コツメカワウソの話が続きます。
既に東京都の指導によっていなくなっているのですが、ユニディ狛江店の中にあるペットショップ「ディスワン」に2匹のコツメカワウソがいるという情報をいただいていました。今年4月25日のInstagram投稿に「カワウソちゃんたちがお店にやってきました」とあり、そのころからいた様子です。
8月ころに見てきてくださった方の話では、店員は、オスとメスだが繁殖するかどうか私たちにはわからない、まだ子ども、販売はしていない、販売するのかもわからない、名前は特に付けていない、人が怖いみたい、人馴れしていない、泳がせるような設備がないのでお風呂とかで体洗ったりとかする、国内生まれかどうかもわからない、以前は座間の本店(本社)にいたがユニディ狛江の「ディスワン狛江店」に移動した……等々言っていたそうです。
値札の表示はなく、「コツメカワウソきたーーー!!!!」の張り紙がありました。
店頭では販売していないと言っていましたが、本社に確認すると、インドネシアからの輸入で、来た時点で1歳だったのでだいたい1歳から2歳ぐらい。オスもメスも同い年ぐらい。ペアで148万円、輸入の証明書もあると、売るような話もしていたそうです。
全ての話の真偽がわかりませんが、売るのだったら義務になっている項目の表示がありませんし、売らずに見せて集客しようというのなら、展示での第一種動物取扱業の登録も必要なはずです。
この店は、展示での登録はしていませんから、おかしいのです。
それに何より、カワウソなのに水もないような環境。本来アクティブな動物を金網床の小さなケージに入れっぱなしでは、不適切です。
そこで、東京都動物愛護相談センター多摩支所に写真を送り指導をお願いしたところ、既に情報が寄せられていて指導中とのことで、以下のような返信が来ました(抜粋)。太字は当会によるものです。
店舗に対しては、改めて至急飼い方も含め本日改善するよう指導したしました。
展示業を新規登録し店頭で展示する場合でも、現状のままの飼い方は改善を求めており認めていません。
事業者としては、譲渡先も探しているとのことですが、
手続き及び飼養方法いずれにおいても適正に行うよう指導中です。
驚いたのですが、東京都は、この飼い方では展示業で登録できないと指導しているとのことなんです! あちこちの自治体から「基準がない」云々言われてきましたが、習性に配慮するということをきちんと受け止めれば、これはダメだと指導できるのですよね!
そして、その後10月11日ころ現地を見に行った方が、カワウソがいなくなっているのを見つけました。「売れたの?」と聞いたら、「そうです」と言って去って行って詳しく聞けなかったとのことでしたが、別の日に電話をしてみたところ、今度は、飼育ができる関係者(業者)のところに移したとの説明でした。
指導によるものか?と思い、都センター多摩支所に再び連絡したところ、下記のような返信がありました。
店頭で展示することはできない旨の指導したことの結果によるものと考えらえて差し支えありません。
また、カワウソが、その後どうなったかについては、当所として報告を求めており
現状を把握しておりますが、詳細については個人情報に該当することになるため
お伝えすることができません。決して不明ということではありません。
本件については、当所として監視を継続しているということでご了解ください。
16日にこのメールを見てすぐセンターに電話してみたところ、現地(この店舗)に立入りに行っているとのことでした。
その後に確認したところによると、カワウソがどこに行ったのかについては具体的に把握しているが、行った先を監視しているわけではないとのことだったので、都外の業者の可能性もあります。残念ながら詳細は教えてもらえません。
ただ、ほかの自治体なら「行き先を把握するような法的根拠はない」などと言って何もしなさそうなところを東京都はきちんと行先の確認はしていました。こうであってほしいと思います。
カワウソたちの行き先は、店員は店とは全然違って水も浴びられるところだと言っていましたが、見に行ったりできるような展示施設ではないとのことで、どのようなところなのか確認もできず不安は残ります。
それでも、不適切であれば展示業として登録させないという東京都の態度は正しいですし、評価できるものでしょう。安易な営業を防ぐために、東京都は今後もこの方針を貫いてほしいです。
IUCNの専門家グループが、2匹につき最低でも60平方メートル必要としている動物を、安易にケージ1個で飼えるような風潮がそもそも間違っているからです。
しかし、そもそもショップが自分たちの能力を超える動物を仕入れないよう指導をしてほしいと最初にお願いをしたのですが、そのことについては、指導はできるが法律的に強制はできないので、業者に了解していただくしかないのが現状という回答をもらっていました。
そもそもペット飼育するべきでない動物をペットショップが仕入れて売ることができる現状が問題ですが、事業者の良識に頼るしかない中、この飼い方は不適切という先例が示されたのは朗報でした。