<アメリカ>米国食品医薬品局(FDA)が犬を用いる動物実験の一部廃止を提案

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11月16日、アメリカ食品医薬品局(FDA)が、ある種の動物用ジェネリック薬(後発薬)の試験法として、犬を殺さなくて済む方法を提案、さらに犬を使わなくてよくなることを目指し、パブリックコメントを開始しました。

新しい試験法では、犬は終了後に一般譲渡されることになっています。

この試験法の提案に寄せて、長官のスコット・ゴットリーブも声明を出し、「FDAは、実験に用いられる動物に細心の注意を払う」と述べています。FDAは、今年1月に新しい動物福祉協議会を立ち上げましたが、これは、4匹のリスザルが死亡したニコチン中毒実験への批判を受けてのことでした。研究は中止され、この新しい協議会が、FDAの権限において、動物実験に関わる行為と施設の両方を一元的に監督することになりました。

日本では、厚生労働省をはじめとする医薬品・食品の関係機関に、このような組織は存在しません。

新しい試験法の提案については、逐語訳ではなく、わかりやすく書き下した意訳で告知文の翻訳をご紹介します。通常、科学目的では、動物種名は「イヌ」とカタカナで書きますが、もはや内容に違和感がありますので、家庭の犬と同じように「犬」と訳しました。

海外ではここまで検討しているのに、日本は何をやっているのだろうと感じていただけると思います。

翻訳協力:M.N.さん


米国食品医薬品局(FDA)は、犬の動物実験の一部廃止を提案します

2018年11月16日

米国食品医薬品局(FDA)は、本日、動物実験の3R(削減、代替、苦痛の軽減)を目指し、ある種の動物用ジェネリック医薬品における動物実験の代替法を提案しました。

この代替試験法によれば、実験後に犬を安楽死しなくてもよくなります。同時に、申請するジェネリック医薬品の効果(先発品と効果が同等であること)も証明することができます。

この試験は、よく使われていて副作用も少ない2種類の薬を加えた錠剤を犬に与え、採血するもので、苦痛度は低いです。犬は、実験終了後とともに引退し、一般家庭に譲渡されます。

新しいジェネリック薬の安全性と有効性を確認するために、FDAは、そのジェネリック薬が、動物の体の中でどのように作用するかを知る必要があります。一方、申請する企業は、後発のジェネリック薬が、先発品と比較して、ほぼ同じであることを示すデータを提出しなければなりません。

今回提案する試験法は、局所的に作用する薬と、体全体に作用する薬の両方が配合された錠剤の同等性について知ろうとするものです。局所的に作用する薬は血液中には入っていきませんが、全身に作用する薬は血液中に入ります。寄生虫に対する薬は、主に胃腸の中で作用して、体全体(つまり血液中)にはほとんど入っていかないはずです。このため、従来は、動物を安楽死して、胃腸内を調べていました。

この代替試験法では、安楽死の必要はありません。また故意に動物に寄生虫を感染させることもしません。犬は、研究所に入ってきた時と同様に、健康な状態で、新しい一般家庭へ行くことができるのです。

今回提案されている試験法では、すでに承認された駆虫薬であるイベルメクチンとプラジカンテルも使って、薬剤がインビトロ(つまり体内ではなく試験容器中で)溶け出る速度データと、体内にどのように薬が吸収されているかを示す実際の血中濃度との関係を調べます。これは、動物実験の代替になる試験法のバリデーション(評価)を目標としています。イベルメクチンは、心臓に寄生し死をもたらす犬糸状虫の駆虫用で、プラジカンテルはサナダ虫の駆虫用です。サナダ虫は胃腸にいますが肝臓などで嚢胞をつくります。

実験データが、FDAが示す条件に合うようなら、結果は公表されます。動物用医薬品メーカーは、動物実験の代替として用いるインビトロ試験の設計にこれらのデータを活用でき、今後作られる、局所作用と全身作用の両方の薬が配合された犬用の経口ジェネリック薬が従来薬と変わらず生物学的に同等だと、それらの試験によって示すことができるようになります。FDAは、生物学的同等性を示す実験のために、犬が、これ以上実験に使われないようになることを期待しています。

実験が始まる少なくとも2か月前には、FDAのスタッフは、犬と馴染むことを始め、犬もスタッフが行う世話に慣れるようにします。獣医学的なケアとして、ワクチンや予防看護を行い、幸せに健康に過ごせるように配慮します。

出典:FDA Proposes Study with Intent of Eliminating Use of Dogs in Certain Types of Research

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