貝毒の動物実験がいよいよ機械検出による方法に切り替えられます。そのことに関して厚生労働省が意見募集を行っていますので、ぜひこの正月休みに厚生労働省へ意見を送ってください。意見例も一番下に掲載しました。
- 「麻痺性貝毒等により毒化した貝類の取扱いについて」の一部改正(案)に関する御意見の募集について
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495140328&Mode=0
タイトルには麻痺性貝毒とありますが、今回改正されるのは下痢性貝毒の公定法だけです。今月末にEUで下痢性貝毒のマウス試験法が禁止されるにあたり、日本でも公定法を変えることになりました。
既に国内でも、海中のプランクトンのモニタリングや動物実験以外の検出法によって、マウスを用いる試験は最小限に抑える努力がされてきましたが、公定法がマウス試験法であったために、動物実験は避けられないものとなっていました。マウスは予備の購入も伴いますし、この変更によって数多くの動物の命が救われることは間違いありません。そして何より、機械のほうが人に影響のある毒を正確に検出します。
もう一つ日本で規制のある麻痺性貝毒については、EUでも代替とはなっていませんが、国際基準を決めるCODEXでは麻痺性貝毒も機械検出法にせよと主張している国はあるとのことで、継続して日本でも代替への努力が必要だと思います。
また、日本の規制当局は、あくまで輸出業者対応で政策転換するだけの意識でおり、動物福祉上の観点を重視していないのが実態ですので、できるだけ多くの方から意見が行ってほしいと思っています。これまでの議論は、こちらをご参照ください。
<意見公募要領> PDFより
1 意見の提出方法
御意見をまとめ、以下に掲げるいずれかの方法で提出してください。
(1)電子政府の総合窓口(e-Gov)の意見提出フォームを使用する場合
「パブリックコメント:意見募集中案件詳細」画面の意見提出フォームへのボタンをクリックし、「パブリックコメント:意見提出フォーム」より提出を行ってください。
(2)郵送の場合
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課乳肉水産基準係宛て
* 封筒に「「麻痺性貝毒等により毒化した貝類の取扱いについて」の一部改正(案)について」と朱書きしてください。
(3)FAXの場合
FAX:03-3501-4868
厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課乳肉水産基準係宛て
* 表題に「「麻痺性貝毒等により毒化した貝類の取扱いについて」の一部改正(案)について」と明記してください。
3 意見提出の締切日
平成27年1月16日(金)(必着)
※意見対象:概要
※参考資料:PDF
<意見例>
- 下痢性貝毒の動物実験を機械検出による方法に変更することに賛成します。全国で機械検出できる体制は整ったと既に2006年には言われており*、残酷なマウス試験法が続けられてきたことがむしろ非常に問題だと思います。
- 世界的には、貝毒の動物実験の代替は、動物を犠牲にしない方法に切り替えるという動物福祉上の理由から進められてきました。日本でも「動物の愛護及び管理に関する法律」において、「(動物実験は)できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用すること」と定められており、今回の改正は、この観点からの政策転換でもあることを明記すべきです。施行時には、この動物福祉上の主旨についても通達してください。
- EUでは2014年12月末日で下痢性貝毒のマウス試験が禁止されます。日本でも、平成26年度内のなるべく早い期日で交付し、施行してください。
- 施行後に速やかにマウス試験法が廃止されるような対策を講じてください。
- 麻痺性貝毒についても動物実験を代替できるよう検討を進めてください。
*「科学は食のリスクをどこまで減らせるか」(生物の科学 遺伝 別冊No19)
第4章 食品汚染有害物質
1. 貝毒の毒性と化学(大島泰克)