ネバダ州で、いわゆる「タイガーキング法」が成立~トラなどの触れ合い禁止
去年、トラで話題になったものといえば、Netflixのドキュメンタリー『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』です。
日本では、今年6月、トラなどの大型ネコ科の動物や毒ヘビ、猛禽など、人の生命・身体・財産等にとって危険な動物として指定されている「特定動物」650種ほどについて、愛玩目的での飼育が禁止になった。州ごとに規制がばらばらとなってい[…]
このドキュメンタリーの出演者には後日談が多く、上記のページに追記した以外にも、かつて「タイガーキング」ことジョー・エキゾチックが運営していた園を受け継いだジェフ・ロウも動物展示が生涯禁止となりました。昨年末にナショナルジオグラフィック日本語版が下記の記事を公開しています。
米司法省がジェフ・ロウ氏から146匹の動物を押収してから数カ月。オンライン上での無免許の動物有料展示を禁止する判例が作ら…
Netflixのドキュメンタリーでも描かれていましたが、ジェフ・ロウは、もともとはラスベガスの夜の街にトラの子どもを連れ出してお金を儲けることをしていました。2017年、エキゾチックアニマル所有のライセンスをもっていないことで、ラスベガス当局に摘発されています。
そのラスベガスのあるネバダ州で、昨年6月、「何人(なんぴと)も、危険な野生動物を公衆の一員に直接接触させてはならない」とする法律が成立し、7月1日から発効しています。いわゆる、タイガーキング法です。トラの赤ちゃんの触れ合いや、ゾウライドが禁止されたため、もはやジェフ・ロウがラスベガスのホテルなどでやっていたようなことはできなくなりました。(対象種は下記に一覧掲載)
日本でも、ぜひ成立させたい法律です。
写真撮影などに使われるトラの子たちの不幸な生涯
こうした産業に使われるトラたちは、触れ合いや写真撮影などのために搾取され、苦しんでいます。
トラの子は、出生直後に母親から引き離され、母親のもとに戻されることはありません。自然界では、トラの子は生後約2年間母親と一緒におり、その関係は子の健康、発達、幸せのために不可欠です。トラの子はロードサイド・ズー(道端の商業施設や個人宅などで営まれている小規模動物園。要するに低福祉施設ということ)に売られ(もしくはロードサイド・ズーで生まれ)、写真撮影のために利用され、自由に休む間もなく何度も使われます。そのように見知らぬ人や展示業者に虐待されているとき以外は、トラの子たちはケージに置かれ、しばしば基本的に必要なケアを受けていません。
そして、わずかな期間使われただけで、彼らは人間と触れ合わせるには成長しすぎ危険だと判断され、ロードサイド・ズーやサーカス、またはどこかの裏庭の小さなケージでの終身刑を宣告されることになります。このサイクルを継続させるために繁殖に使われるトラもいれば、殺されるトラもいます。(ドキュメンタリーの「タイガーキング」では、ドク・アントルが殺していることを認めていた)
ネバダ州には「ジョーダン・ワールド・サーカス」というサーカスもあるそうですが、この法案の可決により、ゾウライドの提供ができなくなったそうです。
参考
The governor of Nevada just signed a bill that bans public c…
ネバダ州の州法で触れ合い禁止対象となっている種一覧
SB344より
1.アジアゾウ属及びアフリカゾウ属のすべてのゾウ。
2.アードウルフ属及びハイエナ属のすべての種。
3.人間を除く、霊長類全て。
4.イヌ科の以下の種:
(a) ハイイロオオカミ。
(b) 飼育下で生まれたアメリカアカオオカミ。
5.ネコ科の以下の種:
(a) チーターとその雑種。
(b) ウンピョウおよびそれらの雑種。
(c) ジャガーとその雑種。
(d) ヒョウとその雑種。
(e) ライオンとその雑種。
(f) 飼育下で生まれたマウンテンライオンとその雑種。
(g) ユキヒョウとその雑種。
(h) トラとその雑種。
6. クマ科の以下の種:
(a) 飼育下で生まれたアメリカツキノワグマ。
(b) ツキノワグマ。
(c) ヒグマ。
(d) ジャイアントパンダ。
(e) ホッキョクグマ。
(f)ナマケグマ。
(g) メガネグマとその雑種。
(h) マレーグマ。
アメリカ・ネバダ州では、トラの赤ちゃんのふれあいやゾウライドができなくなる!
人に対して危険性のある一部の動物種について、直接接触させることを禁じる「タイガーキング」法案に知事が署名。7月1日から施行される。
https://t.co/qjRdljq8hA @petaより— PEACE 命の搾取ではなく尊厳を (@animalsPEACEnet) June 9, 2021
日本でも、代表的なロードサイド・ズーの一つである香川の「しろとり動物園」が「白いトラさんとのふれあいフォトタイム」と称し、写真撮影サービスをやっています。ホワイトタイガーの繁殖自体が、障害などが出やすく虐待的だというのに。土日限定とはいえ、1日20組もホワイトタイガーの子との写真撮影をさせています。
メディアなどが、こうしたところを好意的に取り上げないことが重要です。世論をつくるために、今年も頑張りましょう!