今年度の「動植物園等公的機能推進方策のあり方検討会」が終了

今年度(平成25年度)の環境省「動植物園等公的機能推進方策のあり方検討会」が終了

今年度に環境省が突然立ち上げた感のある、動植物園の「公的機能」に関する検討会ですが、2月28日に今年度の最終回が開催されました。2回目以降は抽選に外れることはなく、聞くことができましたが、ご報告ができておらず申し訳ありません。

第3回と最終回は、10人の人数制限も実質はなかったように見えましたが、傍聴募集人数も限られた中、資料や議事録の公開等もなく、かなりクローズドで終わった感があります。

傍聴ができた3回の間に、動物園、植物園、水族館、昆虫館、そして動物園を否定しない動物福祉団体からヒアリングがありました。水族館は、イルカを飼っているところが来て話ましたが、イルカの件には全く触れていませんでした。福祉団体からは、「イルカはCITESに関係ない」とった誤った指摘が繰り返され、せっかく質問も出たのに残念に思いました。

小動物ふれあいについては、かなり問題点が指摘され、委員には新鮮だったように感じましたが、「モルモットは実験動物」といった理解に苦しむ発言もあり、一体どのような結論に至るのか案じていました。

今年度は、初年度ということで議論は全く十分とは言えなかったと思いますが、かえってそのおかげで拙速な法制化はとりあえず回避できたと思います。

そこはほっとしましたが、来年度以降も検討は継続していくとのことなので、業界にばかり都合のよい法制度とならないよう、今後もウォッチングが必要だと思います。まず規制強化によって淘汰すべき動物園が多すぎる現実を何とかするべきだと、声をあげていきましょう。

最終回で原案が配布された平成25年度のとりまとめ文書については、最終版がまだ公開されていないようですが、当日委員からかなり修正の要望が出、大幅に改変されているのではないかと思います。パブリックコメントも行われないので、どのような形になっているのか心配ですが、案ではショーやふれあいには批判があることも、さらりと触れられていました。

PEACEからも修正の意見はかなり送らせていただきましたが、主な点は以下の通りです。

動物園で動物が飼われているスペースが狭い理由。は、なくなっているのですが……

日本の動物園は、広場や道など人間のためのスペースばかり広く、動物が飼育されているスペースがとても狭くなっていますが、その理由が都市公園法にあったということは、私たちも今回初めて知りました。

私立の動物園は該当しませんが、公立の動物園は都市公園という位置づけも持っており、以前は動物の飼育舎などの総面積を全体の1割に抑えざるを得ない法制度となっていました。

しかし、都市公園法は平成23年に地域主権改革一括法によって改正がされており、平成24年から、各自治体はこの面積の割合を条例で決めることとなっています。数字については参酌規程と言われており、法律での縛りはなくなりました。

ですから現在は、動物園のリニューアルの際などに、やろうと思えば従来以上の面積を動物たちのために使うことが可能です。この改正が最近であるために、まだ実態として1割が残っているのだと思います。

しかし、この現行法の内容が環境省の取りまとめ案には反映されていませんでした。法律を所管をしている国土交通省にも再度確認しましたが、改正されたことに間違いはなく、取りまとめ案の訂正はされる予定です。

文章は直されるのでいいのですが、一つ疑問に思ったのは、環境省に情報提供をしているのは日本動物園水族館協会(日動水/JAZA)のはずだという点です。

日動水はこの改正を知らなかったのでしょうか?

本当に動物にいい環境を与えたいと思っているのか、疑問がわいてきます。

動物愛護? 福祉?

とりまとめ案には、通常「動物福祉」とされているものが「動物愛護」と書かれているために内容に誤解を生じさせる部分があり、大変気になりました。これは、委員からもかなり指摘がありました。

また、そもそも動物園の持つ公的機能の中に「動物愛護」が挙げられていることにも、違和感はあります。動物園にいる動物の多くは本来野生に生きるべき動物で、そもそも飼育しているだけで虐待ですから、「動物愛護」は成り立たないでしょう。

ただし、いま現実に飼育はされてしまっているので、動物福祉を担保することは重要ですが、現状それが機能していると呼べるほどのレベルには至っていないので、「動物福祉」と言い換えた場合にも違和感が生じるのかもしれません。(機能というより、最低条件のように思います)

「動物愛護」というと、では犬や猫か?というと、動物園で犬・猫ふれあいをやっているところもありますが、ああいった多頭放し飼いで従業員も少ない状態では通常の家庭のように伴侶動物として関係が築けるはずはありませんし、年をとったらどうしているのか等々疑問もあり、ここでも「動物愛護」はかなり無理があるように思います。

一部、家畜もいますから、そういった動物の取り扱いのことを指しているのか?とも思いますが、一番懸念を感じるのは、小動物のふれあいコーナーのような動物虐待的なものを「動物愛護」と言おうとしているのではないかという懸念です。

一方で、委員の中には「動物愛護を目的とした規制は動物愛護法でやればよい」という意味で動物愛護を外そうとする向きもあり、それはそれでいかがなものかと思います。この辺は、まだ相当議論が必要に思います。

その他、動物愛護管理法の記述に第二種動物取扱業の動物園についての記述が欠けていたので、追加をしてほしいと要望しました。

参考リンク

環境省

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