イルカ死にすぎの上越市立水族博物館「うみがたり」、第三者検討委員会始まる

せっかく買ったイルカ6頭のうち、4頭が既に死亡した上越市立水族博物館「うみがたり」

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2018年6月にリニューアルオープンした上越市立水族博物館「うみがたり」で、この2年間の間にイルカが次々死んでいます。 当初、指定管理者である株式会社横浜八景島が運営する「横浜・八景島シーパラダイス」からハンドウイルカ4頭(メ[…]

上越市からの回答には第三者検討委員会のことすら載っていない

イルカの死亡が続き、ついにシロイルカは全滅となった上越市立水族博物館「うみがたり」ですが、市長名で教育総務課企画係から回答が来ました。

全文掲載しますが、既に報道されていた第三者検討委員会のことすら書かれていません。電話でも話しましたが、極めて不誠実な印象。回答書にあること以外、何も言うことはないそうです。

書いてあるのは、「適切な飼育に努めてまいります」という空疎な常套文句だけです。

※印影のみぼかしました

「うみがたり」では、現在ハンドウイルカが2頭だけになっています。万が一、片一方が死んだ場合は単独飼育になってしまい、極めて不適切な状態になるが、どうするつもりかということも文書で聞きましたが、回答はありませんでした。口頭で聞いても「回答に書いたことだけが回答だ」と繰り返すだけです。

危機感を本当に持っているのか、わかりません。

報道によれば第三者検討委員会が7日に始まっている

一方、報道されている第三者検討委員会は、既に7日に初回会合が持たれたそうです。報道陣には公開だったようで、表裏の差が激しいダブルスタンダードな自治体だな!と思わざるを得ません。

上越市教育委員会が設置したこの委員会は、飼育の専門家3人と建築、水質の専門家が1人ずつの5人、全て大学教授で構成され、初日の7日は、実際にうみがたりで飼育環境の検証も行われたそうです。飼育員に聞き取りがあったという報道もあります。

日本大学生物資源科学部の鈴木美和教授が囲み取材に答えていますが、委員長は三重大学大学院の吉岡基教授だそうで、鈴木美和教授は副委員長だそうです。(吉岡委員長は所属する三重大学で新型コロナウイルスの感染者が確認されたため、オンラインで参加との報道。)

これから数回開催し、10月をめどに検証結果をまとめるとのこと。ローカルテレビの報道では、ちらっとだけですが様子がわかります。

UX新潟テレビ21:2年間でシロイルカ4頭が死ぬ 第三者委が調査開始 上越市 より(既にリンク切れ)

日本大学生物資源科学部の鈴木美和教授は、「問題になりそうな点とか気になる点についての意見や所見を今後まとめていこうというところまで合意が取れた」と話しました。

TeNY新潟:相次ぐイルカの死を調査 第三者委の初会合(新潟県) より(既にリンク切れ)

日本大学・生物資源科学部の鈴木美和教授は「水槽の構造とか、運ばれてくる前と後ではどう違うのかとかそういったところが少し気になるので、データを提出してくださいとお願いした」と話した。

BSN新潟放送:イルカ4頭連続死 飼育員へ聞き取り調査 新潟県上越市 より(既にリンク切れ)

【日本大学生物資源科学部海洋生物資源科学科 鈴木美和教授】
「それぞれの分野から気になる点を挙げさせていただき、調査や資料の提供を求めた。きょうはそこまで。水槽がオープンで、全て屋外という点が少し気になったところが(委員の)共通認識」

新しいのに、非人道的に狭すぎる水槽。どう改められるというのか

それにしても、この検討委員会で、例えば「プールが狭い」という結論が出たらどうするのでしょうか?

また莫大なお金をかけて建て直しをするのでしょうか?

2018年再オープンへ向けた建て替え検討時の過去の書類を見ると、どうもアメリカの動物福祉法施行規則の数値に則って計算をしてしまったようですが、この数値が恐ろしく古いことは既に知られたことであり、アメリカでも専門家らにより改正が強く働きかけられてきたのが実態です。

アメリカの規制上の数字は、体感的にも「そんなに狭いのか!?」と感じるような最低な(人道的でない)数値です。既に業界の水準は、もっと高い。それなのに、わざわざ非人道的な数値を元にして設計している時点で、福祉に取り組む姿勢は最初からなかったのだなと思わざるを得ません。

必要水深は平均成獣体長と同等の3mなどと、恐ろしいことが書かれています。(あり得ない! まだこれくらいのプールはたくさん残っているかもしれないが、新しく作るのにあり得ないです)

アメリカの基準改正を求めた専門家らの論文では、深さはハンドウイルカで最低限、体長の2倍。

また広さについては、イルカが尾を10~12回打って直線上を泳げること、つまり最低限の数値として35メートルが確保されていること等が挙げられています。

これは、現在の「うみがたり」の建物の半分くらいをイルカの水槽にして、やっと最低限と考えるような広さです。(それでも狭すぎてあり得ないというのが実感ですが、いかに日本の施設が「極小でよい」という非人道的な考えのもとつくられているかを実感していただければと思い、例示しました。)

非常に雑で申し訳ないですが、「うみがたり」のイルカプールの大きさ・配置はざっと下記のような感じです。外枠の建物自体が、およそ70メートル×40メートルしかありません。その中に、水槽は、さらにこの青で囲った広さしかないのです。飼育下の鯨類は、人間ならトイレで生活しているようなものだというのは、まったく言いえて妙です。(排泄物漂うなかで生きるという意味でも、まさに)

設計図出典:上越市新水族博物館実施設計(概要)

