先日、「警察が昨年、動物愛護法違反容疑で逮捕・書類送検したのは63人(前年比11人増)で、統計が残る2010年以降、最も多かった」との報道がありました。(朝日新聞「動物虐待容疑で逮捕・書類送検、過去最多63人 警察庁」2016年3月10日)
記事によると、「全体で計56件あり、動物別では猫が最多の34件、犬は20件、ハムスターとニワトリが各1件。行為別では、遺棄27件、殺傷17件、不衛生な環境で育てたり餌を与えなかったりする虐待が12件」とのことなので、遺棄やネグレクトによる立件もかなりふえてきている印象です。
2012年の動物愛護法改正で警察との連携が盛り込まれ、施行に際して警察庁から警視庁と各道府県警察に対し通達が出ていることも、じわじわと効いてきている感じでしょうか。(下記参照)
- 警察庁通達:動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律の施行について
(平成25年8月1日 丁生経発第178)
ただ、この通達で第一種動物取扱業の無登録営業等についても明確に触れているにも関わらず、現場の警察官が、こういった業制度があることすら知らない状況というのはまだまだ続いています。この規制が露天商などにも関わってくることが、この通達の文面からはわかりづらいのではないでしょうか。
また、違反に該当するかどうかを動物愛護行政に問い合わせることになるので、どうしても「無登録営業=まず指導」となってしまい、なかなか立件に至らない現実もあります。業関係での違反がゼロというのは、「あれもこれも違反だった」という実感とは乖離しています。
この警察の統計の推移はサイトにアップしているのですが、かなり情報が古くなっているので近日中に更新する予定です。
とりいそぎ、本日は先に検察統計のデータのほうを更新しました。詳細は下記のページからご覧ください。
この統計は、事件を受理したときの罪状でとっている統計なので、器物損壊となっている場合等は動物愛護法違反としては計上されません。一方、検察の場合は、他の検察庁に送致した数が二重にカウントされてしまうので、実際の人員数より若干多くなっているはずなのですが、それを見越しても受理人員数は増加傾向にあるといえるのではないでしょうか。
遺棄や殺傷などは、犯人がわからなければ立件できませんし、なかなか単純に右肩上がりとも行かないのもわかりますが、法改正が進むとともに世の中の意識も変わり、関係者の意識も向上してきているのではないかとは感じます。
虐待事件そのものも報道されるようになってきましたし、人間に対する凶悪犯罪を起こした者に動物虐待の過去があることも随分報道されるようになりました。(そして、皆そのことで裁かれていないのです) このリンクについてもかなり知られるようになってきているのではないかと感じます。
あとは、今一歩も二歩も物事がスムーズに進むようにするため、また理念としても、懲役刑の上限を器物損壊罪と同等にすること等は、次回の法改正においても求めていきたいと考えています。