければならない」とすること。
3 市町村(政令市及び中核市を除く。)は、条例で定めるところにより、動物愛護管理担当職員を置くよう努めるものとすること。
 
三 所有者不明の犬及び猫の引取り拒否
都道府県等は、所有者の判明しない犬又は猫の引取りをその拾得者その他の者から求められたときは、〇〇の場合その他の引取りを求める相当の事由がないと認められる場合として環境省令で定める場合【P】には、その引取りを拒否することができること。
※ 周辺の生活環境が損なわれている事態が生じていない場合等が想定されるが、要件については、今後要検討。
 
四 動物愛護推進員の委嘱の努力義務化
都道府県知事等が「委嘱することができる」こととされている動物愛護推進員について、「委嘱するよう努めるものとする」とすること。
 
第五 その他
一 動物を殺す場合の方法に係る国際的動向の考慮
環境大臣は、動物を殺す場合の方法について、国際的動向を踏まえて、必要な事項を定めることができるものとすること。
※ 炭酸ガスによる殺処分を推奨しない旨が定められることを想定。 
 
二 動物の科学上の利用の減少に向けた取組の強化
動物を教育、試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供する場合には、科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用し、及びできる限りその利用に供される動物の数を少なくすること等により動物を適切に利用しなければならないこと。
  
三 獣医師による通報の義務化
獣医師が虐待を受けたと思われる動物を発見したときの通報に係る努力義務について、義務に引き上げるとともに、遅滞なく行わなければならないものとすること。
※「遅滞なく」通報することとすることにより、夜間における通報まではする必要がないと解釈し、通報受理受入れ態勢に配慮することを想定。
※現行法上、獣医師の守秘義務に関する規定は存在しない。個人情報への配慮の観点から、通報内容についてどのようなものを求めるかについて検討を要するか。
 
四 関係機関の連携の強化
国は、動物の愛護及び管理に関する業務を担当する地方公共団体の部局と畜産、公衆衛生及び福祉に関する業務を担当する部局との関係機関の連携の強化に関し、情報提供等必要な施策を講ずるよう努めるものとすること。
 
五 地方公共団体に対する財政措置等
国は、地方公共団体が動物の愛護と適正な飼養の推進に関する施策を実施するための費用について、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるように努めるものとすること。
 
六 マイクロチップの装着等
※ 制度については、今後検討
 
七 施行期日等
1 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。ただし、第二の二については公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日【、第五の六については公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日】から施行すること。【P】
2 その他所要の規定を整備すること。
 
(別紙)追加で検討を要すると考えられる事項

1.学校、動物実験を取り扱う者、畜産業者等の第二種動物取扱業(※)への追加
※第二種動物取扱業・・・飼養施設を設置して、非営利で、業として動物を取り扱う者であって、取り扱おうとする動物の数が政令で定める数以上である者
 
2.輸送業者を含めた動物輸送の適正化:不適正輸送を虐待罪の例示として明記
 ・輸送による動物の衰弱について、移動そのものではなく、輸送中の劣悪な環境が原因と考えられる場合、「輸送」に特化した違法行為をどのように定義できるか。
 
3.罰則の強化
 ・罰則については同種の規定の在り方を参考に要検討
 
4.両生類の愛護動物への追加
 ・実態の調査が必要
 
5.多頭飼育の届出制度の創設
 ・制度の目的について要検討
 ・実務上運用可能か要検討
 
6.動物の心身の苦痛の感受性に関する調査研究
 
7.規制目的を実効化ならしめる立入検査の在り方についての検討
 
8.飼養許可が取り消された特定動物の引取先の確保を含めた特定動物規制の在り方についての検討
 
9.いわゆる地域猫活動【を含めた人と動物の共生】に対する支援の在り方についての検討
 ・地域猫活動を本法においてどう位置付けるか整理が必要
 
10.産業動物の適正飼養に関する基準の周知の在り方についての検討
 
11.科学上の利用のために飼養・保管される動物の適正飼養のための措置についての検討

<転載以上>

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