水族館建て替えの検討においては、イルカショーは営利目的であり、最小限にコストカットしたいため、都合のよい、古い数値を持ってきたのでしょう。有識者とは、利益誘導者に他なりません。

今回、指定管理者(株式会社横浜八景島)の言い分から離れて、検討が第三者委員会となっただけましですが、この委員会は、海外の有識者に意見を求めるべきではないでしょうか。海外のほうが知見も意識も進んでいることはもちろん(根拠となる論文も海外のものばかり)、国内の有識者では、利害関係等による忖度も懸念します。

再度建て替えをするという助言は現実的ではないでしょうから、イルカショー廃止一択のはずですが、国内の有識者がそのようにサジェスチョンできるのか、疑問です。

教育委員会に海外の専門家の知見を入れてほしいと提案をしても、それもこれからという感じですが、どうにも真面目に受け止めている感じがしません。実際には初回の段取りも決まっていたであろう時点で、委員会の委員もこれからなどと言っていたのですから。

ちなみに、副委員長コメントに水槽が野外とのコメントが出てきますが、「うみがたり」は、ハンドウイルカのショープール、ホールディングプールの上部、シロイルカプールの上部が天井がなく、露天になっています。

参考:

スマスイ元園長コメント「普通では考えられない」

水族館では、それなりにイルカはコンスタントに死んでいるので(だからこそ太地町のイルカ追い込み猟からの供給を手放したくないわけで)、果たして「うみがたり」だけの問題なのかということも課題としてあるかとは思います。

しかし、産経新聞の「有名水族館で謎のイルカ連続死 わずか2年で4頭、新潟・上越市も困惑」という記事では、「連続死は異常」として、下記のようなコメントが載っていました。

 神戸市立須磨海浜水族園の園長も務めた岡山理科大生物地球学部の亀崎直樹教授は「水族館のイルカがこれほど連続で死ぬのは普通では考えられないこと」と指摘。「何らかの問題があると考えるのが一般的で、第三者委員会のようなものを設置し、(飼い方や施設などについて)外部評価を受けたほうがいいだろう」とした。

施設ごとにイルカの死ぬ頻度がどの程度違うのか、これも本当は深掘りしたいところです。

上越市・村山市長はイルカを入れることありきで語っているのでは

上越タイムスの記事によると、上越市の村山市長は、7月21日の会見でイルカの補充は検証後にと述べたそうです。もう、補充ありきの説明ではないですか、これ。

しかし、なぜか上越市のサイトでは、この日の記者会見については全文が公開されていません。なぜなのか。

これまでは下記のように語っており、イルカショーを止める気はさらさらないように感じます。

引き続き、上越市へのご意見をよろしくお願いいたします!

意見送り先などはこちら。

村山市長記者会見内容(令和2年6月議会)(令和2年5月25日)より
(記者)
うみがたりのイルカの件について、2年前のオープン当時にイルカ6頭で、市がトータルで約9千万円の予算を使って購入しました。今回、リーヤが先日死亡したことで、当初のイルカ6頭のうち、約半数がオープンから2年経たないうちに死亡してしまうという事態になったのですが、この点についての受け止めと、今後の再発防止など、お考えがあれば聞かせてください。(市長)
リーヤを含めて、本当に可愛がってきたイルカが亡くなっていくというのは非常に辛いことであり、寂しいことであります。私自身もシロイルカ2頭が、本当に癒しの最たるものであり、個人的には大好きでした。私も、水が合っているのか、また、水族館そのものの構造の中にストレスが溜まることはないのか担当者にお聞きしましたが、専門家から見ても、太平洋側の水族館の状況から見ても、構造を含めて、イルカを飼うことについての問題はないということでありますので、個体の状況だったのだと思います。私自身、非常に残念で、残念というよりもかわいそうだなという思いがあります。1回はある程度回復したとの報告を受けたのですが、また悪化したということで、残念ながらこういう結果になりました。水族館の専門家にしっかり調査するようにお願いしましたし、またイルカが欠けたことによって、指定管理者とイルカのレンタルも視野に入れながら、検討していく必要があると思っています。いずれにしても非常に残念であり、かわいそうなことだなと思っています。(記者)
イルカは新たに補充していくということですか。

(市長)
イルカに対する国際的な状況の中では、そんなに簡単なことではないというように聞いていますので、現在、八景島さんが所有しているイルカの融通等々で、楽しみにしている皆さんに、パフォーマンスを見ていただけるような取組を考えていかなければならないと思っています。

「うみがたり」2年目について聞かれた際には、イルカの連続死のことについて、触れてもいない。

村山市長記者懇談会内容(令和2年6月30日)より

(記者)
うみがたりがリニューアルオープンして丸2年になりますが、改めて市長としてこの2年間見てきた感想と今後の期待というのを、市長の所感を一言いただければと思います。

(市長)
私もうみがたりができて、2年目が一番厳しいのではないかという話をずっとしてきました。議会でも質問されて、3年、5年ではなくて最初の年、次の年が一番、来ていただく方に気を付けなければいけないと言ったのですが、今回このような状況になって、入館数は3か月間、前年の約90パーセントのマイナスになっていますから、非常に厳しい環境が重なってしまったと思っています。ここへきて入館制限をする中で並んでいただくなど、水族館に対する期待とかファンがたくさんおられるのだなと思っています。指定管理者からは、いつ来ても新しいものがそこにある、新しい学びができる、新しい発見ができるというようなことを考えてもらっていると思いますので、しっかりと取り組んでいただければと思います。クリスマスの時には、すごくいろいろなことをやってもらっていたのですが、これから夏休みが始まりますので、感染予防をしながら楽しんでいただける状況を作れればと思っています。

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