新年トラの話題②:Netflix『タイガーキング: ドク・アントル、強者につき』~保護と言えば金が入る。エンタメ産業のグリーンウォッシュ

去年話題になったNetflix(ネットフリックス)のドキュメンタリー『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』は現在シーズン2も公開されていますが、その紹介の前に、トラを次々産ませて殺処分していることを認めていたドク・アントルについての3話ドキュメンタリーをご紹介します。はっきり言って、不快になること必至の内容ですが、日本にも通ずる問題があります。


タイガーキング: ドク・アントル、強者につき

3話

『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』で、主役「ジョー・エキゾチック」の同業者として登場し、異彩を放っていた「ドク・アントル」ことバガヴァン・ケヴィン・アントルの悪行をさらに掘り下げるシリーズです。

もはや話の中心は動物の問題ではなく、ヨガカルトで人心を操る術を身につけた半生や、未成年女性への性的暴力を伴う一夫多妻の問題、従業員へのパワハラなどが主なテーマではあります。彼の呼称に使われている「ドク」(医師)という肩書も嘘。虚構と人心操作で周囲の人々をいかに不幸にしてきたかが延々続くドキュメンタリーでした。

要するに、彼はマニュピレーター(操る者)なのですね。日本でも経営者や団体トップなどによくいるタイプだと思いますが、動物も搾取しているのが始末に悪い。

アントルの施設は、マートルビーチ・サファリ(Myrtle Beach Safari)といい、トラだけでなく、さまざまな動物を飼い、ショーを見せ、トラを繁殖して売り、子トラと写真を撮らせたりする、要するにエンターテイメント産業です。しかし一方で、T.I.G.E.R.S.(絶滅危惧種・希少種研究所;The Institute for Greatly Endangered and Rare Species)などという名称で、保護を騙る組織も作っている。まあ日本にもありますよね、動物を輸入しまくっているのに、何とか研究センターみたいな…(以下略)。

アントルの施設が始末に悪いのは、アフリカやアジアなど、世界中の生息地保護に寄付し、生態系保全に貢献しているとうたっていることです。

しかし、このドキュメンタリーでは、その実態も暴かれていて、例えばタイでは、トラの赤ちゃんとの写真撮影のやり方を指導したなどというのが実態でした。

失笑。もしかして、それが保護だと本気で思ってるの?

アントルをよく知る人物が、そういうやり方のことを「グリーンウォッシュだ」とはっきりと批判していました。環境にいいことをやっているように見せかけて、本業の悪行は変えないやり方のことです。木下サーカスがタイにゾウの病院開設とかやっているのも、似たようなものですね。

しかも、なんとアントルは「保護と言えば客はもっと金を出す」と言っていたそう。確信犯じゃろ、こいつ。

このような産業に騙されて、ほいほい金を出してはいけません。

アントル本人はこのドキュメンタリーの出来にはご不満のようですが、犯罪で追われてバージニア州から逃げるときに、動物を置き去りにした最低な人物だということも言っておきたいです。

そして、動物を檻に入れるところを見せないというのが、せこかった。広いところで動物を自由にさせているイメージを植え付けたいのでしょう。檻は、緑で人工的に覆い隠されていて、見えづらくなっているだけでした。虚構産業ですね。

既に報道されていることなので書いてしまいますが、ラストの締めは、起訴です。このドキュメンタリーシリーズ、最後は中心人物の立件で終わる形が好きなようです。

動物ドキュメンタリーではなく「実際に起きた犯罪事件を描いたドキュメンタリー」に分類されているのも納得。しかも、動物犯罪だけではなく、大麻取引の話が出てきたり、ホンモノですよ。

動物犯罪については、ナショナル・ジオグラフィック日本語版の記事などをご参照ください。

日本経済新聞

米国のテレビ番組「タイガーキング」の登場人物で、サウスカロライナ州にある人気の私設動物園の所有者バガバン・"ドク"・アン…

※注:ドキュメンタリー『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』の日本語字幕では、ドク・アントルを獣医師としていたので、そのように紹介ブログでも書いてしまいましたが、実際には医師を騙っていたので、こちらのブログを修正しました。

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