横浜市外部監査結果~金沢動物園は抜本的改善か、さもなくば閉園も

今年度の横浜市の包括外部監査結果が公開されました。この外部監査は、その年ごとにテーマが決められて行われるもので、今年度のテーマは「公有財産(不動産)の管理、運営等について」でした。この中で、横浜市が所有する動物園について50ページにわたり指摘がなされています。

金沢動物園
金沢動物園

平成15年の包括外部監査でも動物園について取り上げられたとのことで、それを受けて検討された改善案の進行状況が悪く、金沢動物園については、再生可能であるか検討し、抜本的改善ができないのであれば閉園の検討も促す内容でした。

外部監査はあくまで意見であり、横浜市に対応を命じるものではありませんが、動物園淘汰時代を感じさせる画期的意見です。どちらかというと野毛山動物園を閉園したほうがよいのではないかとも感じますが、野毛山については、有料化の検討を行うよう意見がなされています。

収入アップのためとはいえ動物福祉上問題ではないか?と感じられるイベントの提案等についても書かれており、決して動物福祉の観点からなされた外部監査ではないこともわかりますが、施設の老朽化や案内板・掲示物の充実・更新等についても触れられています。

金沢動物園に対する意見は大変シビアです。念のため確認しましたが、抜本的改善か、それができないのであれば閉園か、いずれかであるという意図で書かれていることで間違いありません。

「意見45」金沢動物園の改革について

 金沢動物園については、施策を講じてもなお入園者数が増加せず、また事業支出の改善が見込まれない場合は、現状を継続するという選択肢はないと考えられる。動物園としてのコンセプトの抜本的な見直しを行い、差別化を図り、投資効果が出せる動物園として再生が可能であるかについて検討することが必要である。金沢動物園の再生計画として平成19 年に策定した「エコ森プロジェクト」があるが、計画の進捗は大幅に遅れ、取り巻く状況も変化していることから、当該計画に従って整備を進めることは適切とは考えられない。そのため、平成28 年春にオープン予定のカンガルー舎リニューアル計画が一部進んでいるが、現状を踏まえて計画を見直す必要がある。

 なお、新たな計画策定に当たっては一定の新規設備投資が必要になるが、その場合においても、投資効果の実現が不可欠であり、投資効果が見込まれないと判断される場合には、金沢動物園自体の存続のあり方の検討が必要であると考える。

また、野毛山動物園について、他の無料公立動物園と比較すると、入園者数、経常費用ともに突出しており(下部表参照)、同程度の規模の動物園はすべて有料であるということも指摘されています。それを受けて、有料化についても検討を促す意見が掲載されています。

「意見41」野毛山動物園の受益者負担の検討について

 厳しい財政状況の中、動物園事業を継続していくためには、動物園事業の収支改善を図ることが必要である。そのため、他の無料動物園に比して入場者数が多く経常費用も多額となっている野毛山動物園の受益者負担について再検討していくことが望ましい。

 この点、平成15 年度の包括外部監査においても同様の意見が出されているが、市は当面の間は入園料無料を継続するとしたうえ、ネーミングライツの導入など、多角的収入の確保に努めて市費負担の軽減を図るとしていた。しかし、ネーミングライツの導入については応募者がなく、企業協賛等の収入の多角化に取り組んではいるものの、市の負担の軽減には至っていないと考えられる。

 引き続き、収入の多角化等を検討し、市の歳入増を図る必要がある。併せて、入園者数の減少も懸念されるが、有料化も含め入園料のあり方を検討することが期待される。

野毛山は無料であるために第一種動物取扱業の登録を受けておらず、これだけの規模でありながら業の指導を免れていることも問題です。 ※追記:その後、2019年に第一種での登録がなされました。詳細はこちら

また、動物の飼育に経費が掛からないかのような印象を与えることは市民に対する教育効果として好ましくなく、きちんと来園者に負担をさせるべきです。

市の動物園を担当する部署では、これを受けて今すぐ何か回答できるというわけではありませんでしたが、何らかの検討を今後行う必要性は出てくるのではないかと思います。

全国の入園料無料動物園一覧 JAZA

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