高齢犬などには健康診断不要!? 謎の「猫カフェ」パブコメ開始

3月1日、久しぶりに開催された中央環境審議会動物愛護部会の傍聴をしてきました。メンバーも一新され、以前より活気のある議論がなされる部会になっていました。

議題は主には成猫の展示(猫カフェ等)の夜10時まで営業可の特例についてだったのですが、ご報告が大変遅くなり申し訳ありません、3月中に開始されると言われていたパブリックコメントが既に本日から始まってしまいました! 締切は4月21日(木)までです。

部会では猫カフェ調査結果の報告もあり、経過措置によって今年の5月末日までOKとなっている「休息ができる施設に自由に移動できる状態での成猫展示は10時まで可」を、今後、可とするか不可とするかについて、かなり議論になりました。

本来であればパブコメが開始されるまでには議事録が出ているべきだと思いますが、まだ出ていない状況でのスタートです。環境省によれば、パブコメが終わるまでには議事録をサイトに出すとのことですが、別途、高齢猫の扱いについて案に盛り込まれているなど、議事録がないと意味不明の部分があるのではないかと思いました。

パブコメの対象となっている文書:

1.販売業者、貸出業者又は展示業者が、成猫(生後1年以上の猫)が休息できる設備に自由に移動できる状態で成猫の展示を行い、かつ、展示時間の合計が1日12時間を超えない場合は、午後8時から午後10時までの間も、展示を行うことができることとする。

2.販売業者、貸出業者又は展示業者は、高齢猫(生後11年以上を目途とする。)を展示する場合には、定期的な健康診断を受けさせる等、当該猫の健康に配慮した取扱いに努めることとする。

部会では、環境省は、10時まで延長可の特例経過措置を延長せずにこのまま終わらせる第1案と、経過措置は止めて本則を10時まで可に変更してしまう第2案と2つを提示し、それをもとに議論が行われました。(つまり、経過措置を延長するという中間案は最初からありません)

結果として部会では意見が大きく分かれ、どういった決定方法をたどるかについても意見が揺れました。

座長の仕切りなどを聞いていると、明らかにもとから10時まで延長可路線(第2案)で話が進められることになっていたのだろうとガックリは来ますが、開業獣医師の立場から、「例えば高齢猫になると夜泣きをするようになったりする、10時まで可の延長はすべきでない」との力強い意見があって流れが変わったのです。

(残念ながら獣医師会から委員になっている獣医師は「10時まででいいんじゃないの」という感じで、2回も!発言していて、不可と断言したのは他の獣医師の委員です)

しかし残念だったのは、例示をした高齢猫の話の印象が強かったために、高齢の猫に配慮すれば10時まで営業していいのではないかという方向に話が流れてしまったことです。(なぜ!?)

しかも、この時の話だけでは、8時以降も展示する施設だけ高齢猫に配慮するという条件をつけるということか、そうでないなら高齢猫だけではなくほかの高齢のふれあい動物も同じではないか、など疑問満載の展開になっていたのですが、環境省から突然「猫だけということで」という仕切りが入り、他の動物は切り落とされてしまいました!

そのほか、動物にとっては人間から身を隠して休息できることが大事だが「休息ができる」という表現では受け取り方はさまざまになってしまうという重要な指摘もあったのですが、出てきたパブコメ案を見ると、この表現には手を付けられておらず、「展示時間の合計が1日12時間を超えない場合は」ということが加わっていました。

そして、「何時までの営業であろうと、猫だけは高齢猫に配慮すべし」という意味の、謎の条項が突然独立で案に追加されているのです!

案の2は、1から独立ですから、夜間展示には関係ない条項です。このことは環境省にも確認しました。しかし、この決まりを単独で見た場合、実に不可解な条項になるのではないかと思います。

なぜなら、猫以外の高齢の動物もふれあいに出されているからです。ふれあいコーナーのモルモットも、ペットと同じくらいの寿命までかなり生きていることがあるようですが、寿命に近い高齢の個体も、ある日突然死ぬまでは、毎日ふれあいに出されているのがふつうです。(他の動物の餌にしているような施設は別です)

また、ブタ、ヤギなどの家畜系のふれあい動物も、高齢のように見受けられる場合があります。

そして、一時期流行った犬のふれあい施設の残党のようなことをやっている施設はまだありますが、高齢犬は配慮しなくてよいのでしょうか?! 犬と猫はセットで規制強化されてきたにもかかわらず、ここへきていきなり猫だけの配慮事項が爆誕!です。

それに、そもそもふれあいだけではなく、展示と言えば動物園やサーカスですし、貸出といえば撮影用の動物です。これらすべて、高齢になっても健康への配慮はいらず、やはり猫だけなのでしょうか?! 

そんなことはありえないでしょう。

長くなってしまいましたが、報告に戻りますと、猫カフェ調査等に関する資料は以下の通りです。

資料2-2 猫カフェの実態調査
資料2-3 猫カフェ業界の現況と猫カフェ協会による取組について
資料2-4 猫のストレス状態調査

特にストレス調査については、現段階では一見差がないような調査結果ですが、猫カフェ間で違いはあるそうで、どういう条件と高ストレスが相関しているのかということは、これからまだ分析が入るそうです。

また、気になっているのは、そもそも一般家庭で普通に飼われている状態の猫との比較がないことです。猫でどういうときにストレスが高まっているのかという基本的な研究も乏しい中、単純に「閉店時間は関係なかった」と言い切るのも何か危険な感じはします。

また、今回の案で示されている配慮事項で適切であるのかどうかも、まだデータ上はわかっていないということになります。(もっと他に規制すべき点があるのではないか……ということです)

仮に延長するにしても、経過措置の延長であればまだわかりますが、このように分析も終わっていない中、本則を10時までOKとしてしまうのは理解ができません。

里親探しを目的とする保護猫カフェの形態もあるので、単純に成猫の展示を問題としてしまうことはできませんが、遅い時間まで営業したい理由というのは、人間のためであるか、営利目的であって、動物のためではないでしょう。

ここで「でしょう」となってしまうのは、愛護部会でも「延長したい」という業界サイドの特に強い意向があるのかどうかが今一つわからなかったからです。

浮き沈みも多い業界で、8時以降も営業している50店舗のために特例を設ける必要があるのか、パブコメではぜひ多くの方が疑問をぶつけてほしいです。

パブコメ結果を受けて、もう一度部会で議論がなされ、決定されます。

締切は4月21日(木)、ぜひよろしくお願いいたします!

「成猫も子猫と同様、夜8時までにするべき」
「展示時間上限が12時間は長すぎる(猫の1日の睡眠時間は長いのに半日はおかしい)」
「高齢動物への配慮はすべての動物に必要」など

*環境省パブコメ意見送付先:
  FAX03-3581-3576
  電子メールアドレス aigo-yakantenji02@env.go.jp

*パブコメ書式

【意見提出用紙】
宛先:環境省自然環境局総務課 動物愛護管理室あて
件名:動物の愛護及び管理に関する法律施行規則等の改正案に関する意見
住所:〒
氏名:
電話番号:

意見:
 <該当箇所>
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 <意見内容>
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ねこ ふれあい

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