東北サファリパークでの去年のライオンによる死亡事故で園長ら2人が書類送検

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東北サファリパークでの去年のライオンによる死亡事故で園長ら2人が書類送検

福島県にある「東北サファリパーク」で昨年9月、当時53歳の男性飼育員がライオンに襲われて死亡しましたが、今月9日付けで二本松警察署は、園長ら2人を業務上過失致死容疑で福島地検に書類送検したとのことです。

読売新聞の取材に「サファリパークとしてコメントを出すことはない」と答えているとのことで、驚きました(「飼育員がライオンに襲われ死亡、東北サファリパーク園長ら2人を書類送検」読売新聞、2024年12月10日)。サイトにも特に何もコメントは載っていません。

事件の経緯としては、昨年9月28日午後、閉園準備作業中にライオンのおりの中で飼育員が首から血を流して倒れているのを、別の飼育員が発見。飼育員は搬送先の病院で約1時間後に死亡した、というものでした。

飼育員は檻の中に入りエサを置いたが、扉が開いているのに気づいて閉めようとした際、メスのライオンに檻の中に引きずり込まれたと報道されています。(「飼育員死亡の東北サファリパーク 業過致死容疑で園長ら書類送検」朝日新聞、2024年12月10日)

東北サファリパークは、この事故で1か月ほど休業しましたが、その後営業を再開しています。

支店である那須サファリパークでも有罪になっている

東北サファリパークを運営する株式会社東北サファリパークは、2022年にも、支店である「那須サファリパーク」でトラによる重大な負傷事故を起こしています。略式起訴されたときにブログに詳細をまとめました。

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那須サファリパーク

この投稿を載せた時点で罰金等は公表されていませんでしたが、今年4月8日付けで大田原簡裁が略式命令を出していたことが後日報道されました。

  • 業務上過失傷害罪で略式起訴された元飼育員男性(起訴当時26歳)⇒罰金50万円
    (警察署が送検した6名のうちの1名、ほか5人は不起訴)
  • 労働安全衛生法違反罪で略式起訴された運営会社と責任者
    運営会社「株式会社東北サファリパーク」⇒罰金50万円
    現場責任者の男性支配人(起訴当時49歳)⇒罰金30万円
    (ともに労働基準監督署が送検)

報道によれば、元飼育員男性は事故前日にベンガルトラ「ボルタ」を通路から獣舎に収容せず通路に残したまま終業したこと、運営会社と男性支配人は、従業員に業務での事故時の応急処置や避難に関する教育を行わなかったことなどが起訴状に書かれていたとのこと。(「那須サファリ事故、元飼育員らに罰金 大田原簡裁が略式命令 トラに襲われ3人負傷事故」下野新聞、2024年4月16日)

人を死なせたり、障害を負わせたりしても動物が見たい?

2年連続でネコ科の大型動物で重大事故を起こしている株式会社東北サファリパーク。第一種動物取扱業の登録の適格性に疑問を感じます。法的には、法人が有罪となっているので、業登録の取消しは可能なはずですが、現在も営業は続いています。

そもそも、なぜ従業員を死なせたり障害を負わせたりしてまでも、人は野生動物を見たいのでしょうか。それも、生息地に行くのではなく、檻に閉じ込めて。手軽に見て楽しむことに対し、もっと根本的な疑問を持つべきだと思います。

「雪の降る土地にライオンやキリンを囲うことが、どうして正常な自然教育といえるでしょうか。それは自然をありのままに理解させることに役立つものではなく、まがい物の自然を見せて認識をゆがめ、異常を正常と錯覚させる道具に過ぎません。」(『雪国のライオン』藤原英司、集英社文庫)
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