2019年改正動物愛護法解説:罰則の強化

2019年改正法 2020年、2021年施行 動物愛護管理法 まとめ

罰則(第四十四条~):
動物殺傷罪の上限が懲役5年又は500万円以下の罰金に上がるなどしました

※下線が改正部分。


第六章 罰則
第四十四条 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。

2 愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、百万円以下の罰金に処する。

3 愛護動物を遺棄した者は、百万円以下の罰金に処する。

下向き矢印


第六章 罰則
第四十四条 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。

2 愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

3 愛護動物を遺棄した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

3団体では、器物損壊罪よりも動物虐待罪のほうが軽く、警察が動物虐待罪ではなく器物損壊として扱ってしまうこと、また軽い犯罪として扱われてしまい捜査が行われにくいことなどを問題と考え、改正逐条案に殺傷罪の罰則の上限を5年とすること等を盛り込み、当初より要望してきました。

途中まで、「現行法で上限が2年であるものをいきなり5年にすることは難しい」「立法事実が必要だ」等、強い抵抗があり、3年が限界か?と思った時期もありましたが、公益財団法人動物環境・福祉協会Evaの杉本彩さんの尽力により、最後に大きな巻き返しがあり、上限を5年とする罰則の強化が実現しました。

今回、改正された中でも大きな目玉となる改正点です。

  • 愛護動物の殺傷は、上限が懲役5年、罰金500万円へ
    (←現行の懲役2年、罰金200万円から強化)
  • 愛護動物の虐待・遺棄は、上限が懲役1年、罰金100万円へ
    (←懲役がなかったものが追加された)

3団体では、ほかに、虐待の定義をより細かくする提案をしていました。これについては多くが入りませんでしたが、人間で言えば「暴行罪」にあたる規定が明確ではなく必要だという要望については、「みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること」として実現しました。(実際に傷害を与えた場合を罰する「傷害罪」に当たる罰則は従来から明確です。しかし、例えば、殴って痛みを与えたが傷を負っていないような場合は傷害罪には当たらず罰せられない運用でしたので、それはおかしいということを主張していました。)

また、アニマルホーダーを想定する「飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管すること」との文言も入りました。

罰則の対象となる愛護動物の範囲については、両生類・魚類を含めるよう求めましたが、実現しませんでした。(途中から両生類に絞りましたが、それでもだめでした)

愛護動物の範囲は従来と変わりません。

法律のいう「愛護動物」とは:

一 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
二 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬 虫類に属するもの

付帯決議

衆議院委員会決議/参議院附帯決議には、以下のように書かれています。

六 動物虐待等への対応に当たっては、動物虐待等の該当性の客観的な判断に資するよう、事例の集積及びそれらの分析・評価を進め、それによって得られた知見を活用した地方自治体職員等の人材育成を支援するとともに、関係機関及び民間の団体等との一層の連携強化を図ることを通じて、その対応を強化すること。また、動物の遺棄・虐待防止のために、動物虐待等の該当性などについて、普及啓発に努めること。

国会でのやりとり

改正成立時の衆議院環境委員会の会議録もご参照ください。

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施行通知

施行の直前、2020年5月28日付けで環境省から自治体に通知された「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の施行について」(施行通知)では、以下のように説明されています。(この通知は、地方自治法に基づく、国から自治体への「技術的な助言」に相当します)

19 動物虐待罪等の厳罰化等(第44条から第50条まで関係)

近年、動物の虐待等(殺傷・遺棄を含む。以下同じ。)に係る違反容疑の摘発件数は増加しており、依然として悪質な動物の虐待等に関する事件が後を絶たないこと等から、動物の殺傷に関する罰則について、懲役刑の上限が2年から5年に、罰金刑の上限が200万円から500万円に引き上げられるとともに、虐待及び遺棄に関する罰則について、100万円以下の罰金刑に1年以下の懲役刑が加えられ、罰則が大幅に強化された。

また、虐待に当たる行為全てを網羅的に例示することは困難であるが、動物虐待罪の適用の可否の判断に資するよう、法第44条第2項において、具体的な虐待行為の例示がより広範に明記された。具体的に追加された事項は、みだりに行われた行為であることを前提とした上で、愛護動物に対し、①身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加えること、②そのおそれのある行為をさせること及び③飼養密度が著しく適性を欠いた状態で愛護動物を飼養し又は保管することにより衰弱させること、である。①は、実際に外傷が確認できない場合であっても、そのおそれがある行為を行うこと、②は、自らが外傷を負わせずとも、愛護動物に外傷を負わせる可能性が生じる何らかの行為を強いること、③は、近年問題となっている一部の犬猫の繁殖業者(ブリーダー)による過密飼育や多頭飼育等による劣悪な状態での飼養等が想定される。

虐待等の摘発は、地方公共団体の動物愛護管理部局や警察への通報等を契機とするものが多く、今後は、法第41条の2の獣医師による通報が義務化されたことに伴い、獣医学的な見地からの情報も増加することが期待される。こうした事案において、実際の捜査に当たる警察当局が虐待等の判断を的確に行うためには、国や地方公共団体に対する制度解釈に関する疑義照会や獣医師に対する獣医学的観点からの検案依頼等について、円滑な連携を行えるような体制を構築することが重要である。

具体的には、次の(1)に示す役割を担いつつ、(2)に示す都道府県警察との連携・協力体制の確保に努めるようお願いする。

(1)都道府県等の役割法第25条第4項に定める虐待を受けるおそれがある事態の是正措置として、同項の勧告・命令及び同条第5項の報告徴収・立入検査の適切な運用を図る。また、虐待等の事案に係る通報窓口を明確化する。

(2)連携体制都道府県等に通報のあった動物の虐待等の事案については、事案の内容に応じて、都道府県警察に対して必要な情報提供を行う。また、動物の殺傷及び虐待の該当性の判断に当たっては、みだりに行われた行為であるかどうかの評価が必要になることから、必要に応じて、国に対する法制的観点からの技術的助言及び獣医師等に対する検案や科学的助言を求めるものとする。さらに、都道府県等において都道府県警察等から動物の虐待等の事案に関し情報提供を受けた場合は、(1)の都道府県等の役割を適切に果たすこと、都道府県等が立入検査を行う際に現地でのトラブルが想定される場合は、必要に応じ都道府県警察に警戒活動等の協力を求めること、都道府県警察が行う捜査の過程で被疑者から押収した動物の一時保管を依頼された場合は、必要に応じ動物愛護管理センター等が協力することなど、実務的な面での協力体制の構築を図るものとする。

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