公正取引委員会が4月6日締切で、「ペットフードの表示に関する公正競争規約」等の改正についてのパブリックコメントを行っています。ペットフードではなく手作りごはんにされている方も多いかとは思いますが、犬や猫で実際に実験する「給与試験」に関する定めもありますので、ぜひご関心をお寄せいただければと思います。
規約自体は、国のものではなく、民間の事業者団体である「ペットフード公正取引協議会」のものですが、公正取引委員会が規約の認定を行っており、改正に当たってパブリックコメントが行われているとのことです。
※4月6日(月曜)18時必着※e-govのページにメール送信フォームがあります。(終了に伴い既にリンク切れ)
今回の主な改正点は、
- 「ナチュラル」「無添加」「不使用」等の表示に関する規定の追加
- 療法食の定義や表示基準の追加
- 総合栄養食の運用基準の設定
などで、時代に即したものにする目的があるそうです。
このうち、一番最後の総合栄養食について、実際に犬や猫をつかった給与試験が関係してきます。現在、「総合栄養食」と表示するためには、成分の分析試験か、もしくは犬や猫を実際に実験に使う給与試験かいずれかを行う必要があることが定められているのですが、今回の改正ではその基準に関する部分が削除され、独立の運用基準に移行することになっています。
つまり、位置づけが変わるだけで具体的な内容については変更はなく、給与試験が選択肢として残ってしまいます。しかし、実際には「これだけの栄養が入っていれば総合栄養食」という基準が既に決まっているからこそ分析試験の結果でOKなのであり、既に国内で給与試験を行っている企業はないとペットフード公正取引協議会も言っています。
また、実際に給与試験を行った総合栄養食であることを明記した商品が存在する「アイムス」(P&Gのペットフードブランド)に確認したところ、現在は給与試験は行っていないとのことでした。(ただし、ウェブサイトを見る限り動物実験自体は行っています。詳細は教えてもらえませんでしたが、他の目的での試験ということだと思われます)
実際の給与試験のプロトコール(手順書)は下記の通りですが、既に必要のなくなっている試験を選択肢として残す必要はなく、給与試験を削除して分析試験のみとするよう、ぜひ意見を送っていただければと思います。
◆給与試験プロトコール概要
過去に手に入れたある書類によれば、嗜好試験のために犬や猫等の動物を飼育している日本の大手ペットフード会社では、下記のような施設で試験を行っているとのことでした。いわゆる毒性試験等に比べれば苦痛度は低く、一般の動物実験施設のケージよりは広いですが、ペットフードのために飼育される動物たちがいることは矛盾でもあり、なくしていくべきであることは変わりないと思います。
◆ある企業のデータ(平成24年)
犬 67頭 収容施設の大きさ210×150×210cm
猫 56頭 収容施設の大きさ180×110×210cm
※基本的に終生飼育で殺処分はしていない