金属音の暴力とイルカの恐怖を知ってください「海のいきものを守ろう@東京マーチ2023」5月28日 開催レポート

5月28日にPEACEも「海のいきものを守ろう@東京マーチ2023」に参加してきました。主催者のお一人にレポートを寄稿していただきました。9月1日から、またイルカ追い込み猟が始まります。廃止を求める声を挙げていきましょう。

金属音の暴力とイルカの恐怖を知ってください「海のいきものを守ろう@東京マーチ2023」5月28日 開催レポート

Heal The Oceans Japan 光延晶子

仲間が増え、より力強いマーチに

イルカ追い込み猟、イルカショーの廃止を求める「海のいきものを守ろう@東京マーチ2023」が5月28日に東京で開催されました。恵比寿〜渋谷〜表参道を2トントラックの先導、約100名の参加者、展示物を載せた軽トラックと、イルカ問題のマーチとしては規模の大きなものになりました。

渋谷や表参道で鯨類問題を訴えることの難しさ。それは水族館や関係団体のない、ファッションと食の街では効果を感じにくいことにあります。デモ行進とはその対象となる企業や団体、当事者に圧力をかけることも目的の一つだからです。そこで訴えをより明確に、ストレートに、問題点を絞り込むことにしました。イルカ追い込み猟の猟具「チャンチャン」に焦点を当てたのです。

まるで本物!実物大の「チャンチャン」

主催メンバーが溶接の技術をもって実物大2.8メートルのチャンチャンを作成しました。塗装に錆を加えたリアルな仕上がりに、思わず「えぇ? 本物!?」と叫んでしまうくらいの完成度の高さでした。リアルチャンチャンを軽トラの荷台に載せ、イルカの恐怖と悲しみを描いた幕とともに展示して公道を走りました。

ちゃんちゃん 実物大 模型 トラック
ちゃんちゃん

正義の悪役 黒づくめのチャンチャン隊

白い小型のチャンチャンを持った黒装束、黒マスク、赤い手袋の20名のチャンチャン隊。黒づくめの一団が白いチャンチャンを叩きながらマーチの先頭を歩きます。その異様さは沿道の人々の目をひいていました。思い切りチャンチャンを打ち鳴らし叫ぶ彼らの姿は、イルカの苦しみに共鳴した彼らの思いの強さの表れでした。約2時間に及ぶマーチの間、ずっと叩かれ続けた金属の小型チャンチャンの棒の先は潰れていました。

当初は捕獲されたイルカの幕を張った2トントラックの先導車、その後を実物大チャンチャンを乗せた軽トラ、それにチャンチャン隊と続いて演出が完成するはずでした。しかし警察とのやりとりの行き違いから軽トラはマーチに入れず、やむなく後を追う形になったことが悔やまれます。

串田誠一議員、関嵩史議員も参加 共に声をあげて

参議院議員の串田誠一さん、横浜市議会議員の関嵩史さんも共に声をあげ、歩いてくださいました。渋谷、表参道に響く串田議員のマイクは参加者、そして沿道を行く人々の心に深く刻まれていました。お二人の参加により、より一層マーチの士気があがり、手応えの大きなものになりました。ありがとうございました!

阿部将太郎神奈川県議会議員、高橋えりか台東区議会議員、とくたけ純平市川市議会議員(千葉県)、宮本しゅんま荒区議会議員からも熱い応援コメントをいただいきました。

鯨類のデモといえば必ずヘイトやアンチの罵声が熾烈だった頃を思うと、まさに感無量です。串田議員、関議員のお話や応援コメントをぜひ動画でご覧ください。

金属音の恐怖 猟具「チャンチャン」

日本におけるイルカ追い込み猟、イルカショーが国際的にも批判されていることはこれまでメディアでも取り上げられてきました。しかしイルカ追い込み猟の猟法、それ自体が残酷であるという肝心な部分は知られておらず、イルカショーは依然として人気です。

イルカ追い込み猟の猟法の残酷さ。それは海中に金属音の轟音を響かせ、極限のストレスとパニックに陥ったイルカを捕らえるという、動物福祉に著しく反した猟法にあります。

オイルの通った金属の棒、チャンチャンを船上から叩くと、金属音は海中で増幅され、音に敏感なイルカは方向感覚を失い、恐怖でパニックになります。頭の割れるような、隣で雷が落ちたような凄まじいい轟音にイルカたちは苦しみます。水の中で音は空気中の約4倍の速さで伝わり、広範囲に到達します。人間の約2倍の太さの聴神経を持つイルカは、突然の金属音に襲われてパニックになり、互いにぶつかりあい、絶命するイルカもいます。そしてパニックになりながらも、親のイルカや歳をとったイルカは、子どものイルカに寄り添い守ろうとします。泳ぎのまだ上手でない、泳ぐのが遅い子どもを連れたイルカがつかまりやすいのです。

マーチの企画はイルカを苦しめる猟具「チャンチャン」の存在を知ってもらおうという試みから始まりました。チャンチャンはハツオンキまたは鉄管(てっか)など、いくつかの呼び方があり、最近ではバンガーとも呼ばれるようです。バンガーはおそらく爆竹、雷薬を指す英語のbangerからで、 “bang” という擬音(バン!などのうるさい音)からきているのでは、とのことでした。

マーチでは、この猟具が静岡県富戸から和歌山県太地町導入された際の本来の名称であることと、名称から音を連想しやすく覚えやすいことから「チャンチャン」に統一しました。

イルカ追い込み猟 ハツオンキ説明 

活動家の表現力が集結

一般にはほどんと知られていない「チャンチャン」の存在。通り過ぎるマーチでは伝えきれない情報を補足するために、動画やパネル、リーフレットなどが多数制作され、太地イルカ追い込み猟の写真も現地で撮影されたものが提供されました。水族館建設や、店頭の水槽で苦しむ生き物を救うための署名の呼びかけも行われました。

活動家たちはそれぞれの言葉と表現を駆使して動物たちの解放を訴えます。活動は表現であり、創造です。立ち尽くしてマーチを見つめ、動画や写真を撮る多くの歩行者。活動家たちの表現の力がイルカ問題ヘの関心を集め、マーチを成功に導きました。

イルカは野生のままに

「海の生き物を守ろう」2023マーチは、有志の実行委員会によって開催され、私もその一員として参加しました。準備期間約2カ月。幕やパネル、展示物、小道具などを主催者とスタッフで一から作り上げたマーチでした。

「癒し」というエゴ、「可愛い」に搾取されるイルカたち。彼らを水槽と曲芸から解放し、野生動物として保護され尊重される日が1日も早く来ることを願います。

イルカは野生のままに
野生の動物は野生のままに
監禁された動物たちをサンクチュアリへ

ご参加いただいた皆様、ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。

(記事内の氏名は50音順)

「海のいきものを守ろう@東京マーチ2023」公式案内

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